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『バスカヴィル家の犬 【新訳版】』感想:★★★★☆

2013.11.04 Mon


バスカヴィル家の犬 (創元推理文庫)

アーサー・コナン・ドイル 東京創元社 2013-02-27
売り上げランキング : 86335
by ヨメレバ


 先にグラナダTVが映像化した『バスカビル家の犬』を見ていたおかげか、文字情報だけで様々な映像が頭の中に喚起され、舞台となるムーアの陰鬱さと、長年バスカヴィル家に取り憑いてきたとされる魔犬の伝説の忌まわしさが実に生き生きと迫って来た。
 同じ長編の『緋色の研究』、『四人の書名』とは違い、ホームズの推理編と犯人が語る解答編の二部構成になっていないのも良い。

 やっぱりホームズは理路整然とした推理モノとしてよりも、怪奇モノとして推した方が輝く。
 ムーアに多数残る古代人の住処の跡なんて、特に奇妙で物悲しく、口から火を吐くとされる魔犬の伝説と相俟って物語全体を独特の雰囲気で取り巻いている。
 理解を撥ね付ける不可思議の底に沈むパスカヴィル家の怪を、ホームズは最後には理路整然と解きほぐし、全てを人の手に、つまりは理解の下に組み伏せる。
 しかし、それでもあまりにも魅力的なムーアと魔犬の香りは残されているように思えるのは、単純に私がそれらをあまりにも気に入ったが故なのか。


日が落ちてのち、ムーアを横切ることなかれ――世に逢う魔が刻と言うごとく、そは悪霊の跋扈する魔の刻なればなり、と。(p.32)









 此度、ホームズの前に依頼に訪れたのは、ワトスンの同業者モーティマー医師であった。
 彼が持ち込んだのは、パスカヴィル家に纏わる問題であった。先日、パスカヴィル家の老当主であるサー・チャールズが亡くなった。
 サー・チャールズの友人であり、主治医であり、遺言執行人であるモーティマー医師は、新たな当主となるサー・ヘンリーのロンドン到着を直前に控えて判断に悩んでいた。
 パスカヴィル家には忌まわしき魔犬の伝説が代々伝わっており、サー・チャールズも酷く気にしていたのだ。
 彼の死は元々悪くしていた心臓の発作のせいとされていたが、しかしモーティマー医師は見たのである。彼の死体の近くに残されていた、大きすぎる犬の足跡を。

 今まではただの迷信だと思っていたパスカヴィル家の犬が、理性の子であるモーティマー医師にとってすらも無視出来ぬものとなり始めていた。
 その今、パスカヴィル家の最後の一人であるサー・ヘンリーをダートムアにあるパスカヴィル家の屋敷に迎えてもいいものかどうか、モーティマー医師にも分からないのだ。故にホームズに頼ったのだった。
 相談を受けたホームズは、とりあえずサー・ヘンリーをロンドンに迎え、その上で翌朝今度は二人揃って訪ねてくるようにと命じた。
 そして翌日、ホームズの下宿先にやって来たサー・ヘンリーは、一通の封筒をホームズに示した。それは新聞の活字を切り抜いて作られた警告とも懇願とも付かぬ手紙であった。
 更に、サー・ヘンリーとモーティマー医師の後をつける怪しいかつ、ホームズの追跡を悠悠と躱す謎の人物までもが現れて……。



 人間の仕業か、それとも超自然現象か。ホームズ譚であるからには前者に決まっているのだが、それでも怪しい空気が漂うダートムアの雰囲気が抜群で、もしや後者に転がるのではないかとワクワクする一作。
 「ホームズから重要な仕事を任された」と誇らしげなワトスンも、ホームズの信頼に応えようと頑張るワトスンも、「信用されていなかったのか」と勘違いして凹むワトスンも可愛らしくて、なんとも言えない。

 解説では数多映像化された本作の有名どころを説明してあり、今後の指針になりそうだ。
 私が見たのはグラナダTV版だけだが、これは原作で違和感の残る部分を上手く改変していて、素晴らしい。他にも見るのが楽しみだ。


 脇の甘さには定評のある原作だが、今回一番気になったのは、最終章でワトスンが「ホームズが複数の事件を重複してひきうけることはぜったいにしないのは知っていたし(p.305)」と述べるところ。
 本作でワトスンが一人奮闘することになるのはホームズがロンドンで別の仕事で手一杯だからとされている、つまりは事件が重複していることになると思うのだが、そうなるとワトスンのこの記述は一体。
 パスカヴィル家の事件の時点ではワトスンは上記のホームズの主義を知らなかったが、後に知ったということか。



シリーズ別:シャーロック・ホームズ・シリーズ|作者別:コナン・ドイル
より詳しくは右カラムのカテゴリから選択してください。


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