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『生命とは何か―物理的にみた生細胞』感想:★★☆☆☆

2014.03.11 Tue

生命とは何か―物理的にみた生細胞 (岩波文庫)

シュレーディンガー 岩波書店 2008-05-16
売り上げランキング : 17163
by ヨメレバ


 ワトソンとクリックによる発見により、生命システムに大きな変更が加えられるようになる以前に書かれた一冊。当時は遺伝情報を担っているのは巨大分子、一番可能性があるのはタンパク質だと見做されていた。
 まさか単なる四種類のDNAによって遺伝情報が担われているとは思われておらず、生命はもっと複雑で神秘的な存在だと思われていた時代に、偉大なる功績を残しながらも研究の最前線から身を引いた物理学者シュレーディンガーが一般向けに語った生命論がこの一冊。

 歴史の最前線に立ち続けられる時期には限りがある。それは悲しいけれども現実だ。
 身を引く理由は能力の衰えの場合もあれば、人間関係のもつれのせいもある。単なる自主的な理由の時もある。
 一線から退いた研究者が何をするかと言えば、語るのだ。今までの研究人生を元手にその分野を俯瞰し、あるいはその経験を元に他所の分野について語るのだ。
 シュレーディンガーが今回行っているのは、その両方である。生命の分野は彼の専門外だが、タンパク質その他の構造は物理学の守備範囲でもある。
 そして生命論は彼の、いや、生きている者ならば誰だって語る資格のある分野である。







 彼の語る生命分野の話にはもはや価値はない。それらの情報はもはや幾重にも更新されている。歴史的な価値もない。彼は生命分野の研究者ではないのだから。
 物理学的な価値も……既にこの手の情報も更新されているのだろう。私は知らないが、しかしミクロの世界を語るための量子力学の発展は著しいのだから。
 ならばどこに価値があるのか、と言えば、シュレーディンガーが語る生命論にこそ価値があるのだろう。

 「だろう」と書いているところから既に伝わるかと思うが、個人的には彼の論にはあまり感じるところがなかった。
 どうしてこの本を読み始めたのだろうと、途中で思い始め、そして最後まで疑問は解けないままであった。いや、本当に何で読み始めたんだっけか?
 ただ訳注で当時から現在に至るまでに成された情報の更新分の内、最低限の分は付されており、その点は好印象だ。

 個人的には、翻訳者による「あとがき」が一番面白かった。
 翻訳した当時、翻訳者が童貞だったとか告白されても心底困るが。


ジャンル別:自然科学|レーベル別:岩波文庫
より詳しくは右カラムのカテゴリから選択してください。


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Theme:読んだ本 | Genre:本・雑誌 |
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