アメリカドラマ『バーン・ノーティス 元スパイの逆襲(シーズン1)』感想:★★★☆☆
2013.08.11 Sun
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マイケルはCIAの元スパイ。任務の途中で突然解雇(バーン・ノーティス)を突き付けられたのだ。
おかげで順調に進んでいた仕事はご破算、多数に取り囲まれて殴られる羽目に。
だがそんな窮地をも機転ですり抜け、ぼろぼろの体を押して戻って来たアメリカ……そこは十年前に捨てたはずの故郷マイアミ、そして隣には別れたはずの彼女フィオナ(フィー)の姿があった。
長年信念を貫いて仕事をしてきたマイケルは、この突然の解雇に当然ながら納得がいかない。
しかしもはやスパイではない彼には、組織のバックアップは皆無である。それどころか、過去の全てが抹消されている。預金も凍結されカードも使えない、職務経歴書も真っ白だ。
今の彼が頼れるのは、なにかと銃をぶっぱなしたがる元IRAのフィオナ、そしてかつての相棒だが今や金持ちの女のヒモを生業とするサム、細かい用事でいちいち呼びつけてくる母親マデリン、問題児の弟ネイト、それだけである。
しかし既に年金を止めると脅されたサムにより、マイケルの情報はFBIに売られており、彼には監視が付けられていた。マイアミから出れば命の保証はないとまで通達されてしまう。
それでも諦められないマイケルは、当面の資金稼ぎのために街の住人の問題をスパイとして鍛えた技術で解決しつつ情報を集め、自分をクビに追い込んだ黒幕の存在を探る。
元が付くとは言えど凄腕のスパイであり、そのことに自負を抱いてもいたマイケルの職人っぷりと、また彼の人間関係の下手くそさ、必要とあらば殺しも辞さないくせに出来るだけ他人を傷つけずに済ませようとする善良さのギャップが何とも愛おしい。
マイケルに無理難題を吹っかけられ呪詛を吐いていた相手ですら、彼の心配をしてしまうのが良く分かる。
組織のバックアップがない今、簡単に手に入るもので何とか凌ぐそのサバイバルっぷりも見所。
何と言っても基本的にはマイケル、サム、フィオナの三人でなんとかしてしまうのだ。たった三人ながら相手を手玉に取り、強大な敵に成りすましては相手の恐怖を掻き立て、遂には追い出してしまったりと、心理戦にも強い。
彼の周囲の人間達も良い。
ヘビースモーカーながら健康なのに、自分は病気だと思い込みドクターショッピングが止められない母親マデリン。
母親の常としてご近所の人々の性格に詳しく、家が襲撃された時には皿を割って騒音を出しお隣さんを怒鳴り込ませることで事なきを得たりと、なかなかに逞しい。
マイケルとネイトの兄弟仲を思いやったりと世話焼きなのだが、それがまた鬱陶しくもある。けれども母親とはそういうものなのだろう。マイケルも結局、毎度毎度うんざりしながらも彼女からの呼び出しを断ることは出来ないのだ。
弟ネイトもまた憎めないキャラクターだ。
初登場時は借金取りに追われて血みどろ、マイケルに助けられても借金からは足を洗いきれない駄目なヤツだったのだが、人助けに必死になるマイケルの姿を見て改心していく。
兄貴のことが自慢で、でも素直になれないのかなー、なんて思うとネイトは可愛いヤツである。
マイケルからすればネイトは自分のような血腥い仕事に染まっていない、死の危険とは無縁の世界で生きて行ける、少し羨ましい「普通」の人でいて欲しいのだろう。
しょっぱなからマイケルの情報を売るサムも、こう見えてなかなかに良いヤツだ。酸いも甘いも噛み分けた大人である。普段はチャラいが。
何だかんだと言いながらもマイケルを信用しており、また彼のことを大切にも思っている。
中年体型だけに走ったりは苦手だが、銃の扱いはなかなかのもの。また陽気なオジサンな見た目に反して、拷問にも口を割らない逞しさをも持っている。
昔は優秀な兵士だったようだが、今ではヒモ男に成り下がっているあたり、彼にも色々とあったのだろう。
銃をぶっぱなすことが生き甲斐としか思えないフィオナも、良いキャラクターだ。痴話喧嘩も壮絶なようで、マイケルの体にはその時の傷がまだ残っていたりする。
元彼女とは言えどもマイケルから別れの言葉を聞いた訳ではない。ある日突然マイケルは消えてしまったのだ。
そのことを根に持っていたのだが、それはマイケルの関わっていた任務が失敗し、即時撤退を余儀なくされたからだとシーズン中に知ることになる。
未だにマイケルに未練があり、ことある毎に彼にモーションを仕掛けたりと、ネイトとは違った方面で問題児である。
が、殴るのが好きなフィオナは殴られることにも耐性があり、苛酷な条件下でも逞しく逃げ遂せたり耐え抜いたりと、なかなかのポテンシャルの高さを見せる。
ちなみに作中では凄い美人とされる。その設定には正直少し疑問を感じてしまうのだが、いつも衣装や髪型が可愛い。
どこか憎めないマイケルと、彼を取り巻く人間関係の変化と、そしてマイケルに依頼に来る人たちの切実さを軸に物語は展開していく。
シリアスなシーンであってもユーモアを忘れない脚本も面白い。
ただ問題は……マイケルの解雇を巡る内情が殆ど明かされないこと。マイケルが目出度くスパイに復帰した暁にはこのドラマが終わってしまうので仕方が無いとは言えども、なんとも歯がゆい。
現時点でシーズン7まであるそうだから、マイケルのスパイ復帰への道はまだまだ長いようである。
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無料だけれど電波が弱いBSチャンネルDlifeで現在S3が放送中の『バーン・ノーティス』に今更ながら嵌まったので、huluでシーズン1の最初から見てみた次第。
去年だか一昨年だかに、日本テレビ系列で水曜深夜の海外ドラマ枠で放送されていたのだが、その時はなんだか気に食わなくてスルーしてしまった。
その理由としては、主人公がそんなにハンサムじゃない、主人公の元彼女が凶暴すぎる、主人公の相棒がおっさん体型のおっさん、全体的に吹き替えの声が濃すぎる、と割と全面否定に近いものがあった。
が、Dlifeで前番組の『ホワイトカラー』、後番組の『Law&Order:クリミナル・インテント』(現在は『CSI』)を見るついでに間に入ってる『バーン・ノーティス』を眺めていたら、主人公の凄腕っぷりと人間臭さが堪らなくなってしまった。
「ええっと、この声、どこかで聞いたことが。誰だっけ?」と常に気になる濃すぎる吹き替えメンツも、それはそれで良いかなと。むしろ、これもまた魅力なんじゃないかと。
正直なところ、一箇所が気に入れば他が気にならないって贔屓目が発動したのが大きな理由。
ただhuluのは字幕なんだよね。ちょっと残念。
huluでは現在シーズン4まで配信中。5はいつ頃来るんだろう。
iPhone5、WiiU、3DSLLの三つの端末をハシゴしながら見たが、意外とどれもそれなりに見られた。
iPhoneサイズの画面で字幕は無理よ……と思っていたのだが、案外いける。
3DSはさすがに無理な気がするが、LLならまぁなんとか。ただブロックノイズが大目なので画質にこだわる方は止めておくが吉。そもそもそんな人は3DSで見ようとは思わないだろうが。
WiiUは快適なのだが、もうちょっとUIをなんとかしていただきたい。特にゲームパットだけで見ようとすると、かなり面倒。