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『世界短篇文学全集12 ロシア文学20世紀』感想:★★★★☆

2013.06.18 Tue


世界短篇文学全集〈第12〉ロシア文学 20世紀 (1963年)世界短篇文学全集〈第12〉ロシア文学 20世紀 (1963年)
奥野 信太郎

集英社 1963
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 収録作品は以下。
・「死の刺」 ソログープ、米川正夫・訳
・「恋の学問」 メレジコフスキイ、原卓也・訳
・「霧の中」 アンドレーエフ、原卓也・訳
・「ある平手打の話」 アルツィバーシェフ、米川正夫・訳
・「サンフランシスコの紳士」 ブーニン、黒田辰夫・訳
・「静かな曙」 ザイツェフ、原久一郎・訳
・「さあ、やれ」 クープリン、米川正夫・訳
・「コンミュナールのパイプ」 エレンブルグ、米川正夫・訳
・「消されない月の話」 ピリニャーク、米川正夫・訳
・「ひろいアラピヤ」 イヴォノフ、米川正夫・訳
・「ブルイガ」 レオーノフ、米川正夫・訳
・「果樹園」 フェーヂン、米川正夫・訳
・「おおむ」 ゾシチェンコ、米川正夫・訳
・「ドルグショーフの死」 バーベリ、神西清・訳
・「われらの父よ」 カターエフ、木村浩・訳
・「ろうそく」 シーモノフ、黒田辰夫・訳
・「三月‐四月」 コジェーヴニコフ、井上満・訳
・「春」 アントーノフ、中村融・訳
・「憎しみの教訓」 ショーロホフ、中村融・訳
・「仔馬」 ショーロホフ、米川正夫・訳、漆原隆子・訳
・「ほくろ」 ショーロホフ、米川正夫・訳、漆原隆子・訳
・「恋」 オレーシャ、木村浩・訳
・「スクリーンの前で」 ゾズーリャ、木村浩・訳
・「コロンブス上陸す」 イリフ、ペトロフ、木村浩・訳
・「河」 ボンダレフ、木村浩・訳

 ショーロホフを三篇載せている以外は、各作家一篇ずつ。








 「ロシア文学20世紀」とのタイトルに相応しく、収録された作品の多くは20世紀と呼ばれる時代がロシアに襲いかかった内実を色濃く反映している。
 国内での権力争いがあり、他国との戦争があり、飢饉があり、そして変わらぬ人間の生活がある。
 月は青ざめた顔で天を駆け抜け、太陽は地面をじりじりと燃やし、木々は寒さに身を鳴らしては耐えきれずに爆ぜ、草花は春を謳歌し、丸裸にされた森からは奇怪な生き物が泣きながら飛び出して来る。
 土煙は絶え間なく吹き上がり、そして陰鬱なる霧が周囲を覆い隠す。


 一作目の「死の棘」はソログープらしく、濃密な死が支配する物語。
 恵まれて育ったコーリャと、恵まれぬ生まれのヷーニャの二人の少年は友人となるものの、ある出来事からコーリャを悪いことに巻き込んだとヷーニャは叱られることとなった。
 彼はその恨みから、歪んだ復讐の矛先をコーリャに向け、彼を自殺に連れ込もうとするのだが、いつからか彼の目論見は彼自身をも飲み込み始め……。


 続いての「恋の学問」はコメディタッチな作品ながら、「霧の中」はまたしても陰鬱な物語となり、落差が酷いことに。
 「ある平手打の話」は恋にもなり損ねた醜い性欲と若さの物語。
 物語の概要だけならばそう複雑でもないのだが、これがアルツィバーシェフの手に掛かるとここまで印象的な一篇になる。

 その後はまた死の臭いが漂う作品が続くが、「コンミュナールのパイプ」は途中までの抑えた語りと、感情を露わにしたラスト部分のコントラストが輝く作品。
 「消されない月の話」は彼を救うことは出来なかったのかと煩悶とさせられるものの、彼が遺した最後の手紙の内容が心を打つ。話のネタ的に、よくぞ書いたものだ。

 死と密接した作品が続いた後、「ブルイガ」では一風変わり、これは森を追われた森に棲まう怪しい存在、日本で言うところの妖怪が主人公の物語となる。
 森を失っても森の妖怪たるブルイガは消滅することなく、泣く泣く人間社会へと参入することとなり、そしてとても人間には見えない彼は、見世物として辛い生を送ることとなる。
 だがそんな生活に疲れたブルイガはついに人間社会を捨てて自分が本来いるべき場所を探すための旅に出るのだ。
 果たして彼のための世界が未だに残っているかすら分からないが、それでもブルイガは出発する。

 「果樹園」では体制が変わってしまった悲しみを、「おおむ」、「ドルグショーフの死」、「われらの父よ」、「ろうそく」、「三月‐四月」ではそれぞれ違った側面から戦争の姿を描き出す。
 「われらの父よ」、「ろうそく」は共に死を扱った物語だが、その結末の哀しさのベクトルが全く異なっており、そしてどちらも物悲しい。
 対する「三月‐四月」は二人の兵士の束の間の交流と信頼を描きハッピーエンドかと思いきや、戦争はまだ終わっておらず、従って彼らもまた戦い続けなくてはならないとの現実が最後に待ち受けている。

 「春」はとある恋を巡るすれ違いの物語。素直ではない登場人物たちが誰も彼も愛おしい。
 ショーロホフの三篇はどれも血なまぐさい戦争を描いた作品だが、その後の「恋」は幻想味溢れる異色の短篇となっている。
 続く三作品にももはや戦争の気配はない。それはまるで戦争なる野蛮から解放されたかのようだ。


テーマ別:ロシア|作者別:アンソロジー
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Theme: | Genre:本・雑誌 |
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