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『セビーリャの理髪師』感想:★★★☆☆

2013.01.22 Tue


セビーリャの理髪師 (岩波文庫)

ボーマルシェ 岩波書店 2008-07-16
売り上げランキング : 237214
by ヨメレバ


だが、嘘偽りのないところを申しましょうか、先生、若さと恋心が力を合わせて老人を騙しにかかれば、それを防ごうとして老人が何をしようと、そいつは「無駄な用心」と呼ぶにぴったりなんですよ。(p.143-144)


 ボーマルシェが描く、恋の喜劇。そして、人生の喜劇。

 スペインの大貴族で遊び人のアルマビーバ伯爵は、ある日可愛らしい女性を見、一目で恋に落ちた。
 伯爵は必死の思いで愛しい人の正体を探し歩き、ようやく彼女の居場所を探し出した。
 彼女の名前はロジーヌ。とある貴族の家に生まれたものの今は孤児であること、また後見人である医者バルトロに軟禁されるようにして暮らしていることを知った。
 更にはなんと、バルトロがロジーヌとの結婚を目論んでいることをも知った伯爵は、彼女を不幸な結婚から救おうと奮発する。
 けれどもバルトロとて、ただでロジーヌをくれてやる気は無い。
 ロジーヌを探し歩いていたアルマビーバ伯爵が同じ街にいるとの情報を得たバルトロは疑心暗鬼に陥り、小悪党バジールを仲間にし、一刻も早く結婚にこぎ着けるべく自分の計画を進める。








 バルトロがロジーヌの後見人である上に彼女を軟禁しているのに比べ、伯爵側はまだ彼女となかなか会話すら交わせないと不利な状況。
 そこに登場するのが、我らがフィガロ。
 かつて伯爵に仕え、その後ペンで身を立てようして周囲の悪意に潰されたフィガロは、今はこの街で理髪師兼何でも屋となっていたのだった。
 たまたまフィガロと出会ったアルマビーバ伯爵は大喜びで、彼を仲間に引き入れる。見返りは、もちろん金色のいい音がするものである。

 元々が遊び人であり今まで散々、肩書きに寄ってくる女を見てきた伯爵は、ロジーヌには爵位ではなく自分自身を愛して欲しいと願い、ただの学生「ランドール」に変装し、フィガロの協力の下、ロジーヌに接近を試みる。
 はてさて、伯爵の恋の行方は如何に?



 まぁ最初に引用した通り、バルトロの悪智恵は全て「無駄な用心」となって消え去ることとなるのだが、その過程が面白い。
 フィガロの存在が庶民の悲哀を笑いと機知で包み、過去の遺物であるバルトロたちを若さと洒落っ気で完膚なきまでに駆逐していく。
 若さと恋心の前では、老人など蹴散らされる存在でしかないのだ。
 とは言え、バルトロが撃破されるのは、彼がただ老人だったからではない。彼が若さや変化を解さない、凝り固まった古い考えの持ち主だからだ。

 だが、バルトロとて好きで老人になった訳ではない。好きで時代に取り残された訳ではない。
 人は誰だって歳を取る。何かを積みかさねていく。何かを失っていく。
 既に「最近の子は」と口にして憚らなくなった私には、この旧時代の遺物バルトロを無邪気に笑い飛ばすことが出来ない。
 私は彼とは違うと言えるのだろうか。彼の失態は私には無縁だろうか?
 私は、フィガロの側だろうか、本当に?

 ボーマルシェがこの作品を書いたのは、フランス革命の少し前。
 既に王を頂点とする政治システムは年老いて、あちこちに機能不全を起こしていた。今まで支配されていた絶対的多数の民衆たちのエネルギーは高まりつつある。
 老人と若者。既に引退すべきなのに未だに椅子にしがみつく年寄りは、若者に蹴落とされるだろう。若者は今までとは「違う」何かのために既存を破壊し、新規を求めるだろう。
 だがそれが必ず成功するわけでもなければ、必ずしもより幸福をもたらすとも限らず、更には必ず痛みを伴うことを今の私は知っている。

 それでも出来ることならば、バルトロにはなりたくない。いや、違う、せめてバルトロになりたい。
 旧来側であっても、バルトロの如く最後まで若者に対立するだけの意地を持ちたい。だが同時に理解出来なくとも、バルトロのように変化を否定するようにはなりたくない。

 ちなみにこのバルトロ、続編の『フィガロの結婚』においてもまた、フィガロの前に立ちはだかる。
 しかも次回は伯爵と手を組んで、フィガロの邪魔をするのだ。伯爵のワガママっぷりも次回の見物である。


ジャンル別:戯曲・シナリオ|作者別:ボーマルシェ
より詳しくは右カラムのカテゴリから選択してください。


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 今日メールの整理をしていたら、「国書刊行会40周年特典配信のお知らせ」なるものが届いているのに気が付いた。
 応募した「若島正氏訳し下ろし短篇」の配信だった。訳し下ろしはスタージョンの「ハークルはごきげんな怪獣」。訳者による後書き2pを含めて、全部で18p。


 同じく今更気が付いたので、「岩波文庫 メールニュース/2013年1月号‏」を読んでいたら、今後の刊行予定の3月の欄に「『かくれんぼ・毒の園 他五篇』(ソログープ/中山 省三郎,昇 曙夢 訳)」なるものが!
 既に邦訳のあるソログープの短篇を集めただけっぽい。「かくれんぼ」も「毒の園」も既読なので、他五篇がとても気になるところ。

 ただこの二人の翻訳者のソログープはもう全部読んだような……と思いながらメモを見返してみたら、昇曙夢翻訳の「白い犬」だけは未読のようだった。
 ただ邦題が違う同じ作品を読んでいる可能性もあるから、断定は出来ない。ロシア語はサッパリすぎて邦題で捻られると分からなくなるんだよね。
 何にせよ、他五篇に入っていると良いな。そうすればスッキリすることだし。
 ちなみにこの「白い犬」は1952年、創元社の創元文庫『毒の園 他』に収録。

 それにしても過去の私は随分と真面目にソログープの日本語翻訳作品リストを作ったんだな……。何だか凄く黒いんですけど。
 作って満足したのかすっかり忘れていたけど、これを機会に国会図書館にでも探しに行くか。問題は、遠い! 遠すぎる!

Theme:読んだ本の紹介 | Genre:本・雑誌 |
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