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METライブビューイング2012-2013『オテロ』感想:★★★★★

2012.11.26 Mon

METライブビューイング2012-2013


 2012-2013シーズン2作目は、ヴェルディの『オテロ』。
 原作はご存知、シェイクスピア。4大悲劇の一角&ヴェルディ生誕200年の節目のシーズンとくれば、期待するなと言う方が無理。
 折角なので予習をかねてお安いデアゴスティーニの『オテロ』を注文したのに、一向に来ない。火曜日の深夜、実質水曜日に注文したってのに、一体いつ来るんだろう?
 まぁデアゴスティーニはMETの上映にさっぱり間に合わなかったが、私自身はギリギリ最終日に間に合ったので良しとしよう。


 キャストは、オテロ:ヨハン・ボータ(テノール)、デスデーモナ:ルネ・フレミング(ソプラノ)、イアーゴ:ファルク・シュトルックマン(バリトン)、カッシオ:マイケル・ファビアーノ(テノール)。
 指揮はセミヨン・ビシュコフ、演出はエライジャ・モシンスキーという布陣。








 オペラの舞台は、嵐に揉まれるキプロス島で幕を開ける。この荒れた海の上でトルコ軍とヴェネツィア軍が戦っているのだ。
 ヴェネツィア軍を率いるムーア人の将軍オテロが無事に戻ってくることを皆が願う中、一人彼の死を望むのがイアーゴ。
 彼はオテロの旗手であり、周囲からもオテロからも主君に忠実で誠実な男だと思われていたが、その実、イアーゴは自分を差し置いて青二才のカッシオを副官にしたオテロのことを心底憎んでいたのだった。

 けれどもイアーゴの望みは叶わず、オテロはトルコ軍を撃破し無事に帰還を果たす。
 更に高まるオテロの名声。愉快気に祝宴を過ごすカッシオの姿もまた、イアーゴには面白くない。
 イアーゴはこの二人の失脚を欲し、デスデーモナに思いを寄せるロデリーゴを仲間に引き入れて計画を練る。


 悪意の塊となったイアーゴが目をつけたのは、オテロの妻デスデーモナ。
 叩き上げの軍人であり外国人でもあるオテロだが、最近結婚したばかりなのだった。その可愛い妻こそがデスデーモナ。
 オテロはこの妻を可愛がり、妻もまたオテロに従順と、彼らは今や幸せの真っ最中。
 だがもし、この可愛い可愛い妻が自分に隠れて不義を働いていると知ったならば、オテロはどれほど激怒するだろうか。しかも相手が信頼する副官カッシオだったら?
 実際にデスデーモナが浮気をする必要はない。要はオテロが思い込めば、それで十分なのだ。
 しかも都合の良いことに、イアーゴの妻はデスデーモナの身の回りの世話を勤めている。そしてカッシオは酒に弱い。
 イアーゴの卑しい企みが、ロデリーゴを実行部隊として開始されるのだった。



 「悲劇」と謳われているだけあり、結末はある程度までイアーゴの目論見のままに齎される。
 だがイアーゴの計画も全て白日の下にさらされ、彼もまた破滅しはするが、だが何の咎もないデスデーモナの上に降り注いだ不幸は今更取り除けない。
 類稀なる人柄と軍事能力を高く買われていたオテロが実に簡単にイアーゴにだまされ、デスデーモナが自身の無実を信じて貰えずに命を落とす様はあまりに簡単にことが運びすぎて、むしろ肩透かしでもある。
 原作にあったデスデーモナとオテロの結婚にこぎつけるまでの顛末がオペラでは綺麗サッパリ省かれているために、更にこの結末にはあっけなさが漂う。

 けれど、デスデーモナ役のフレミングの健気さと儚さ、そして何よりもイアーゴ役のシュトルックマンの熱演がそれらの欠点を帳消しにして余りある。
 4幕での自身の運命を半ば悟ったデスデーモナが一人舞台で歌う、長い長い独壇場の切なさ。
 オテロに首を絞められた後の瀕死状態、ベッド脇に転げ落ちた状態でも歌えるそのタフさにも驚愕した。人間、あの姿勢で歌えるものなのか。

 演劇的要素の強い本作はどの役も巧みにその人物を見せてくれたが、特にイアーゴの、実に憎憎しいこと!
 己を悪意の申し子だと語り、害意を肯定し、崇高なる神という概念を否定して笑う、そのふてぶてしさ。
 なのに他人の前では実に上手く外面を取り繕い、誰からも忠実で実直な有能な人物だとの評を得るのだ。
 軍事には慣れていても人間の機微にはやや疎いオテロの素朴さを手玉に取り、若く軽薄なカッシオの襟元を捕まえては、この悲劇をたった一人で作り上げる、その力量たるや素晴らしい。
 ただ最終的には己もまた、自分自身が生み出した「物語」の波に飲まれて破綻してしまうのだが、けれどもそんな結末こそが彼を化け物ではなく、ただの人間に留め置くのだ。
 イアーゴは姦計を企て実行しはするが、所詮はただの人間でしかない。
 近くに似たような人物がいるかもしれず、あるいは自分自身が彼と同じ種類の人間なのかもしれない、その範囲での悪人だ。
 そうであるからこそ、この悲劇はより悲しい。



 一言で言うと、今作はとても面白かった。もっと長く聴いて&見ていたかったよ。
 舞台装置も豪華な上に、衣装もスペイン風で良い。休憩も兼ねる特典映像では、衣装担当者にも話を聞いて欲しかったかな。
 次もまたシェイクスピア原作の『テンペスト』だそうなので、こちらも期待。


覚え書き(本に纏わるあれこれ):オペラ感想
より詳しくは右カラムのカテゴリから選択してください。


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 ちなみに、今回はそれほど音響が鼓膜に悪くはなかった。
 前回と同じなんばパークスシネマだったものの、2番シアターと小さい箱だったのが良かったのかも。
 ただ『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』のおかげで、ロビーの人が大変なことになってたけれど。
 あちらの開場が先で、心底助かった。

 それと、一体いつデアゴスティーニの『オテロ』は届くんだろう?

Theme:オペラ | Genre:音楽 |
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