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『ヴァルミュラーの館』感想:★★★☆☆

2013.10.17 Thu




 読み終わった一番の感想が「ああ、うん。これ流石に商業で出せないわ」だったりする本書は、翻訳者である垂野創一郎氏が出している同人誌シリーズ「エディション・プヒプヒ」の一冊でございます。

 「商業で出せない」と言うのは、つまらないという訳ではなくて、起承転結の転までは真っ当なのに結に至る道筋が雰囲気でのみ構築されているあたりにある。
 ただまぁ、わざわざこの同人誌を買う人はもう一種の悟りを開いているので、この展開にも「ドイツの作家だから仕方が無い」あるいは「これでこそドイツ作家! 待ってました!!」と暖かく迎えてくれることでしょう。

 つまりはマイリンクの「レオンハルト氏」を誉め讃えちゃう私のような人には、乙なものでございました。
 ただ微妙に点数が辛いのは、起承転結の転まで真っ当な幽霊屋敷譚だったせい。オカルト風味をもっと長く味わいたかったし、変節が唐突な感は否めない。








 若い頃には日常という普通を忌み嫌っていたバーネルも、今では歳をとり、ビジネス界の成功者の一人となっていた。かつてはあれほど避けていた普通こそが現在の彼の世界そのものであり、金と時間こそが彼の指針なのであった。
 そんなバーネルだが、出張の途中たまたま列車の中で一緒になった女子学生と交わした会話に刺激を受け、かつての愚かしい青年時代を暮らした街に二十年ぶりに立ち寄ることにした。
 まるで夢想家時代に戻ったかのような己の振る舞いに苦笑いを零すバーネルが思い出すのは、幼馴染みのノースのこと。ノースは外国に旅立ったっきり、消息不明になっていた。

 考え事をしながら歩くバーネルの目の前に現れたのは、奇妙な館。そして怪しい老人。彼はゆっくりと、ある道を指差した。
 この非現実的な出来事は、現実的な思考の持ち主であるバーネルには許容出来なかった。幻想を打ち払うために彼は酒場に飛び込んだ。
 だが、そこでバーネルが出会ったのは、件のノース。未だ夢から覚めぬまま経済的な成功とは無縁な暮らしを送るノースのことをバーネルは馬鹿にするのだが、しかしノースも慣れたもので軽くいなすのだった。
 その上でノースが語った帰国の理由。それは研究のために訪れたエジプトの地下墓地で偶然見た、故郷の新聞に記されていた「ヴァルミュラー邸」なる見ず知らずの物件の販売予定のせいなのであった。
 どうでもいいはずのその内容がどうしても頭から離れず、ついにはノースはそのために帰郷したのだ。件のヴァルミュラー邸なるものを知るために。

 ヴァルミュラー邸、それは、近隣の住人からは幽霊屋敷と呼び習わされる存在であった。そしてそれは、バーネルが見た奇妙な館のことなのだ。
 住人達が近付かぬヴァルミュラー邸で、バーネル、ノースの二人を待つものは。



 オチから言えば二人じゃなくて三人を待っていたわけだけれど、この三人目の存在感が希薄でちょっと残念。
 この出来事で、ヴォルミュラー邸はもう幽霊屋敷ではないただの屋敷になっちゃうんだろうなぁ。


シリーズ別:エディション・プヒプヒ|翻訳者別:垂野創一郎
より詳しくは右カラムのカテゴリから選択してください。



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