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『悪魔と警視庁』感想:★★★☆☆

2013.05.07 Tue


悪魔と警視庁 (創元推理文庫)

E・C・R・ロラック 東京創元社 2013-03-21
売り上げランキング : 38827
by ヨメレバ


 花粉症で鼻水の海に溺死寸前だった時期に読んだ割に、するすると読み終わったのを考えると、かなりリーダビリティの高い一冊。
 ただ推理物の常とは言えども、登場人物がそれなりの数なので、花粉症で鈍った頭には辛う御座いました。

 が、星の数が2つ少ないのはそんな問題ではなく、印象的な事件、イギリスの霧を背景とする魅力的な描写、理知的な主人公の活躍といった素晴らしさに比して犯人が、そしてそれを庇い続けたとある人物の理由があまりにもありきたりすぎるのが理由。
 第二の主人公とも言うべき存在感を放った人物の行動理由としては、チープに過ぎて、その上、その人物がそこまで必死に庇うほどに犯人に価値があるとは思えない。

 結果、犯人を庇った人物までをもその価値を軽くしてしまい、彼の人物の独特なキャラクター性こそがその人物を第二の主人公にまで押し上げていた以上、作品そのものまでもがなんだかケチを付けられてしまったように思えて、とても残念だ。
 それでも基本的に推理物を面倒くさがる私をここまで魅惑したのだから、本書はそれほどに面白い本であるのは確かでもある。
 ただそれだけに、オチがなんとも残念なのだ。








 十一月十一日の夜のロンドンは、いかにも「らしい」天気となった。深すぎる霧で全く見通しが効かないのだ。その上、寒さで道路が凍結していると来ている。
 マクドナルド主席警部は、やむなくゆっくりと車を走らせていた。

 ふと前を見ると、そこを歩いていたのはどこか怯えた風の娘であった。なんとなく見守る彼の前で、手慣れたひったくりが彼女の鞄をもぎ取って走り去ったではないか。
 職業上見捨てておけぬマクドナルドは車から飛び出すと、犯人を追った。無事に取り戻した鞄を娘に返すと、彼は放置する形となっていた自分の車に戻った。霧が深くて犯人そのものは取り逃してしまったのだ。

 もはや自宅まで車で帰るのを諦めた彼は、車をロンドン警視庁の中庭に止めることとした。
 徒歩で自宅に帰った彼は、翌日、自分の車の後部座席に押し込められたメフィストフェレスの死体を見る羽目になるとは未だに知らない。
 更に、元オペラ歌手カリンガルの所有する、自分と全く同型の車に『ファウストの劫罰』の譜面の一部がナイフで突き立てられることとなることを、まだ知らない。



 事件の発生からして魅力的だが、何よりも主人公マクドナルドが良い。
 安楽椅子探偵とはほど遠いこの警部はあちらこちらと歩き回り、質問をし、カマをかけ、そして思考する。精神分析に頼り切ることなく、また証拠だけに凝り固まることもなく、彼の推理は想像は、柔軟に翼を広げる。
 そして真の犯人を見つけ出すのだ。

 登場する人物もそれぞれが個性的で、全員が全員魅力的だとは言えないが、それぞれちゃんとキャラクターが立っている。
 ただそれだけに、結末には、またそこまで事態をこじらせた彼の人物の理由には肩すかしを食らった気分である。
 それでもロラックの作者としての技量は充分に理解出来たので、他にも復刊される予定があるようなのは、とても嬉しい。


レーベル別:創元推理文庫|出版社別:東京創元社
より詳しくは右カラムのカテゴリから選択してください。


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