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映画『オオカミは嘘をつく』感想:★★★★★

2015.05.12 Tue

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 原題は"Wolves"、つまりはオオカミたち。複数形。
 何故wolfと単数形ではないのか、その理由は映画を見終われば分かる。

 宣伝では「復讐はどこまで許されるのか」なんてキャッチーコピーが付いていた。本作の監督がイスラエルの出身ということも加味すれば、なかなかに刺激的な文句である。
 が、その問いかけはラストのワンシーンで破られる。この映画に存在するオオカミは一匹ではなく、複数なのだから。







 少女が攫われた。得られた目撃証言から警察は犯人を教師ドロールと見るが、しかしなかなか決定的な証拠を掴むことが出来ないでいた。進展しない操作に、攫われた少女の父親ギディと事件担当刑事ミッキは日々苛立ちを募らせていく。
 そんな中、件の少女が見付かった。無残な死体となって。しかもただ無残なだけではない。その骸には、犯人によるギディやミッキたちへの挑発が大いに込められていた。――彼女にはなんの罪もないのに。

 当然ながら周囲はいきり立った。犯人逮捕に焦るミッキはドロールを犯人と見做し、暴力を用いて自白を迫る。だが逆にその様子を動画に撮られネット上に公開されてしまい、ミッキは職を失う危機に陥った。
 窮地にあっても自説を曲げないミッキは、ついにドロールの拉致監禁を思い付く。今度こそ暴力で自白を得るのだ。
 ミッキにはちょうど被害者の少女と同じくらいの年頃の娘がいた。事件を他人事とは思えない。そのくせに自分の娘本人をないがしろにしたまま、ミッキの正義漢は突き進む。

 が、ミッキはドロールの監禁に失敗した。何と先を越されたのだ。その犯人は被害者少女の父親ギディ。
 ギディはドロールを犯人だと確信していた。彼の目的は犯行の自白を迫ることではない。未だ見付からぬ娘の頭部の発見だ。その隠し場所を聞き出すべく、準備万端でドロールを攫ったのであった。そして成り行き上、ミッキも一緒に拉致されることとなった。

 ギディの揺るぎない確信を前に、逆にミッキは疑念に揺れる。本当に犯人はドロールなのだろうか? この冴えない禿げた教師が、本当にあんな残念な犯行を? 被害者少女と同じ年頃の娘を持ち、しかし離婚したため誕生日すら一緒に祝えないと嘆く、この小さな男か?

 ドロールの口を割らせるべく、迷い無く彼の指を叩き潰すギディ。その揺るぎなさに疑問を抱き始めたミッキ。自分は犯人ではないと叫び続けるドロール。
 さて、悪いオオカミは誰だ?


 ちなみにグロさは、それなり。ドロールの拷問シーンは一般的なスプラッタ映画と比べてマイルドだとは思うし、決定的なシーンは映されないから画面の血しぶき度も低いのだが、妙にリアルに痛そうで心臓に悪い。
 ドロール役のロテム・ケイナンの演技が上手すぎるのだ。彼の冴えない中年教師な人畜無害な雰囲気っぷりも素晴らしい。

 しかし本作の一番素晴らしいところは、伏線回収の巧みさにある。ささやかな違和感は、最後の最後に見事に回収される。
 作中に現れる違和感は、本当にささやかだ。他の映画ならば、見る側によって無視されることを期待されるレベルの違和感だ。
 だが今作ではそれを丁寧に拾い上げているのが、本当に素晴らしい。映画の全てがこれくらい丁寧に作られれば良いのに。

 以下、ネタバレ

 「悪いオオカミは誰だ?」とか上で書いておいて何だが、結局のところ全員がオオカミだ。タイトルがwolfではなくwolvesなのに納得する。
 どいつもこいつも嘘をついている。ドロールは勿論大きな嘘をついている。けれどギディだって両親や不動産屋に嘘をついているではないか。ミッキも家族に嘘をついている。嘘をつかない人など、果たしているだろうか。この映画の中だけではなく、現実社会でだって。
 オオカミは嘘をつく。もしも嘘をつくのがオオカミならば、皆が皆オオカミだ。
 オオカミどもめ! 悪いオオカミどもめ! そう糾弾する資格が誰にある? お前もまたオオカミなのに。オオカミに羊を守ることなんて、所詮は出来ぬことなのだ。

 そんなことを思わせるほどに、ラストシーンの衝撃は深い。


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