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『架(百年文庫・95)』感想:★★★★☆

2015.11.21 Sat

架 (百年文庫)
架 (百年文庫)火野 葦平 吉村 昭 ルゴーネス Leopoldo Lugones

ポプラ社 2011-10
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 個人的にかなりお久しぶりな百年文庫。ポプラ社ちゃんのことはあまり好きではないので、珍しく図書館本。
 薄い上に文字が大きくて、さっくりと読み終わるシリーズ。
 今回の収録作品は以下。

・「伝説」 火野葦平
・「火の雨」 ルゴーネス、牛島信明・訳
・「少女架刑」 吉村昭


 本書のメインは「少女架刑」。ずっと読みたいと思っていた作品だったので、ここで出会えて嬉しい。
 想像していたのとは異なるテイストの物語だったのも嬉しい。







 それは罪なのか。

 「伝説」では消息を絶った河童の行方を、河童探偵が追う。
 失踪してしまったかの河童は、ある夜突然に月に登ると言い出していた。周りのものは止めたのだが、彼は聞き入れず果敢に挑戦し、結果、腰と甲羅を折ったのだった。
 周囲の河童たちは彼を揶揄した。月になど登れるはずがないのに、阿呆だと。そして彼は消えた。
 だがしかし、考えてみるのだ。彼は腰と甲羅を折った。それはつまり。


 「火の雨」ではとある異変が唐突に訪れる。だがその変化を受け入れられない「私」は、不安に目を逸らし、昨日と変わらぬ日常を怠惰に過ごす。
 だが異変は彼の安穏を許すことはなく……。
 ライオンたちのシーンが何とも印象的な一作。


 ラストにして本書メインの「少女架刑」の主人公「私」は、死んだ。まだ少女の年頃で、死んだ。
 「私」の死体は、母親によって病院に売り渡されてしまい……。

 「私」の己への著しい評価の低さと、対する母親への奇妙な崇拝。展開する物語は、客観的に見れば酷い話なのだが、価値観の歪んだ「私」が、それも死後の「私」が、冷静にかつ奇妙な崇高さを湛えて静かに自身の死体の行く末を見守るという設定が、なんとも不思議な雰囲気を作っている。
 語り手の設定が非常に巧みである。


 愚かさと、崇高さ。それは紙一重の存在なのだ。
 彼らをそのどちらと見るのか、読者の自由だ。


シリーズ別:百年文庫|作者別:アンソロジー
より詳しくは右カラムのカテゴリから選択してください。


Theme:読んだ本 | Genre:本・雑誌 |
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