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『ニンジャスレイヤー ゲイシャ危機一髪!』感想:★★★★☆

2013.11.06 Wed


ニンジャスレイヤー ゲイシャ危機一髪! (キョート殺伐都市 # 2)

ブラッドレー・ボンド,フィリップ・N・モーゼズ エンターブレイン 2013-08-31
売り上げランキング : 4468
by ヨメレバ


 今回の『ゲイシャ危機一髪!』は第二部キョートサツバツ都市の、第二巻。
 舞台となるのは、どこかの世界の日本。東京の機能を飲み込んだネオサイタマが首都である。
 現在の日本は鎖国状態となっており、それがなくとも殺人マグロが群れなす外洋には出られない。
 酸性雨が降り注ぐネオサイタマの環境悪化は著しいが、何も悪くなっているのは環境だけではない。治安も政治家も、今や真っ黒だ。
 その上ある時期を境に、古の伝説的存在ニンジャのソウルを吸収し、人間からニンジャへと変貌した者たちが、跋扈するようになってしまった。彼らは通常の人間を遥かに超える能力を持ち、更にはニンジャソウルを持たぬ普通の人間のことを卑下する傾向にあった。
 そうなれば何が起こるかは自明である。
 まさにマッポーである。古事記に記されていた通りだ(注:という設定です)。



 本書の主人公たるフジキド・ケンジもまた、ニンジャに理不尽に虐げられた者であった。平和なる家族団欒は一瞬にして悲劇と化し、妻も子供も失った。
 瀕死の彼は憎んだ。ニンジャを。そんな彼の呪いに応じる声が一つ。それは肉体を持たぬ存在であった。その名はナラク・ニンジャ。
 ニンジャでありながらニンジャを憎み、全てのニンジャの抹殺を願うナラクの魂が、フジキドに宿る。そしてフジキドはニンジャスレイヤーとなったのだ。

 妻子の復讐のため、ネオサイタマを根城とするソウカイ・シンジケートを壊滅に導いたニンジャスレイヤーであったが、彼の戦いはまだ終わらなかった。
 彼ら家族が遭遇したマルノウチ・スゴイタカイビルでの抗争は、ネオサイタマまでその手を伸ばさんとするキョートのザイバツ・シャドーギルドが引き起こしたものであったのだ。
 妻子の仇を討つため、また全てのニンジャを抹殺するために、フジキドは生まれ育ったネオサイタマを離れ、ザイバツの本拠地キョートへと足を踏み入れる。



 収録作品は以下。ニンジャスレイヤー・シリーズの常として、時系列ではない。
・「モータル・ニンジャ・レジスター」
・「ゲイシャ・カラテ・シンカンセン・アンド・ヘル」
・「クライ・ハヴォック・ベンド・ジ・エンド」
・「ライズ・オブ・アマクダリ」(初翻訳)
・「ウェイティング・フォー・マイ・ニンジャ」
・「デス・フロム・アバヴ・セキバハラ」


 共感しやすい理不尽に妻子を奪われた恨みを抱くフジキドと、その欲求自体が理不尽な全ニンジャ抹殺の願望を抱くナラク。その両者から成るニンジャスレイヤーという存在は、人間性と非人間性の両面を有する複雑なヒーローだ。
 彼を取り巻く環境もまた多彩である。ニンジャスレイヤーと対立するソウカイヤ、ザイバツ所属のニンジャたち。闇組織に属さず、人間社会の一部として生きることを選ぶネザークイーンやヤモト・コキなどのニンジャ。
 更にはニンジャスレイヤーと同じくソウカイヤやザイバツに恨みを抱くニンジャに、ただの人の身ながらニンジャスレイヤーに力を貸す者。
 この暗黒の世界でも必死に生きる無力な人間たちの間を、彼らは駆け抜けていく。それは時に他人の助けとなり、また時に他人を巻き込み理由無き死に追い落としもする。
 何が正しくて何が間違っているのか。その境目も曖昧模糊と消えつつある中で、各々は己の良心あるいは野心のために必死に走る。







 ニンジャスレイヤーが、ネオサイタマの死神の二つ名の威力を見せ付けるのが「モータル・ニンジャ・レジスター」。
 キョートに大量にばら撒かれるようになったチラシ。そこに名を連ねるのは十四人のザイバツ所属のニンジャたち。しかも内2つ、デスナイト、グラディエイター、には×が付けられていた。
 そう、二人はもうこの世の人ではないからだ。
 被害者は当然二人に留まらない。チラシに記載されたニンジャが一人また一人と消されていく。犯人はニンジャを殺すもの、即ちニンジャスレイヤーである。
 だがどうして彼らだけが標的となったのか? そこには、ニンジャスレイヤーのとある意図が隠されていた。

 好きでニンジャになったわけでもなければ、好きでザイバツに所属している訳でもないんだよ! これも生きていくための仕事なんだから!
 と絶叫するザイバツ所属ニンジャの声が聞こえそうな、ニンジャスレイヤーの無慈悲っぷりが輝く一作。
 そうは言えどもニンジャはニンジャ。弱者たる人間を気軽に殺して省みない以上、より強い者に殺されても仕方がない。インガオホーである。



 「ゲイシャ・カラテ・シンカンセン・アンド・ヘル」。マッドサイエンティストであるリー先生によって生み出されたゾンビーニンジャであるジェノサイドは、今日も己の腐臭を隠すために酒を呷っていた。
 そこに現れたのが、ゲンシャのユリコ。彼女は男に捨てられ、ネオサイタマにも居辛くなったため、キョート共和国へ新幹線で出国するつもりなのだと言う。
 ネオサイタマとキョートの間に横たわる不毛の地とそこに出没する強盗団の間を走り抜ける新幹線は、乗客の死亡率の高い乗り物である。防護の行き届いたダイミョ・クラスやカチグミ・クラスならばまだしも、最後尾のマケグミ・クラスとなれば尚更だ。
 それでもユリコは命がけでキョート共和国へ行こうとしていた。
 そんな彼女と酒盃を重ね、腐り行く脳が偶然見せる過去に酔いしれるジェノサイドの前に突如乱入したのは、リー先生から遣わされたザイバツのニンジャたちであった。ゾンビーであるジェノサイドの弱点を知るリー先生の策略により、ジェノサイドは簡単に捉えられてしまう。
 彼はゾンビーを弱体化させるウイルスに蝕まれながら、成すすべなく棺桶に収められ、キョートへと向かう新幹線へと貨物として載せられてしまった。
 そしてその便には偶然にもユリコも乗り合わせていたのだった。更に彼女の隣の席には、これまた偶然に初のキョート行きに心揺れるフジキドが。
 更に更に、ダイミョ・クラスにはジェノサイドの捕獲とネオサイタマでの仕事を終え、キョートへと凱旋しようとするザイバツ・ニンジャが乗っているのだ。
 彼らが同じ新幹線に乗り合わせて、それで何事もなく済む訳がない。キョートに向かって荒野をひた走る新幹線で今、奇妙な共闘と闘争が始まろうとしていた。

 妻子が無念の死を遂げたマルノウチ・スゴイタカイビルから離れることに、不安を覚えるフジキドの姿が印象的な作品。
 日々崩れ行く肉体と日々失いつつある記憶と共に生きるジェノサイドの苦悩もまた、胸に迫る。彼がことあるごとに己の名前を叫ぶのは、まだ自分が生きている、死体に成り果ててはいないとの意思表示なのだろう。
 でもゾンビーにも憑依しちゃうニンジャソウルって、本当に節操がないな。
 遠隔地ではあるがザイバツの幹部連中も姿を見せ、これから始まるであろうフジキドと彼らの戦いに期待が膨らむ。



 我らがニンジャスレイヤーの宿敵ダークニンジャが登場するのが「クライ・ハヴォック・ベンド・ジ・エンド」。
 ソウカイヤの首領ラオモト・カンの懐刀でありながら、ソウカイヤ壊滅に瀕してザイバツに寝返ったダークニンジャ。
 その行いはニンジャ社会でも褒められたものではないはずなのだが、ロード・オブ・ザイバツの側近であるパラゴンに気に入られ、加えてニンジャとしての実力、キョートで重んじられる奥ゆかしい立ち居振る舞いとワビサビの心得から、今ではザイバツの幹部の一人となっていた。
 そんな彼にロード・オブ・ザイバツが命じたのは、アンダーガイオンの最下層に位置するコフーン遺跡の発掘プロジェクトであった。ここには三種の神器の一つ、ヌンチャクが眠っていると言われている。

 一方、アンダーガイオン第二層にある出店で昼ご飯中だったタカギ・ガンドーとフジキドの前に、片腕を肘から失くした傷だらけの上にボロボロな身なりの男が倒れこんだ。
 死に行く彼が政治家に渡して欲しいと二人に託したのは、直訴状。それを一読した二人は眉を寄せる。
 拙い筆使いでそこに記されていたのは、アンダーガイオンの最下層で進められている信じられない事業であった。なんと最下層の複数のフロアを、住人もろとも巨大なドリルで貫通させようと言うのだ。
 最下層の住人であるこの名も無き男はその事業に驚き、現状を訴えるために必死に層を登って来たのだ。階層ごとに歴然とした階級を成すこのガイオンにおいて、それは無謀としか言いようのない行いであった。事実、彼はそのせいで死んだ。
 命を軽視した事業にザイバツの影を見たフジキドは、ガンドーと共に最下層へと向かう。
 だがそこで待っていたのはダークニンジャと、そして意外な人物であった。

 キョートの階級社会を体言している癖に、ダークニンジャに心酔する若きエリートニンジャ・トゥールビヨンがなんだか可愛い。
 他にも、「ああ、またモータル(一般市民)が巻き込まれちゃってるよ」と思ったのに、その正体がまさかの人物で思わず笑ってしまった。ネオサイタマとは勝手が違うとは言え、あれよあれよと言う間に転落しすぎだ。
 頭の中身は置いておいて、一番人間に近い外見を持つ彼ですらこの落ちっぷりなのだから、他のメンバーがどうなっちゃっているのか気になって仕方がない。
 でも、最下層の住人が直訴状携えて偶然フジキドの元へやってくる、とのキッカケはちょっと出来すぎていて興ざめ。



 書籍版に独占収録の「ライズ・オブ・アマクダリ」は、そのタイトルの通りアマクダリの創設に纏わる物語。

 ネオサイタマが燃えていた。隆盛を誇ったソウカイヤも、今やマッポやザイバツ・ニンジャに追われる身であった。
 ソウカイヤの首領ラオモト・カンの末息子ラオモト・チバは、その現状を痛烈に突きつけられていた。今まで彼に歯向かう者などいなかったと言うのに、それが目の前で異母兄ラオモト・ヨルジの配下のニンジャ二人に良いように小突きまわされる有様だ。
 チバが死を覚悟したその瞬間、しかし彼の前に一人の男が現れた。彼の名はオニヤス・カネコ。ソウカイヤに属する新人ニンジャだ。その証拠にニンジャネームもない。
 だがオニヤスは全身に怪我を負いながらも、二人のニンジャからチバを守り抜いた。彼は亡きラオモト・カンに捧げることの出来なかった忠誠を、彼の後継者たるチバに差し出さんと欲していたのだ。

 オニヤスとただの人間である側近二人、それから大事なソウカイヤの旗とハンコだけを連れ、チバは燃え盛るビルから脱出する。
 だがそう簡単に逃げ延びられるはずもない。ハンコを狙う連中が彼らを取り囲む。
 絶体絶命だと思われたその時、チバの前に再び救いの主が手を差し伸べた。彼の名はアガメムノン。しかしその足は、ソウカイヤの旗を踏みにじって動じない。
 アガメムノンの狙いは、ラオモトの息子チバであった。
 ザイバツが侵攻しつつある今、ネオサイタマには新たな組織が必要なのだ。それにはあのカリスマ、ラオモト・カンの息子である彼を神輿に担ぐのが都合が良い。
 チバはアガメムノンの企みを理解しつつも、彼の操り人形として新組織アマクダリを設立するのであった。


 このチバ、こまっくしゃれたガキで嫌いだなと思いつつも、殺されそうになる度に心配してしまう不思議。
 オニヤスを顎で使いながら、倒れるまで全力で頑張った彼にニンジャネームを与えてあげるあたり、人の上に立つ器だと思わせられる。それが例え、彼に忠誠を誓うニンジャがオニヤス(ネヴァーモア)しかいないという事情があったとしても。
 チバとアガメムノンは、ザイバツがメインとなる第二部ではなく第三部で活躍するんだそうな。



 今回表紙を飾った二人が活躍するのが、「ウェイティング・フォー・マイ・ニンジャ」。
 ネオサイタマの歓楽街ネオカブキチョ、その一角にあるニチョーム・ストリートはセクシャル・マイノリティたちの楽園である。ここではどんな奇特な性癖をしていようとも咎められることはない。
 しかしその一方で、ニチョーム・ストリートは外部から奇異と偏見の目で見られていた。何か事件があると、ここの住人が犯人だとされてしまうのだ。
 そんな外部との軋轢、またソウカイヤ壊滅後の不安定な治安を守るために働くのがザクロであった。
 ニチョーム・ストリートのゲイ・バー「絵馴染」のオーナーでもあるザクロは、実はニンジャ・ネザークイーンなのである。
 今回ザクロの元に寄せられた依頼は、この界隈で頻発している女性ばかりを狙う辻斬りの捕獲。この連続殺人の犯人として、無罪のニチョーム・ストリートの住人が逮捕されてしまっているのだ。
 成り行きから「絵馴染」に身を寄せるヤモト・コキはザクロの正体に気が付き、彼女(彼?)の仕事を手伝わせて欲しいと申し出る。

 その頃、意識の底に沈み行くナラクを叩き起こすべく、特殊な術の使い手たるシルバーキーを連れたニンジャスレイヤーもネオカブキチョを駆けていた。
 目的地は、シルバーキーに埋め込まれた忌まわしき装置を摘出してくれる闇医者。
 だがそう簡単にはいかない。装置によってシルバーキーの居場所はザイバツに筒抜けであり、また彼らとてシルバーキーをみすみす見逃す気はないのだ。
 無力なシルバーキーに、ネオサイタマの死神ニンジャスレイヤーが同行していることを知ったザイバツは、シテンノの一人レッドゴリラと彼の相棒アロンダイトを派遣する。
 ネオカブキチョの闇を走る彼らの足跡は、偶然にも交差する。



「シー・ノー・イーヴル・ニンジャ」(『ニンジャスレイヤー ザイバツ強襲!』収録)でイグゾーションに敗北したニンジャスレイヤーが、キョートの東に広がる無人の荒野セキバハラに磔にされてしまったところから始まるのが「デス・フロム・アバヴ・セキバハラ」。
 身動きも出来ない彼の前で何日も何日も繰り返されるのは、イグゾーションたちが寿司と茶を楽しむ会。なんと嫌らしい攻撃だろう!
 灼熱の太陽と極度の飢えと乾き、更に効果的に加えられるイグゾーションの精神的な攻撃によって、さしものニンジャスレイヤーの正気も徐々に失われつつあった。
 彼が復讐者である己の孤独を噛み締めながらこの世とオサラバしかけたその時、誰もいるはずのない荒野に人影が。タカギ・ガンドーだ。
 ガンドーに助けられたニンジャスレイヤーはしかし、イグゾージョンと決着を付けるべく、磔台で彼を待つこととした。

 一方のイグゾーションは、ダークニンジャの真意を確かめるべく、セキバハラに密かに建設した秘密基地で考古学者ウミノ・スドを監禁していた。
 ザイバツの幹部グランドマスターの一員であるイグゾーションには、突如ソウカイヤを裏切りザイバツに組したダークニンジャの存在が気に食わない。彼にはダークニンジャがザイバツ、ひいてはロード・オブ・ザイバツをも、己の欲望のために利用しているとしか思えないのだった。
 ではダークニンシャの目的とは何か。それこそはガイオンの地下深くに眠るコフーン遺跡、そこに隠されているとされる三種の神器に他ならない。
 事実、ダークニンジャはニンジャとなる前、単なるフジオ・カタクラであった時代にはウミノ・スドの元で教えを受けていた身なのである。
 三種の神器とは、古事記に記されし暗号の正体とは。今やウミノ・スドを篭絡したイグゾーションは、その答えに迫ろうとしていた。


 ザイバツ・ニンジャの中でもかなりの高位であり実力者であるイグゾーションと、ようやく決着が付く。
 ニンジャスレヤーの前には他のイグゾーションと同じ位にあるニンジャが他にも複数、加えてダークニンジャまでもが控えていると言うのに、ラオモト・カンとの死闘から未だ癒えないナラクと、ナラクに比べるとまだまだ実力に劣るフジキドの両者に不安を抱く一作。




 コフーン遺跡、三種の神器、ニューワールドオダー、ダークニンジャの狙いなどなど、徐々に輪郭が見えてきたものの、まだまだ謎の多い第二部二巻目でした。
 未だザイバツ側、ダークニンジャの方がニンジャスレイヤーよりも上を行っており、これをどう彼がひっくり返すのか楽しみだ。

テーマ別:忍者|出版社別:エンターブレイン
より詳しくは右カラムのカテゴリから選択してください。


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