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映画『ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館』感想:★☆☆☆☆

2012.12.23 Sun


The Woman In Black/ウーマン・イン・ブラック-黒衣の女[日本語字幕無][リージョンA]

ダニエル・ラドクリフ
売り上げランキング : 113713
by ヨメレバ


 まずは言わせて欲しい。金返せ。ついでに時間も返せ。
 そんな映画でございました。


 ハリーポッターのイメージも濃いダニエル・ラドクリフが今回挑む役柄は、イギリスは19世紀末を生きる若き弁護士アーサー・キップス。
 4年前の愛妻の死は、彼の精神をも殺してしまったかのようだった。妻が残した子供を愛してはいるものの、上手く生きることが出来ない。
 当然ながら仕事も悲惨の一途であり、いつ雇い主からクビを切られるか分からない状況だ。だが子供のためを思えば、ここで失業するわけにはいかない。
 アーサーは己のクビをかけて、ロンドンを遠く離れた田舎町クライシン・ギフォードの故アリス・ドラブロウ夫人の屋敷「イールマーシュの館」に赴く。夫人の遺言書を探し出すことこそが、彼の使命だ。

 だが、クライシン・ギフォードの住人たちはアーサーに冷たい。
 予約していたはずの宿に彼の部屋はなく、宿の夫人が代わりに提供してくれた屋根裏部屋では壊れた人形と古い子供の写真が哀しい雰囲気を漂わせていた。
 誰もがアーサーを避ける。
 町の弁護士であるジェロームは非協力的であるばかりか、ドラブロウ夫人の書類はこれだけだと封筒をアーサーに手渡すと共にロンドンに帰れと言い渡す。館には行く必要はないと、強固に言い張るのだった。
 そんな彼の態度にアーサーは抵抗する。この仕事には自分のクビが、息子の将来がかかっているのだ。
 ジェロームの御者であるケックウィックを金で買収したアーサーは、廃墟と化したイールマーシュの館に強引に降り立つ。
 そこは町から離れ、唯一の細い道も満ち潮になると沈んでしまう孤島の館だ。
 早速仕事を始めたアーサーは、無人のはずの館で「黒衣の女」を目撃する。
 それと共に、館と町を繋ぐ唯一の道の周囲を埋める沼地にて、沈む馬車と子供の悲鳴を聞いたのだった。

 早速その事を町の警察に話すアーサーであったが、全く聞き入れてはもらえない。あの道はもう使われていない、ドラブロウ夫人の子供が死んだ日から、と警察官は言う。
 そこに現れたのは、真っ青な顔をした少女。洗剤を飲んだのだと言う。たまらず駆けつけるアーサーの目の前で、少女は絶命する。
 そしてアーサーはようやく知るのだった。町の住人たちが自分に冷たい理由を。
 そう、「黒衣の女」を見た者の周囲の子供が死ぬのだ。「黒衣の女」はもう何年もクライシン・ギフォードの町に死をもたらし続けていた。
 アーサーは驚愕する。この仕事が終わる予定の金曜日に、子供をクライシン・ギフォードに招いていたのだ。女を見た周囲の子供が死ぬのなら、自分の子供も。








 原作とは違い、アーサーは既に妻を亡くしている。だが子供は生き残り、彼の手元で育っているのだ。
 そんな中でクライシン・ギフォードの町を訪れ、そして悪意の塊である黒衣の女と出会う、と。
 更に原作とは異なり、黒衣の女はアーサーの前でその厄災を何度も発揮して見せる。彼女の呪いが事実であることは理解せざるを得ない。
 そうなると、アーサーが自分の子供を守れるのか、この女の恨みをどう取り除くのかが映画のキーになるのだが、全体的になんだかなぁ、というのが私の感想。


 日本のホラーを参考にしたと言うだけあって、目の錯覚か恐怖心が産み出した幻影か、それとも本当に「いる」のかと混乱と不安を誘う危うい境界線を表現しようとしているのは分かる。分かるのだが、成功しているとはとてもとても。
 効果音と意外性でビックリさせる演出は上手いだけに、もうそっちに特化すれば良かったのではないかと。
 それでも、目や手の使い方はなかなか良かった。そのどちらも「ビックリ」させる系ではあったが。
 だからもっと髪の毛とか爪とか足音とか、いくらでもおどろおどろしいイメージを誘う人体パーツはあるのだから、そこでもう少し雰囲気を作って欲しかった。
 ギッタンギッタン揺れる椅子に関しては、もうギャグかと。あんなに煩い揺り椅子なんて、残念すぎるわ!

 黒衣の女に関しても、徹底的に化け物にするのか、それとも対話も可能な人間性を未だに有した存在にしたいのか、どっちだったんだ。
 徹底的に化け物路線だと思っていたから、アーサーが突如人間らしい対応策で彼女を納得させようとした時に、「お前は馬鹿か」という気持ちにしかならなかった。
 悪意に満ちた「敵」が実は哀しい過去故にこんな異形の姿になっている、だからその過去の悲しみを取り除いてあげれば……という流れにしたかったのだろうが、敵の悪意の行為を知るタイミングと哀しい過去を知るタイミングが近すぎて、その二点で停滞してしまった感がある。
 悪意の行動が繰り返されすぎて見る側がその残虐性に対して麻痺して来たタイミングで哀しい過去を持ってきてもらわないと、どんな哀しい過去があろうとお前のやっていることは完全にアウトだよとしか思えない。
 そして、今作では哀しい過去と残虐行為との間に溝があるのも難点。亡霊のやることなのだから理性的でないのは当然だが、それでも彼女の行為に納得することが出来ないと、人間的な対応をしようとは思えず、結果アーサーが間抜けに見える。


 更に、細かいところで辻褄が合っていないのがとても気になる。
 黒衣の女と呼ばれる女の死因が首吊り自殺であることが後に明かされるのだが、それなのにどうして女の姿がやせ衰えたミイラ状態なのかが分からない。原作の同様に子供の死に憔悴して消耗性の病気を患って死んだほうが良かったのではないのか。
 ドラブロウ夫人がいつ亡くなったのかも分からない。遺言書を探せと言われるくらいなのだから、そう昔に死んだ訳ではないと思うのだが、けれどもイールマーシュの館は凄まじい荒れ具合である。
 更に館と町を結ぶ唯一の道は、ドラブロウ夫人の子供が死んだ日から使われていないとすら言われる。
 夫人は館に住んでいたのではないのか。それなら買い物くらい行くだろうから、道を使うだろう。
 それとも引っ越したのだろうか。それならどうして遺言書を探しにあの館にアーサーが行く羽目になるんだ?
 ナサニエルが死んだのも、一体何年前なのか分からない。年号は確かに出ていたが、アーサーが生きるこの年が何年なのかが分からない以上意味が無い。
 アーサーたちが館で使うロウソクや飲み物の出所も良く分からないが、それはもう重箱の隅としてスルーしても良い。だが徹夜すると言ったアーサーにデイリーが貸した犬(スパイダー、映画内でも呼ばれていたが日本語字幕ではカットされていた)は、途中でどこに行った?

 物語の辻褄が合わなくても、別段構わない。辻褄合わせよりも重要なことが、どうしても見せたいものがあるのならば、やれば良い。
 私はその手の「俺はこれがやりたいんだ!」と叫ぶ作品は好きである。
 だが今回は一体何がやりたかったのか、全くの不明だ。黒衣の女をどう扱いたいのかも分からない。
 ラストシーンこそがその答えなのかもしれないが、死の幻影に囚われていたアーサーは兎も角として、巻き込まれた子供はいい迷惑だとしか思えない。


覚え書き(本に纏わるあれこれ):映画感想
より詳しくは右カラムのカテゴリから選択してください。


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 割と無理して時間を作って見に行ったと言うのに、このザマだよ!
 個人的に一番のマイナスポイントは、沼で繰り広げられる過去の悲劇の再現がとても映像的にイマイチだったところ。あのシーンで一気にこの映画に対する私の期待値が死んだ。
 元々からして恐がりで、それだけ怖がって貰えれば制作者は満足だろうよと言われることの多い私ですら、これだけ首を捻りまくってるなんて、大丈夫なのかこの映画。

 スケジュール的に今年はもう映画を見に行けないと思うものの、この映画がラストかと思うと哀しすぎるので、何かTSUTAYAで借りて来ます……。

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