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『新ドラキュラ 不死者』感想:★☆☆☆☆

2013.02.05 Tue


新ドラキュラ(上) (文庫ダ・ヴィンチ)

デイカー・ストーカー,イアン・ホルト
メディアファクトリー 2013-01-24
売り上げランキング : 134543
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 メディアファクトリーの文庫レーベルから出たこの『新ドラキュラ 不死者』を読もうと思う者に告ぐ。
 ブラム・ストーカーの『吸血鬼ドラキュラ』が好きか? あるいは、『吸血鬼ドラキュラ』の作中人物に好意を持ったことがあるか?
 ならば宜しい、読むな。真面目に。

 上下巻のこの書物を読む間に貴方は困惑し苛立ち、そして読み終わった直後にはゴミ箱にダンクシュートしたくなることをお約束する。
 貴方が正真正銘の悪食、なおかつ自身が抱く悪感情すら美味しく愉しめる類の人間ならば、止めはしないが。



 メディアファクトリーの文庫レーベルから出たこの『新ドラキュラ 不死者』を読もうと思う者に告ぐ。
 ブラム・ストーカーの『吸血鬼ドラキュラ』が嫌いか? 古くさいと思ったか?
 あるいは「駆除」されるドラキュラ公に同情したか? ここに登場する男共よりも断然ドラキュラ公が素敵だと思ったか? ミナに相応しいのは、ジョナサンなどではないと感じたか?
 ならば宜しい、読むが良い。この『新ドラキュラ 不死者』は貴方のための本だ。








 星の数からも明白なことに、私は前者のタイプだったおかげで、読んでいる最中には何度も何度も表情筋を鍛える機会に恵まれることとなった。ありがとうございます。

 本書は『吸血鬼ドラキュラ』の続編を謳っており、登場人物たちの25年語が描かれているのだが(ただし、やや時系列が変更されている)、あれほど勇敢に戦ったメンバーは誰しもがその面影を失い、「恨みでもあるのかよ?」と作者に問いたくなるくらいに落ちぶれている。
 更に『吸血鬼ドラキュラ』で描かれなかった彼らの出会いや、思いが書き足されているが、正直、「もう作者にパイぶつけても許されるよね。前にバラエティでよくぶつけてたアレ。勿論、後で美味しく頂くからさぁ!」な状態に。


 最後まで読めば分かるが、作者2人は確かに「恨み」があったのだ。
 彼らはドラキュラのことが純粋に好きなのであろう。そんな彼らが、ドラキュラが一方的に悪役とされた『吸血鬼ドラキュラ』の続編を描けばこうなるのも当然なのだ。
 彼らの愛情は確かに深く、細かいところまでネタを拾っており、その点ではとても面白い出来映えになってはいる。

 が、ドラキュラそのものよりも登場人物各々に愛着を感じた身としては、感想が「パイを腹一杯ごちそうしてくれるわ! 遠慮は要らないぜ」になることも理解いただけることと存じます。
 終盤のミナの選択と、ラストのクインシー(ミナとジョナサンの息子)の正体開示に至っては、「具無しの上に焼きすぎた硬いパイにチェンジさせて頂きます」という気持ちに。ジョナサン、マジ、ピエロ。



 物語はドラキュラとの死闘の後、25年を経て再度幕を開ける。
 ジョナサンとミナの夫婦仲は冷め切り、そのせいでジョナサンは酒に溺れきっていた。一時は弁護士としての名声を極めた姿はもうそこにはない。
 一方、彼らの息子クインシーは父親に強制された弁護士への道に魅力を見いだせず、舞台俳優になる夢を捨てきれずにいた。
 クインシーは知らなかったのだ。ジョナサンがどうして舞台に立つ、即ち目立つ、ことをあれほどまでに止めさせようとしたのかを。
 だが父の願いも虚しく、クインシーは出会ってしまう。天才的なシェイクスピア俳優、ヘンリー・アーヴィングの再来とも賞される「バサラブ」なるルーマニア出身の男に。
 クインシーは一目で彼の才能に惚れ込み、俳優の道を邁進することを誓うのだった。

 ジャック・セワードは未だに「吸血鬼」の影を追い続けていた。
 過去に味わった恐怖と喪失感から立ち直れない彼はモルヒネに溺れ、更には未だに吸血鬼の存在を主張する姿はかつての仲間たちからすら忌避され、彼を正常だと見なす人間など皆無であった。
 それでもセワードは必死に己の信じる真実を貫き、「パトロン」からの支援を受けてたった一人で戦い続けていた。
 そしてようやく彼は掴んだ。全ての惨劇の根源、彼のかつての悲劇、そして今も続く連続殺人の首謀者を。
 それはエリザベート・バートリ伯爵夫人、16世紀に死んだはずの一人の女であった。

 コットフォード警部補は、今日もまたホワイトチャペルでの普段と変わらない醜悪な仕事に勤しんでいた。
 かつて切り裂きジャック事件で失態を犯したがために、彼の出世の道は閉ざされ、この歳になっても警部補の身分に甘んじなければならないのだ。
 未だに過去の失敗と被害者への思いが消えない彼の前に、切り裂きジャックを思わせる屍体が転がり込んで来る。
 過去を払拭しさるために、老警部補は再度執念の火を灯すのだが……。

 血の伯爵夫人と切り裂きジャック、シェイクスピア俳優バサラブ、彼を慕うクインシー・ハーカー、そしてジャック・セワード。彼らがロンドンへと引き寄せられつつあった。
 クインシーは彼の両親を、加えてセワードの存在はかつての仲間達を呼び寄せるだろう。
 かつてドラキュラという凶悪な敵を前に団結した彼らは、今度は一体どんな結末を迎えるのか。
 そしてなによりも、25年前のあの時、本当にドラキュラは死んだのだろうか?

新ドラキュラ(下) (文庫ダ・ヴィンチ)

デイカー・ストーカー,イアン・ホルト
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テーマ別:吸血鬼|レーベル別:MF文庫ダ・ヴィンチ
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 「ブラム・ストーカーの子孫が書く『吸血鬼ドラキュラ』の公式続編!」と謳っておいて、この内容を出してくるその肝っ玉には感心した。
 レーベルからして予想はしていたが、もう天晴れとしか言いようが無い。
 パイを腹一杯食べていけよ、な?

Theme:読書 | Genre:本・雑誌 |
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