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『オセロー(新潮文庫)』感想:★★☆☆☆

2012.12.07 Fri


オセロー (新潮文庫)

シェイクスピア 新潮社 1973-06
売り上げランキング : 32966
by ヨメレバ



 METライビビューイングの『オテロ』を観に行く前に予習がてら読んだのが、オペラの原作シェイクスピアのこの『オセロー』。
 けれど悲劇としての出来映えならば、原作よりもオペラの方が良い。
 それは偏に原作『オセロー』では、悲劇のヒロインとなり愛する夫の手で殺される無垢なる妻デスデモーナと、唆されて嫉妬に狂い妻を殺す悲劇の主人公オセローの結婚そのものに既に「罪」が含まれているからだ。








 彼らの結婚は祝福されたものではない。
 結婚に反対されることを知っていた二人は、デスデモーナの父親の目を盗んで駆け落ちし、その先で結婚式を挙げ、哀れなる父は娘が結婚したことを他人から知らされるのだ。
 しかもその駆け落ちも、二人の仲を知った父親に妨害されたから二人手に手を取って逃げ出したのではなく、彼らは父親に面と向かって戦うこともせずに、ひたすらに二人の関係を秘匿し、デスデモーナは従順なる娘の顔をしつづけた上で、ある日決行されるのだ。

 そうして不当に勝ち取られた結婚が、不当なる手段で失われ、それどころか夫婦共に命を落とす。
 その様を因果応報として見るのも悪くないが、けれど何の咎もないのに死ななければならない不当さを前面に出したオペラの方が、素直にデスデモーナの死を嘆くことが出来る。
 しかも原作『オセロー』では、娘の結婚にショックを受けた父親は後に死んでしまうのだ。「無垢」なるデスデモーナ、お可哀想なデスデモーナとは、とてもではないが言えない。


おれはまずこの目で見る、見てから疑う、疑った以上、証拠を掴む、あとは証拠次第だ、いずれにせよ、道は一つ、ただちに愛を捨てるか、嫉妬を捨てるか!(p.103)


 イアーゴーに格好良く啖呵を切るオセローだが、そういう彼は一体何を見、どんな証拠を手に入れたと言うのか。
 イアーゴーに吹き込まれてキャシオーとデスデモーナの仲を疑い、イアーゴーの用意した証拠なるハンカチに彼の期待した通りの勘違いをしただけではないか。
 イアーゴーの手の上で踊る、哀れなる操り人形。連勝の誉れ高き軍人だと言うのに、何と情けないことか!
 だが、デスデモーナは父親すらをも欺いた女なのだ。ならばもしかしたら自分も欺かれているのかもしれない。そうオセローが考えるのも無理はない。
 あれほどまでに強烈に求め、そして父親を間接的とは言え死に追いやってまで手に入れた妻ではあるが、その情熱の大きさだけ、感情が向きを変えた時の破壊力も凄まじい。

ブランバンショー その女に気をつけるがよいぞ、ムーア殿、目があるならばな。父親をたばかりおおせた女だ、やがて亭主もな。
オセロー これの忠実なら、この身の命を賭けましょう!
(p.40)


 父親ブランバンショーの言葉は現実にはならなかった。だがオセローの目には、現実そのものと見えたのだ。
 そしてオセローは言葉の通りに、この身の命を賭けて、負けた。

 なるほど、シェイクスピアの原作では、主役は紛うことなくオセローだ。彼の一人相撲によって、彼は愛する妻もろとも破滅するのだから。
 悪はイアーゴーではない。ここでも彼は確かにしなやかな強さを備えた憎々しい悪役ではあるが、結局はこれはオセローの、そしてデスデモーナが自ら産み出した罪とその精算の物語なのだ。



ジャンル別:戯曲・シナリオ|作者別:ウィリアム・シェイクスピア
より詳しくは右カラムのカテゴリから選択してください。


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Theme:読書 | Genre:本・雑誌 |
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