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『幽(百年文庫・84)』感想:★★★★★

2015.12.12 Sat

幽 (百年文庫)
幽 (百年文庫)ワイルド ウォルポール サキ Oscar Wilde

ポプラ社 2011-07
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 百年文庫の84『幽』はイギリス特集。
 収録作品は以下。

・「カンタヴィルの幽霊」 ワイルド、小野協一・訳
・「ガブリエル・アーネスト」 サキ、浅尾敦則・訳
・「ラント夫人」 ウォルポール、平井呈一・訳

 タイトルの通り、幽霊特集。2作目はちょっと違うが。







 「カンタヴィルの幽霊」の舞台となるのは、幽霊屋敷の本拠地イギリス。由緒正しい屋敷、当然幽霊付き、の新しい住人はザ・アメリカな公使御一行。
 彼らが越してきた日から、その屋敷の幽霊には良いことが一つも無い。
 格式高い血の染みは、アメリカ製のクリーナーで綺麗に拭い去られてしまうから、毎日毎日新しく描き直さなくてはならない。
 雰囲気たっぷりに鎧を軋ませて歩いてみれば、公使にアメリカ製の最新の潤滑油を使いたまえと手渡される始末。趣向を変えて、気味悪く笑ってみせれば、公使夫人に健康を心配されアメリカ製の強壮薬を勧められてしまった。
 それでも何とか頑張って子供を脅そうと彼らの部屋のドアに手を掛ければ、上から粉が降り注いできた。それから子供達の笑い声も。
 幽霊はすっかり意気消沈してしまい、遂には引退まで考えるのだが……。

 この作品、もう何回目だよってくらいに読んでいるはずなのだが、それでも毎回面白い。
 アメリカの公使一家が鼻持ちならない存在で終わらないのが、また良いのだ。頑張れ幽霊。いやコイツも結構酷いヤツなのだが。


 続いては「ガブリエル・アーネスト」。
 「きみのところの森に野獣が一匹いるね」。そんな友人の一言から、ヴァン・チールは恐怖を味わうことになる。

 あまり語ると面白くないのだが、サキらしい嫌らしさが忍び笑いを漏らすような作品。
 サキの観察眼と人を見るその態度は他人事としてはただ素晴らしいなと思うだけなのだけれど、けれど常にこんな視線で他者を見ていたら心病みそう。

 「ラント夫人」では、作家が昔経験した話を聞かせてくれる。それは不思議な出来事で……。
 途中で多数登場する固有名詞の方が気になってしまう一作。



 やや異色の「ガブリエル・アーネスト」を挟んで、オーソドックスをコメディに化けさせた「カンタヴィルの幽霊」と、怪談と言ったら語り口調ですよね!な「ラント夫人」という組み合わせでお送りする一冊。
 個人的には百年文庫4冊目にして最大のアタリ。

シリーズ別:百年文庫|作者別:アンソロジー
より詳しくは右カラムのカテゴリから選択してください。


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