">
RSS|archives|admin


<<結局のところ、回り道:購入履歴・古本編97 | ホーム | 河出クラブ入会特典のブックカバーが届いた>>

スポンサーサイト

--.--.-- --
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


Category:スポンサー広告 | Comment(-) | Trackback(-) | top↑ |

『フォースタス博士の悲話』感想:★★★☆☆

2013.03.10 Sun




 インターネット上で得られる情報が少なすぎて、いつものように記事トップに書影も情報も引っ張って来られなかった。
 補足のために書いておくと、これは愛育社の叢刊海外文學からの1冊、『フォースタス博士の悲話』。
 著者はマーロウ、翻訳者は細川泉二郞、発行は昭和二十三年(表記は「廿三」年)。
 書影その他は過去に紹介しているので割愛。

 ゲーテ以前のファウストであり、またゲーテのファウスト像に影響を与えたドイツの人形劇に多大な影響を与えた戯曲。
 言うなればゲーテ版ファウストのお祖父さんとでも言えばいいのか。








 マーロウのフォースタスは既に岩波文庫の『フォースタス博士』(松尾相訳)と、筑摩書房の世界文學大系14『古典劇集』収録の「フォースタス博士」(平井正穂訳)のものを読んでいる。
 複数の版があり、そのどれもがマーロウの筆そのままを伝えていないとされる中で、松尾相翻訳のものは1604年版に、平井正穂翻訳のものは1616年版に準拠している。
 対して今回の『フォースタス博士の悲話』はその両方を見比べ、よりマーロウの筆そのままに近づくようにと「いいとこどり」を行った上で翻訳されている。
 更にこの『フォースタス博士の悲話』は1604年版と1616年版で大きく異なる場面を「附録一」として収録されており、なかなかに至れり尽くせり。

 ただ問題は…………この本、あんまり見かけないよね。
 あとちなみに附録一はあっても二はない。
 更に言えば、小まめに註解が施されているが、本文に振ったナンバリングと註解部分のナンバーがびっくりするくらい符号しない。ただページ数だけは大体合っているので、ナンバリングよりもそのページ数を基準にした方が混乱が防げる。
 そして古いのと時代を考えれば当然なのかもしれないが、紙も印刷も質がイマイチ。



 内容としては、法王から偽法王として糾弾されるブルーノーの扱いが目新しかった。
 このブルーノーは1616年版に基づいているらしく平井正穂翻訳版には登場しても、1604年版に基づく松尾相翻訳版には存在しない挿話なのだが、平井正穂翻訳版ではブルーノーが一体誰でどうして法王から糾弾されているのか判然としなかった記憶がある。

 だがここではブルーノーはドイツ皇帝の推挙を受けた法王であるにも関わらず、現法王から偽の烙印を押され追放されてしまう様がハッキリと描かれている。
 それをフォースタス博士が面白可笑しく救うのだが、そこにはドイツ皇帝と法王の権力争いの生々しさと、そして既に表面化しているドイツ皇帝の機能不全を描き出して憚らない。
 またこのブルーノーを追放する法王様の、ひいては教会そのものの嫌らしい俗らしさが全面的に発揮されている。

 「そりゃこの作者、まともな死に方出来ないわ……」と納得することしきりだが、けれどもメフィストフェレス(ここではメフィストフィリーズ)と楽しく騒ぎ喜び巫山戯、その末に惑いよろめきながらも結局は神を退け悪魔の手に落ちて破滅するフォースタスの人生は喜劇的であると共に悲劇的で素晴らしい。
 最後の数時間をカウントするフォースタスの台詞の何と切なく悲しく、そして魅力的なことか。

惡魔のために受けた彼の運命をみると、賢明な人々はそれに誡められて無法な物事をただ驚き眺めるだけになりますが、彼の魔法の深さをみると、熟慮を缺く人々はそれに誘ひ込まれて、神のもたれる力が私達にお許しになる以上のことを實際やつてみたくならせるものであります。(p.126)
(引用注:運、込は共に旧字体だが、表示出来ないので新字体で表記した)




テーマ別:ファウスト|テーマ別:悪魔
より詳しくは右カラムのカテゴリから選択してください。


関連記事:
『フォースタス博士』感想:★★★☆☆
『ファウスト博士 付人形芝居ファウスト』感想:★★★☆☆
『ファウスト博士』感想:★★★★★
『マンフレッド』感想:★★★☆☆
ファウスト、ファウスト、ファウスト!:購入履歴・古本編80


Theme:読んだ本の紹介 | Genre:本・雑誌 |
Category:星3つ:★★★☆☆ | Comment(0) | Trackback(0) | top↑ |
<<結局のところ、回り道:購入履歴・古本編97 | ホーム | 河出クラブ入会特典のブックカバーが届いた>>
name
title
mail
url

[ ]
Trackback URL
http://kkkate.blog.fc2.com/tb.php/479-2e2272b4