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映画『フェンサー』感想:★★★★☆

2015.11.06 Fri

京都ヒストリカ国際映画祭
(画像は第7回京都ヒストリカ国際映画祭公式サイトより)


 京都ヒストリカ国際映画祭で見た映画、2本目。
 日本公開の可能性はあるような、ないような。


 舞台はドイツ・ロシア双方に何度も支配されてきた国、エストニア。1950年代初期のエストニアは、ソ連の一部となっていた。
 エストニアの片田舎ハープサルにレニングラードからやって来たのは、まだ若い体育教師エンデル・ネリス(Märt Avandi)。
 体育教室を開催するようにと校長(Hendrik Toompere Sr.)に指示されたネリスは、倉庫から見付けたスキー用具を手入れし、子供達に教えようとするが、しかし彼の準備した道具は消え失せてしまう。都会レニングラードからやって来たネリスに反感を抱く校長の仕業なのは明らかであった。

 予算も道具もないネリスは、考えた末に自分の特技であるフェンシングを教えることを思い付く。それは身分を隠さねばならない彼にとっては、その正体への手掛かりともなり得る危険なものでもあったのだが。
 ネリスの心配など知らぬ子供達は、徐々にフェンシングにのめり込んでいく。フェンシングに大切なのは足音を立てずに静かに動くこと、そして相手との距離を取ること。
 時代は1950年代。疑心暗鬼に駆られたソ連は、エストニアの男たちを戦前のドイツに対する協力を理由に、あるいは大した理由もなく、連行しては強制収容所に送り込んでいた。
 父を、祖父を失った子供たちはネリスを父のように慕いつつあった。そんな中、子供の一人が見つけて来たのは、フェンシングの全国大会の広告。ソ連中の学校に参加資格があるのだ。だがその開催地はレニングラードであった。ソ連の中枢である。
 その頃、ネリスに反感を抱く校長は、彼の身元を詳しく調べさせていた。そして校長は、ネリスが隠してきた秘密をついに知ってしまう……。

 子供達の夢か、それとも自身の安全か。ネリスの友は言った、レニングラードから遠くに逃げろと。距離を取れと。静かに動くのだと。
 だが逃げてばかりでは、ポイントが取れない。試合に勝てない。
 ネリスは決断する。







 この映画、日本語字幕では分からないが、ところどころロシア語の台詞がある。
 レニングラードにいる友人とネリスが会話するところなどは、ロシア語である。他には校長が書く手紙や書類なども、ロシア語で記されている。

 個人的に一番印象的だったのは、ネリスが買い物中のカドリに出会う市場のシーン、その直前の市場のおばちゃんにザワークラウトを強引に試食される場面だったりする。この押せ押せの市場のおばちゃん、ロシア語で話している。
 最初は「ザワークラウトなんていかにもドイツの物を売ってるのが、ロシア人のおばちゃんなのかよ」とのほほんと思っただけだったのだが、考えてみればこれこそがエストニアの現状なのだと思えて、何ともブルーな気持ちに。
 大体、全国大会の開催地がレニングラード(現在のサンクトペテルブルグ)なんだもんなー。ソ連の一部になっちゃった感じ、凄い。
 ああ併合されるってこういうことなんだ……、とじわりじわりと実感する。よく見ると、フェンシングの全国大会の告知もエストニア語とロシア語併記だし。

 ちらりちらりと現れるロシア語に、見ているだけの私にも徐々にソ連体制への反抗心が芽生えた頃に訪れる、保護者会のシーンは実に良い。ソ連の手先と化している校長に対する反抗は、そのまま支配者たるソ連への反抗でもある。
 またレニングラードの全国大会、当然どこもかしこもロシア語だ、の中で子供達が戸惑いながらも見せる表情に胸がすく。
 ただ、この映画での悪役ポジションである校長とて、別段悪い人ではないのだろう。平和な世の中ならば、ただの凡人として人からの反感を買うこともなく暮らせただろうと思う。

 崩壊へのカウントダウンが迫るソ連と、この後に独立へと雪崩れ込む予兆を見せるエストニア。
 そんな不穏な時代の中でも子供達の瞳は純粋で、その瞳に見詰められたネリスが下す決断がなんとも潔い。


覚え書き(本に纏わるあれこれ):映画感想
より詳しくは右カラムのカテゴリから選択してください。

 
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