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『ニンジャスレイヤー 荒野の三忍』感想:★★★☆☆

2014.01.05 Sun

ニンジャスレイヤー 荒野の三忍 (キョート殺伐都市 # 3)

ブラッドレー・ボンド,フィリップ・N・モーゼズ
エンターブレイン 2013-10-31
売り上げランキング : 2902
by ヨメレバ


 世はマッポー。世界には伝説的存在ニンジャが跋扈する。
 ネオサイタマを首都として抱える日本と、その西に位置するキョート共和国。その両国を股にかけ、ニンジャの殺害に勤しむ者こそニンジャスレイヤー。
 己自身ニンジャでありながら、ニンジャを殺すことを己の使命と信じる矛盾に満ちた存在だ。

 彼を突き動かすのは、恨み。
 一介のサラリマンに過ぎないフジキド・ケンジは、ザイバツ・シャドーギルドとソウカイ・シンジケート二つの闇組織の抗争に不運にも巻き込まれ、妻子を失った上に自身も瀕死に陥ったのであった。
 己の無力さに苛まれながらただ死を待つフジキドに、ナラク・ニンジャのソウルが宿った。そして彼はニンジャスレイヤーとして甦えることとなったのだ。

 何の罪もない妻と子供を殺した恨みを晴らすべく、ニンジャスレイヤーは全てのニンジャ抹殺を心に誓った。
 その戦いがまた、無辜の市民を巻き込むことになると知っていても。
 ネオサイタマを拠点としていたソウカイヤの首領の首は取った。次なる標的は、キョート共和国を拠点とするザイバツである。
 だがソウカイヤも壊滅した訳ではなかった。その残党と首領の息子が、新たなる組織アマクダリ・セクトを結成していたのだ。

 好むと好まざるとに関わらず、生きることは他者との関係を生む。
 ニンジャスレイヤーもまたネオサイタマで、そしてキョート共和国で、数多の人・ニンジャと出会い、殺し合い、そして縁を深めていく。


 収録作品は以下。
・「ブレードヤクザ・ヴェイカント・ヴェンジェンス」
・「ビヨンド・ザ・フスマ・オブ・サイレンス」
・「チューブド・マグロ・ライフサイクル」
・「フィジシャン、ヒール・ユアセルフ」
・「ナイト・エニグマティック・ナイト」
・「フェル・アスリープ・イン・ザ・ムービング・コフィン」(初翻訳)
・「スリー・ダーティー・ニンジャボンド」







 ニンジャスレイヤー世界で最も多く殺されている存在と言っても過言ではない、クローンヤクザ。
 それはヨロシサン製薬に「製造」された存在ではあるが、確かに生命なのだ。彼らが3年で死ぬことを運命付けられているとしても。
 ならば、彼のようなニンジャが生まれても不思議はあるまい。なにせゾンビーニンジャすら存在しているんだから。
 その「彼」が活躍するのが、「ブレードヤクザ・ヴェイカント・ヴェンジェンス」。
 クローン、数多存在する単一の存在。
 そのような生き物として生を受けた彼は、己の存在の限界を知りつつも自身の根源を問うべく駆ける。

 物語は意外な結末を迎えてしまったが、「彼」の今後はまた語られるのだろうか。きっと語られるのだろう。
 それを楽しみに待つ。



 「ビヨンド・ザ・フスマ・オブ・サイレンス」で語られるのは、シルバーキーとニンジャスレイヤーの出会い。
 キョート共和国の首都ガイオンの地表に鍼灸院を構えるほどに成功していたカタオキ。
 だが運命の不条理が彼を襲う。謎の存在が彼の体に憑依してしまったのだ。それは己の名前を名乗ることすらしなかった。
 その日から新たな力を手に入れたカタオキは、鍼灸師として更に腕を上げた。しかしカタオキ自身も理解していた。その力が彼をいつまでも自由にしておいてはくれないことを。
 そして彼の予感は四年の歳月の末に的中する。カタオキはカタオキで居続けることは出来ず、ニンジャ・シルバーキーとして生きることを余儀なくされる。
 絶体絶命の危機に陥った彼が唯一助けを求めることが出来たのは、謎の赤黒い存在。

 このシルバーキー、実に良いキャラクターだ。
 ヘタレで、けれども踏ん張るところでは踏ん張る素敵な野郎なのだ。
 ビジネスだ、と言いながらもニンジャスレイヤーと協力関係を結んでいく様は、シルバーキーの更なる変貌の予感と、そして彼の不幸の予感の匂いをさせている。
 でも本名であるカタオキって覚えにくいよ! カキオカなのかカタオキなのか時々分からなくなるよ。カタオカで良いじゃん!!



 「チューブド・マグロ・ライフサイクル」で主役を演じるのは、ニンジャではなくただの人間である。
 カチグミ、マケグミがはっきりと別たれた現在に於いて、マケグミの人間の命は埃よりも軽い。
 そんな彼らを搾取して、カチグミは更に富を増していく。
 今作で描かれるのは、そんな無情な現状に否を叫ぶ一人のマケグミの姿であり、現状に疑問を感じた一人のカチグミの足掻きでもある。

 これまたニンジャスレイヤーは凄いところで横から飛び込んで来るんだろうなー、と思っていたら、案の定の登場で笑った。
 出てくるニンジャがいちいち個性的なのもポイント高し。



 恐るべきマッドサイエンティスト・リー先生の指示の元、彼の部下でこれまたマッドサイエンティストであり且つニンジャでもあるブルーブラッドと、リー先生のゾンビーニンジャがとある「実験」に乗り出した。
 しかし彼らの「実験」が一般人にとって幸せなものであるはずもなく。その顛末が描かれるのが、「フィジシャン、ヒール・ユアセルフ」。
 それに偶然巻き込まれたのは、己の信念の元無所属を貫くニンジャ・ネザークイーンと、彼女の元で修行を積むヤモト・コキの二人。
 そして、たまたま近くを訪れていたフジキドもまた。

 正直、ヤモト・コキとネザークイーンの二人の戦いに、またしてもニンジャスレイヤーがタイミング良く登場するのは少し都合が良すぎると感じた。「ウェイティング・フォー・マイ・ニンジャ」に続いて二回目だし。
 ヤモト=サンのことは大好きなので、今後も登場して頂きたいのは山々なのですが。



 既に読者が良く知るとあるニンジャの生誕話が、「ナイト・エニグマティック・ナイト」。
 進学校に通うナブナガ・レイジは、腐っていた。父親がカロウシし、母親の親戚を名乗る男がやって来て、そして母親がおかしくなってから、彼は己の人生を、この世界を強く強く憎むようになったのだ。
 そんな彼のことを同級生たちが嘲る。ここにいるのはカチグミの子として生まれ、同じくカチグミにならんと欲する選ばれし者だけなのだ。
 しかし彼らの冷笑すらも、レイジにはどうでも良かった。彼は己の全てをたった一つの拠り所に注ぎ込んでいた。それはハイクだ。
 だが校内のハイク・コンペティションで、レイジの作品は佳作にも入らなかった。優秀賞を獲ったのは、下らぬハイクであった。
 レイジの絶望は深まるばかりであった。だがその時、彼のハイクを誉める人間が現れて……。

 苛酷すぎる人生を生きるレイジではあるが、この程度、ネオサイタマではよくあることなんだろうなぁと思うとなんともかんとも。
 たった一つの趣味に縋ったのにも関わらず、その気持ちを利用し踏みにじる相手に出会うだなんて。けれどもこの手の話は、現在の日本でもよくあることではあるか。
 深まるばかりの疑念の泥沼からレイジが違う社会へと移行できたのは、果たして幸か不幸か。その結末はきっとニンジャスレイヤーが、そして何よりも彼自身が決めるのだろう。



 書籍版で初翻訳となる「フェル・アスリープ・イン・ザ・ムービング・コフィン」は、シルバーキーが孤軍奮闘する話。ニンジャにも色々いるんだなぁ、と言うのが第一印象。
 珍しくニンジャスレイヤーが敵の罠に綺麗に嵌まっているが、ナラクが元気だったならば罵倒されたのだろうか。

 ザイバツ・シャドーギルドのニンジャによって、シルバーキーの脊椎に埋め込まれたIRC信号発信器。このままでは彼の居場所はザイバツに筒抜けである。
 シルバーキーはザイバツから自由になるために協力者を必要としており、そしてニンジャスレイヤーは眠りについたままのナラク・ニンジャを叩き起こすためにジルバーキーの能力を必要としていた。彼ら二人は、互いに互いを必要とする協力関係にあった。
 シルバーキーに埋め込まれたIRC信号発信器を取り除くため、二人はネオサイタマへと向かう。その手術を請け負ってくれる闇医者がネオサイタマにいるのだ。
 だが、ザイバツがそれを見逃してくれるハズもない。二人が乗り込んだネオサイタマへと向かう新幹線の中で、それは静かに始まった。



 今回のサブタイトルとして採用されている「スリー・ダーティー・ニンジャボンド」は、表紙の通りに三人のニンジャが一時的な協力関係を結ぶ話。
 荒地セキバハラ、呪われた彼の地にも村があった。かつての栄華はどこへやら、今となってはただ寂れ往くだけの村が。
 その中の一つ、オタカラ村に今脅威が迫っていた。どうやら隣村は既にその犠牲となったらしい。
 不吉な予感に打ち震える村人たちの前に、情け容赦なくソレは現れた。水銀のごとき体を持つニンジャ、そして巨大なバイオ蛙を操るニンジャ。ニンジャは、村長に雇われたヨージンボーたちを殺戮して行く。
 読者は驚愕するだろう。彼ら二人はサヴァイヴァー・ドージョー所属のニンジャではなかっただろうか? 彼らがこのような辺境の村を襲うとは一体?
 彼らサヴァイヴァー・ドージョー所属のニンジャたちの後を追って登場するのは、猿じみた俊敏さを持つ赤紫の色をした人間のようで明らかに人間ではないものたち。
 この生き物は一体なんなのか。そしてサヴァイヴァー・ドージョーのニンジャたちとの関係は一体? 何よりも、サヴァイヴァー・ドージョーの長たるフォレストはどこへ?

 たった一人の少女を媒介に、彼ら三人のニンジャが共闘関係を結ぶというのは少し理解し難い。が、西部劇めいた格好良さのせいで、全てを許したくもなる。
 この物語の後半部分が明らかにされ、ワタアメの行く末が判明する日は来るのだろうか。



 下準備のための一巻といったところ。あるニンジャの過去などは明らかにされたが、しかし、物語に大きな進展はない。
 ニンジャスレイヤーに宿り今なお自我を失わぬニンジャソウル・ナラクは長い眠りから目覚めるのか、ダークニンジャが執拗に狙う遺跡にある物とは一体。全ては次巻で明らかになる……と良いな!



テーマ別:忍者|出版社別:エンターブレイン
より詳しくは右カラムのカテゴリから選択してください。


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