RSS|archives|admin


<<『かくれんぼ・毒の園 他五篇』感想:★★★★★ | ホーム | 『祈(百年文庫56)』感想:★★★☆☆>>

スポンサーサイト

--.--.-- --
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


Category:スポンサー広告 | Comment(-) | Trackback(-) | top↑ |

『ウイルスと地球生命』感想:★★☆☆☆

2013.08.16 Fri


ウイルスと地球生命 (岩波科学ライブラリー)

山内 一也 岩波書店 2012-04-14
売り上げランキング : 158026
by ヨメレバ


 内容紹介には「あなたが胎児だったとき、ウイルスに守られていた?」なんてセンセーショナルな文章が踊っている割に、内容の八割ほどはウイルスの基本的な話で、なんだか肩透かし。
 紹介文の影響で、こちらの設定ハードルが上がりすぎていたのかもしれないけれど。








 ウイルスが生物ではないとされる理由、セントラルドグマ、その概念に変更を迫った逆転写酵素の発見、DNAと遺伝子の違い、DNAに含まれる遺伝子が思いの外に少なかったこと、またそれが覆されつつあることを知っていれば本書は既知の内容ばかりとなるだろう。

 しかし、これらの用語に縁の無い人ならば楽しめるのかと言うと、記述は詳しいがけれど肝心なところで微妙に不親切に感じた。
 DNA→RNA→タンパク質と翻訳されることや、細胞内小器官の働き、タンパク質とアミノ酸の関係などはもうちょっと記述しないと分からないのではなかろうか。


 とは言えども、本書は細部が光る。長年研究に打ち込んだ者だけが得ることの出来る、細かな情報が面白い。
 書いてしまうと読む楽しみが失われてしまいそうなので、オブラートに包んでおくが、ウイルスの移動のダイナミックさを示す実例や、ウイルスを取り込んだことで起こる宿主の変化の例などが実に奇妙で、そして我々生物の「主体性」に疑問を投げかける。
 実感として私は自身の皮膚とそれに囲われた部分を「私」だと認識し、そして私の思考や意志は私に由来すると捉えているが、実際のところは全く違うのかもしれない。そんなのは完全なるお笑いぐさで、私は根本的な勘違いをしているのかもしれない。

 研究対象になっているウイルスが、全ウイルスのほんの僅かに過ぎないとの指摘も興味深い。
 確かに研究対象として選ばれるのは人間社会に影響のある人間、家畜、食料として利用されている魚類、植物がせいぜいであり、その他の生き物となると手が回らないのも当然だ。手が回らないどころか、何があるのかも、どこまであるのかも不明なままなのだ。

 科学の時代を標榜してきた現代ではあるが、まだまだ分からないことの方が多い。未だ光の当たらぬ分野が発展を遂げたとき、人間の生活はまた変わるのだろうか。


シリーズ別:岩波科学ライブラリー|ジャンル別:自然科学
より詳しくは右カラムのカテゴリから選択してください。


関連記事:
『太古からの9+2構造 繊毛のふしぎ』感想:★★★★★
『女の皮膚の下―十八世紀のある医師とその患者たち』感想:★★★★★
『すばらしい人間部品産業』感想:★★☆☆☆
『身体論のすすめ』感想:★★★★☆
「大人の科学マガジン」VOL.33感想:★★★☆☆




 「内容紹介で期待した割に、既知の内容が多くて残念だった。でも具体的な例の話は面白かった」を現すのに、ここまでの文字数を必要とする私に乾杯。

 個人的には、福岡伸一『生物と無生物のあいだ』に先行すると言うか、きっとこのタイトルの元ネタになったのだろう川喜田愛郎の『生物と無生物の間 ウイルスの話』なる本があることを知れたのも収穫。
 ……いやでも、福岡伸一版でも言及してたのかもしれない。読んだのが過去すぎて思い出せない。
 福岡伸一版は生物学の話としては一見さんにも面白かろうとは思ったものの、読後「あのぅ、生物と無生物のあいだの話は一体どこに?」状態になったので、今度は川喜田愛郎版を読んでみようかな。
 新本じゃ手に入らないようだから、借りてくるか。

Theme:読んだ本 | Genre:本・雑誌 |
Category:星2つ:★★☆☆☆ | Comment(2) | Trackback(0) | top↑ |
<<『かくれんぼ・毒の園 他五篇』感想:★★★★★ | ホーム | 『祈(百年文庫56)』感想:★★★☆☆>>

読書の毎日

今日は。
僕も本を買って、蔵書を含め読書の、毎日です。
春色さんほど、マニアックではありませんけれども。
(←誉め言葉です)。
- | 新サスケ | URL | 2013.08.21(Wed) 08:40:19 | [EDIT] | top↑ |

Re: 読書の毎日

新サスケさん、こんにちは。
コメントありがとうございます。

> 僕も本を買って、蔵書を含め読書の、毎日です。
 おお、羨ましい。
 今年は特に暑いせいか単に集中力がないせいか、ここ最近あまり読書に勤しめてないのです。
 まだまだ暑さは続くようなので、お互い体調を崩さないように気をつけて乗り切れると良いですね。
- | 春色 | URL | 2013.08.22(Thu) 23:24:03 | [EDIT] | top↑ |

name
title
mail
url

[ ]
Trackback URL
http://kkkate.blog.fc2.com/tb.php/588-19e17da0