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『ロシア・ソビエト文学全集5 隊長ブリバ 他』感想:★★★☆☆

2013.09.14 Sat


ロシア・ソビエト文学全集〈第5〉ゴーゴリ (1965年)ロシア・ソビエト文学全集〈第5〉ゴーゴリ (1965年)

平凡社 1965
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 ロシア・ソビエト文学全集の4巻5巻は共にゴーゴリ特集。この5巻に収録された作品は以下。
・「隊長ブリバ」 原久一郎・訳
・「イワンがイワンと喧嘩した話」 原久一郎・訳
・「ディカーニカ近郷夜話」 工藤精一郎・訳
 第一部
  序言/ソロチンツイの定期市/イワン・クパーラの前夜/五月の夜、または水死女/消え失せた国書
 第二部
  序言/降臨祭の前夜/怖ろしき復讐/イワン・フョードロウィチ・シュポーニカとその叔母さん/魔法にかけられた土地 

 「イワンがイワンと喧嘩した話」以外の二作品は幻想味を有する作品。また同時にコサックのロマン溢れる武勇伝が奏でられる。







 老コサックであるブリバと、その息子であるひよっこコサック二人の顛末を描いたのが「隊長ブリバ」。
 広々としたロシアの大地と、その周辺から攻め込む敵、それに立ち向かうコサックたちという血湧き肉躍る物語だが、血も肉も全てはロシアの大地に戻って行く激烈な生を描いた作品でもある。
 常時は酒を喰らって享楽に浸っているコサックたちが、いざ戦争となると途端に規律正しく立派な軍隊になる樣は、色々と美化しすぎだろうと思いつつもやはり魅力的だ。
 ブリバの争いを望む気持ちは、理性には理解出来ないが、気持ちとしては理解出来る。己の命という唯一無二なものを賭けるのは非常に興奮するものなのだろう。しかも賭けに勝てば名声も金銭も付いてくるのだから。

 ブリバの次男アンドリイの恋により物語には彩りが、そして長男オスタップとブリバの肉体から滴る血が物語に悲壮と勇壮を響かせている。
 だがそれも、永遠ではない。



 「イワンがイワンと喧嘩した話」はタイトル通りの話なのだが、たった一つの失言から親友同士が長い長い訴訟合戦に突入する樣、またその訴状の回りくどいこと、更にその手続きの進まなさが渾然一体となり、笑いへと昇華される物語。
 だがその笑い声は明るいものではなく、諦観に彩られている。
 なんと人生はくだらなく、世界もまたくだらないのだろう!


 「ディカーニカ近郷物語」はゴーゴリを一躍有名にした物語集。全二部からなるが、今回は全て収録されているようだ。
 養蜂者ルードゥイ・パニコーが客人たちの語った不思議な物語を集めて印刷した書物、という体裁で物語は進む。彼自身もかなりの語り手だとされるが、結局のところ彼の物語は収録されない。
 展開される物語は大いなるロシアの雄大さと曖昧さを包括し、ほぼ全ての話中に悪魔が登場する。だがここでの悪魔は格好良くもなければ、絶対的なる強者でもない。
 彼らは泥臭く、人間よりも人間臭い。彼ら悪魔は人間を唆しては時として成功するが、時として滅多打ちに遭う。


 泥臭いのは悪魔だけではない。三作に登場する人間たちもみな同じく泥臭い。洗練とは程多いが、その支離滅裂な計画性に欠ける暮らしは、けれども楽しそうである。
 時計の秒針に追われ、時間を細かく切り刻みながら生きる現代とは全く違う、ゆったりとした雰囲気が流れている。


シリーズ別:ロシア・ソビエト文学全集|テーマ別:ロシア
より詳しくは右カラムのカテゴリから選択してください。


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 以下、調べきれなかったお話。
 ソ連時代に抹消された作家は多かったが、ゴーゴリは時代が変わっても愛され続けて来たそうな。
 映画ブームの波に乗ってゴーゴリ原作の映画もソ連で多数、またその後他の国でも色々と作られたそうで。
 上記の三作なら「隊長ブリバ」が一番映画映えしそう……と思ったら案の定あった。
隊長ブーリバ [DVD]

・『隊長ブーリバ』(1962年、アメリカ)
 なんとDVDにもなっている。1000円ほどとなかなかお安くなってございます。

 ゴーゴリ原作はその他にも、
『イヴァン・イヴァーノヴィチとイヴァン・ニキーフォロヴィチが喧嘩した話』(1941年、ソ連?)
 長編アニメらしい。あの内容でよくぞ長編に……。
(参考:「イヴァン・イヴァーノヴィチとイヴァン・ニキーフォロヴィチが喧嘩した話」(1941)ろしあん・あにめ

『外套』(1959年、ソ連)
(参考:ゴーゴリ生誕200周年でロシア映画3本立てペールブイ感謝祭

『血塗られた墓標』(1960年、イタリア)
 原作はゴーゴリの「ヴィイ(ヴィー)」。
 参考にさせていただいたサイトによると、「『吸血鬼ドラキュラ』(1958)に対するイタリアからの回答、それこそが本作『血塗られた墓標』(1960)である。」だそうで、凄く気になる。ただ原タイトルがさっぱり残っていないように、内容自体も殆どオリジナルと化しているそうな。
(参考:血塗られた墓標Castle of the Darkness

『妖婆・死棺の呪い』(1967年、ソ連)
 これまた原作は「ヴィイ」。こちらは『血塗られた墓標』よりも原作に忠実らしい。参考にさせていただいたサイトでは絶賛されている。
 DVD化もされている。Amazonで買えるが、割と高い。
妖婆 死棺の呪い [DVD]

(参考:妖婆死棺の呪いCastle of the Darkness
 参考:妖婆・死棺の呪い ゴーゴリって人知ってる?四駒笑劇漫画
 参考:ゴーゴリ生誕200周年でロシア映画3本立てペールブイ感謝祭

『検察官』(1977年、ソ連)
(参考:ゴーゴリ生誕200周年でロシア映画3本立てペールブイ感謝祭


 他に、『妖婆・死棺の呪い』のリメイクが2009年にロシアで成されたなんて情報もあったのだが、いまいち分からなかった。
 これとは別なのか同一なのか知らないが、原作を「ヴィイ」とする3D映画が今年ロシアで公開されるらしい。
 予告編があったのでYouTubeからペタリ。



 「私の知ってる『ヴィイ』と違う……」が最初の感想になってしまったが、まぁ映画なんで色々あるんでしょう。尺とか尺とか。
 3Dとか言われると「飛び出す貞子」な想像しか出来ない。ところでこれ、日本でも公開されるんですかね。

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