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『言語が違えば、世界も違って見えるわけ』感想:★★★★☆

2014.12.24 Wed

言語が違えば、世界も違って見えるわけ
言語が違えば、世界も違って見えるわけガイ ドイッチャー 椋田 直子

インターシフト 2012-11-20
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 サクサク読めて面白いけれど、タイトルが示すほどに劇的な結論に到達するわけではない。
 まぁ確かに母国語が違うだけで世界が劇的に違って見えるのならば、世界の東西を越えた交流とか難易度半端ないことになってしまうものね。と、そんなわけで割と常識的な結着に落ち着くのが本書の良いところでもあり、ややガッカリするところでもある。


 ホメロスの描く世界には、色が極端に少ない。彼は空の青さを誉め称えることは一度もないし、海と羊は同じくすみれ色である。
 そう気が付いたのは、ホメロスの熱心な研究社であったグラッドストン。彼はその謎に頭を悩ませる。ホメロスほどの優秀な詩人が、色についてこんな不可解な表現を残しているのはどうしてなのか。
 最初の仮説は、ホメロスは色弱だったというもの。だがもしそうならばホメロスの色彩感覚は一般的な感性とはズレることとなり、彼に対する違和感が同世代人から発せられるはずだ。しかしそうはなっていない。
 ならば色弱なのは彼だけではなく、当時の人たち全員がそうだったのではないか。
 グラッドストンの大胆な仮説は、最初は歯牙にも掛けられなかった。だが時代が下ってから、彼の説は再度発見され、そしてダーウィンの提唱した進化説の流れに乗って主流へと浮かび上がる。







 その顛末がどこに終着するかは、本書のハイライトの一つなのでこれ以上は記載しない。が、この一件と20世紀という戦争の時代が残した禍根により、「言語が違えば、世界も違って見える」との説は息の根を止められた……かのように見えた。
 だがその思想は生き残り、現在においてようやく陽の当たるところに芽を出した。

 その芽が示す実例と、そして今後の成長の予感のためにこそ、本書は書かれている。
 当然ながら著者は「言語が違えば、世界も違って見える」説の支持者であり、その点は差し引いて読む必要があるが、それでもホメロスから始まる科学者たちの論争はスリリングであり、また筆者を含む現代の科学者たちの苦闘っぷりも興味深い。
 筆者が非英語圏の生まれであり、外国語として英語を身に付けたという点も、妙に親近感を覚えさせるものがある。


ジャンル別:自然科学|出版社別:インターシフト
より詳しくは右カラムのカテゴリから選択してください。


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