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METライブビューイング2012-2013『皇帝ティートの慈悲』感想:★★★☆☆

2013.01.08 Tue


METライブビューイング2012-2013


 『フィガロの結婚』に続いて、これまたモーツァルト作品。
 映画館の上映予定やチケットでは「皇帝ティートの恋」になっていたが、実際の映像に入っていたクレジットは「皇帝ティートの慈悲」だったので、一般的でもある後者を記事タイトルにした。
 しかし何故「恋」になったんだろう。



 キャストは、セスト:エリーナ・ガランチャ(メゾソプラノ)、皇帝ティート:ジュゼッペ・フィリアノーティ(テノール)、ヴィッテリア:バルバラ・フリットリ(ソプラノ)、アンニオ:ケイト・リンジー(メゾソプラノ)、セルヴィリア:ルーシー・クロウ(ソプラノ)、プブリオ:オレン・グラドゥス(バス)。
 さらに、指揮:ハリー・ビケット、演出:ジャン=ピエール・ポネルとなっている。

 元々がズボン役のアンニオに加え、本来はカストラートが演じるセストも現代ではズボン役となったために、女性率がやたらと高いことに。
 男性が演じるのはティートとプブリオだけで、けれども後者はあまり出番がない。

 このオペラの屋台骨となるセストは安定感があり、ティートは若さと誠実さを持つ皇帝というキャラクターを演じきっており、またヴィッテリアはどこか箱入り娘っぽさを有し、その悪巧みに対してもあまり嫌悪感を抱かない。
 脇役のプブリオの、ティートに心から仕えているものの、そのあまりの「正しさ」に対して凡人らしく心配する様が、一歩間違えば絵空事になりかねないティートの性格に現実味を与えている。
 セストの妹セルヴィリアはその明朗さが爽やかで、そう歳も変わらないのだろうヴィッテリアと対照的だ。
 セルヴィリアの恋人でありセストの友人でもあるアンニオも好青年で、セルヴィリアと二人並ぶと見ているこちらも何だか幸せな気持ちになってしまう。








 前ローマ皇帝の娘ヴィッテリアは、セストに皇帝ティートの暗殺を囁いていた。
 ヴィッテリアにとってティートは父親から帝位を奪い取った憎い敵でもあるが、それに加えて前皇帝の娘であり更には美貌を誇る己を皇妃に選ばなかったことが彼女には許せない。しかもローマの美女ならばまだしも、ティートは他国の王女を選んだのだ!
 一方のセストは、ヴィッテリアへの愛とティートとの友情に揺れ動いていた。ティートはローマに授けられた宝とも言うべき素晴らしい皇帝であり、そして何よりも友人なのだ。
 それでもヴィッテリアのためにと決意をしたところに、ティートの部下でありセストの友人かつ同僚でもあるアンニオがやって来る。
 彼が持ってきた一報は、なんとティートが王女を国に帰した、つまり皇妃の座は未だ空白のままなのだとの内容であった。

 皇妃の望みがまだあると知ったヴィッテリアは、慌ててセストを止める。
 セストはほっと胸を撫で下ろすが、しかし妹であるセルヴィリアを皇妃にとティートから望まれ動揺する。つい先ほど、友人アンニオから妹セルヴィリアとの結婚の許しを請われたばかりだったのだ。
 ティートが皇妃にセルヴィリアを選んだと知ったヴィッテリアは、再度復讐心に燃える。愛を武器にセストを唆し、当初の予定通りにティートの暗殺を実行にと煽り立てる。
 けれども皇妃に選ばれたセルヴィリアは、アンニオへの愛と皇帝への尊敬に悩んでいた。彼女は思い切ってティートに在りのままを話し、寛大なティートは彼女の意思を尊重し、皇妃指名を撤回する。
 ならば次に誰が相応しいかと考えたティートは、ヴィッテリアの名前を挙げるのだが……。



 と、ヴィッテリアの思惑と、それに振り回されるセストによって物語は展開していく。
 この後、ヴィッテリアの皇妃指名を知らぬままにセストはティートの暗殺を決意し、セストが暗殺のために立ち去った後でヴィッテリアは己が皇妃に選ばれたことを知り慌てふためくことになる。

 ネタバレしてしまえば、セストの暗殺は失敗に終わり、その上で逃走にも失敗し囚われの身となるのだが、ヴィッテリアはセストの処罰ではなくこの計画に自分が関与していたことが露見することをこそ恐れる。
 あれだけ自分に忠誠を誓ったセストとは言え、死の恐怖の前では簡単に口を割ってしまうに違いない。そうヴィッテリアは考えるのだが、セストは全ての罪を一人で背負い抜く。未遂であっても皇帝暗殺が死罪に値すると知った上で、彼は秘密を守り続ける。愛のために。

 一方のティートは、セストの裏切りが理解出来ない。彼は部下であると同時に友人でもあったのだ。その友情故に彼の妹を皇妃に迎えようと考えるほどに、彼のことを信頼していたのに。
 ティートは皇帝として行わなければならない犯罪者への処罰と、一人の人間としての友情の間で苦悩する。

 セストが秘密を守ったと知ったヴィッテリアは、衝撃を受ける。彼は命を懸けて自分を守ろうとしてくれているのだ。
 だがこのままでは彼は自分のせいで死ぬ、しかし彼を救えばもうすぐ手に入る皇妃の座を永遠に失うことになってしまうだろう。
 逡巡の末にヴィッテリアは、ティートに全てを告白する。
 ティートは友人でもある裏切りの理由を知ると共に、新たに生まれた罪人ヴィッテリアの処罰の問題を突きつけられる。そして観客は、このオペラのタイトルの意味を知る。
 



 全ての黒幕はヴィッテリアながら、感情だけで動く彼女は根っからの悪人とは言い難い。
 途中で16世紀あたりにスペインで流行ったような扁平な形に膨らんだ真っ黒い印象的すぎるドレスで登場するから戸惑うが、たぶん彼女は皇女として甘やかされて育てられ、今初めて自分の意のままにならない事態と直面したまだまだ歳若い娘なのだろう。
 と言うか、どうしてあのドレス? 近世ヨーロッパが舞台だとしか見えなくなったぞ。

 よく分からなかったのだが、最後、ヴィッテリアは結局皇妃にはなれず、セストへの愛を初めて自覚して彼と円満に収まるのだろうか。ティートがセストにヴィッテリアの手を取らせていたし。
 でもティートへの殺意を産む嫉妬の源泉となった彼への愛は勘違いだったとは言っていたが、セストへの感情は何も言っていなかったような。

 ラストシーンで手を繋いだセストとヴィッテリア、アンニオとセルヴィアの2組の間で、ティートだけが一人で何だか哀愁を感じてしまった。
 そもそも、どうしてヴィッテリアを皇妃にと望んだのだろう。
 他国の王女のことは愛していたが愛だけでは皇妃を選べなかったからこそ、今度は友情からセストの妹セルヴィアを選んだとは言っていたが、ヴィッテリアに関しては身分故だろうか。

 最後、未だに伴侶を得られないらしき皇帝様を見ながら、これほどまでに慈悲深いと、暗殺者が何人も何人も現れそうだなと思ってしまった。


覚え書き(本に纏わるあれこれ):オペラ感想
より詳しくは右カラムのカテゴリから選択してください。


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 3回目のMETライブビューイングにして、初めてシアター9、つまりプレミアムシアターにあたった!
 座席自体は言うほど快適でもなかったが、やはり左右に余裕があるのは良い。
 でもちょっとスクリーンが高い? 普段通り前1/3程度のところの席を取ったら、スクリーンが予想の位置よりも高く、首にダメージが。真ん中あたりが最適かもしれない。
 ただ、音響が実に良かった。今回は一度も音の鋭さに顔を顰めずに、最後まで楽しめた。
 次もまたシアター9にしてくれると嬉しいのだけれど。どうせ値段変わらないし。

Theme:オペラ | Genre:音楽 |
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