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映画『Virginia/ヴァージニア』感想:★★★★☆

2012.12.20 Thu


Virginia/ヴァージニア [Blu-ray]

ヴァル・キルマー 東宝 2013-01-25
売り上げランキング : 9822
by ヨメレバ


 フランシス・F・コッポラ監督の『Virginia/ヴァージニア』。
 たまたま時間がとれたので、元町まで寒い中震えながら観に行ったのだけれど、いやぁ、行って良かったよ。
 元町映画館でこんな時期にこの映画を上映することになったのは、1本しかないフィルムでの上映に拘ったからとのこと。
 デジタル版との違いがどこになるのかはそちらを見ていないので何とも言えないが、美しい幻と美しくない現実が交差する良い映画でした。

 物語としては破綻が見られるものの、美しい映像と印象的な色使い、はっとさせられる構図などが好印象すぎて、もはや多少の辻褄の合わなさはどうでも良い。
 そもそもが主人公の夢であり、主人公の回想であり、主人公の書く小説なのだと思えば、そこに合理性を求めるのは興ざめでもある。
 最後、怒涛のごとく幻想を畳み掛けて混乱が最高潮に達した時点で、唐突な現実への回帰をやってのけ、あっけにとられる観客に対してサックリと顛末を文字だけで語り主人公の日常生活への帰還を示し、さらにはそのままスタッフロールに突入し映画自体を終わらせ、観客を幻想の美しい世界からクソ寒い夜の映画館へ放り出す幕引きっぷりには驚愕したが、もはやここまで鮮やかに撤収されては賞賛するしかない。


 それになによりも、この映画の舞台となる町に七つの文字盤を持つ時計台を配したことが素晴らしい。
 町のどこからでも見える町のシンボルながら、どの文字盤も狂っており何度も同じ時を告げる古い古い時計台。
 悪魔に呪われているとも噂されるこの怪異の時計台は、エドガー・アラン・ポーの短篇「鐘楼の悪魔」から影響を受けたものだろう。
 ポーが描いた七つの文字盤を有する正確無比な時計台は、この映画では狂っており、鐘楼守りも悪魔も登場しはしない。だが時計台自身は映画内で幻想と怪奇の象徴となり、また今と過去とを混濁を印象付ける。
 ポー自身すらも登場する『Virginia/ヴァージニア』には、他にもポーの作品を思わせるディテールが見られ、その点でも面白い。








 物語は、ぱっとしないホラー作家ホール・ボルティモアが、どこにでもあるような寂れた田舎町を訪れることから始まる。
 彼は自著のサイン会、というよりも自分で自分の本を売る営業、のためにやってきたのだが、その町には本屋自体が存在しないという有様。それでも雑貨屋の店先を借りて売り出しに必死になるものの、客足は全く伸びない。
 だがそんな中、老保安官がホールに声を掛けた。彼はホールの作品を知っていると言う。さらに、良いネタがあるから一緒に本を書かないかと誘う。
 最初はすげなく断るホールであったが、保安官が変わった殺され方をした死体を見せてくれると言い出したことから興味を引かれ、このどこにでもあるような田舎町、どこにもない奇妙な七面の狂った時計台を持つ町、に滞在することを決めるのだった。

 保安官が遺体安置室から持ち出してきた件の死体に突き刺さった杭の如き大きな木片。まるで吸血鬼に成される処置のようなそれ。
 町の向こう側、湖の反対側に住み着いた悪魔崇拝が噂される奇妙な若者の一団。そしてそのリーダーの美青年フラミンゴ。彼には吸血鬼の噂がある。
 さらに霧の掛かった深夜にホールが出会うV.と名乗るなぞめいた白衣の少女。
 ポーが滞在したとされる今は廃墟と化したホテル。その下に埋められたとされる、殺された十二人の子供たち。殺害者の手を逃れた一人の少女は、地獄に落ちた。
 吊り橋から転落しかけたホールに手を差し伸べるのは、エドガー・アラン・ポーその人。彼はまたホールに創作の秘訣を語り、ホールはホールで妻に経済的な困難を責められエージェントに新作の概要をでっち上げてみせる。


 月の下で圧倒的な美しさを見せる、幻想の世界の作り物めいたV。妻に詰られ酒に溺れる、確かな体臭すら感じさせる生身の肉体しか有さないホール。
 かつての惨劇と、起こったばかりの殺人。狂った時計台の傍で、使用不可能になるiPhone。古いモーテルの中では、スカイプによって家にいる妻がリアルタイムで旅先の夫をなじる。
 現在は過去を内包し、過去は現在の中に生きる。夢が人生の一部であるように、幻想もまた現実の一部と化す。
 ホールは新作のために夢を見る。その中ではポーが旅先案内人だ。二人は創作のために歩き続け、最後には己の内なる過去に辿り着く。
 V。ポーにとっては、極貧の中で死なせてしまった妻。V。ホールにとっては、自分の過失によって失った娘。V。あなたにとっては、さて?

 幸運なことに、私の中にはVはいない。だがこの映画の主題は、Vを、個人的なそして普遍的な彼女を、ポーやホールと共に直視し対面し、対話することなのだ。
 私は彼らの仲間には入れない。だがもしもVを有する人物がこの映画を見たのならば、きっと最後に凄まじい勢いで幻想を振り捨てて現実に戻っていくラストに比して、心の中にVの存在が深く刻まれるのだろう。


 そんなわけでこの映画の邦題は却下、と言うのが個人的な一番の感想。


覚え書き(本に纏わるあれこれ):映画感想
より詳しくは右カラムのカテゴリから選択してください。


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 初めて行ったよ元町。

元町商店街


 この元町商店街は随分と長い。
 すずらんの形の街灯(?)がレトロな雰囲気。
 夜だったせいか閉店してるお店が多くて、少し寂しかった。けれど「いかにも!」な昔懐かしい本格的な喫茶店を見つけて心躍った。
 結局その店ではなく他のケーキメインの喫茶店に入ってしまったけれど、今度行く機会があれば次こそ絶対に入ってみたい。


 元町映画館はすごくこじんまりとした映画館。

元町映画館


 今時珍しいことに、1スクリーン。
 入って左手に受付、さらに10歩も行けば劇場入り口という狭さ。

入場整理券


 座席指定ではなく、整理券方式。大人通常1,700円。
 1時間ほど前に行ったら2番だった。この整理券妙にくったりしているなと思ったら、どうも回収しては使いまわしているようだ。
 上に映っているのはスタンプカード。有効期限は1年。その間に5回映画を見てスタンプを溜めると、6回目は無料になるとのこと。
 親切そうな受付のお兄さんがせっせと作ってくださったのだが、たぶん5回も行かないと思うんだ……。

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