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『鏡の文化史』感想:★★☆☆☆

2012.08.20 Mon


鏡の文化史 (りぶらりあ選書)

サビーヌ メルシオール=ボネ
法政大学出版局 2003-09
売り上げランキング : 676075
by ヨメレバ


 正直、感想がないのが感想。
 でもまぁ折角だし、ひねりだしてみましょうか……。
 とりあえず、とても読みにくかったことを記しておきたい。原著のせいなのか、翻訳のせいなのかは知らない。


 内容紹介によると「地位の象徴,貴族の贅沢品,女性の宝物,家具…として文明を映してきた鏡の発展史を豊富な資料から解き明かし,鏡をめぐる人々の感性と生活像を多彩に描き上げる。」とのことなのだが、「多彩」かと問われると、うーん?
 その点では『鏡の歴史』の方がずっと多彩なんじゃなかろうか。こちらは未だ50p程度までしか読み進めていないけれど、それでも視野の広さの差は歴然としている。


 本書で作者メルシオール=ボネが対象とするのは、西洋の鏡もしくはガラスに限られている。
 中心がフランスとなるのは、彼女がフランスの歴史家であることを考えれば、当然のこととは言える。その他の地域が殆ど出てこないのは予想外であったが。








 本書は三部構成となっている。
 第一部ではヴェネツィアが秘匿し続けたガラス製造方法を巡る、フランスとヴェネツィアの国の経済を掛けた水面下の戦いが描かれる。
 この第一部が一番面白い。登場人物が多すぎるのが難点だが。

 鏡が贅沢品として登場した頃から、フランス王国にとっては鏡・ガラス製品の購入によって国の資産がヴェネツィア共和国に流出するのは悩みの種ではあった。
 それがヴェルサイユ宮殿の鏡の間の完成により王を始めとする貴族達の鏡・ガラス熱の高まりにより浪費がもはや看過できないほどの額になったフランスは、ヴェネツィアと同レベルのガラス生産に多額の資金を投入し始める。
 だがヴェネツィアとて鏡・ガラスは国家の一大収入源なのだ。以前からガラス職人を島に囲い込み、高い報酬と監視による飴と鞭政策によって取り締まってきた。
 ガラス製品における圧倒的な優位な座を手放したいわけがない。
 かくして、二国は技術という形のないものを巡って全面的に争うこととなる。

 だが、技術はどうしたって漏れるものだ。それが価値の高いものならば、特に。
 結局のところ、現代においてガラス製品がこれほどに一般化したことからも分かるように、ヴェネツィアの技術独占は破れた。
 しかしフランスが高い賃金を餌に引き抜いた職人が、その待遇に気をよくして更なる贅沢を要求したり、職人同士のいざこざがあったりと一筋縄でいかないところが興味深い。
 当時は師弟制度やギルド制度が生きており、弟子は師に従い伝統を守ることを良しとされていたが故に、目新しい技術革新は起こりにくかった。
 それでも欲望は人間に熱意を与えるものであり、より大きな美しい鏡をとの飽くなき探求はフランスに王立鏡製造工場サン=ゴバンを徐々に軌道に乗せ、そしてついには伝統を守り続けたが故に時代遅れとなったヴェネティアのガラス産業を抜き去ったのでありました。

 ちなみにこのサン=ゴバン、現在でも元気に存続していたりします。流石にもはや王立ではないけれど。



 以降の第二部、第三部は鏡なる存在が、どのようにフランスやその周囲の地域で扱われたのか、また鏡に対してどのような印象を受け、いかなる想像を抱いたのかという文化の歴史。
 キリスト国であるフランスが中心になっているから当然ではあるが、神の似姿としての人間、アダムとイブが楽園で犯した罪のモチーフがひたすら根底に流れ続けており、理解出来るだとか同意出来るだとかはとても言えない。

 近くなったようで、やはり根本的には異質だよ西洋世界は。
 原罪なんて重たいテーマを投げ捨てたくはならないのだろうか。


テーマ別:|出版社別:法政大学出版局
より詳しくは右カラムのカテゴリから選択してください。


関連記事:
『ガラスの文明史』感想:★★★★☆
『ヴェルサイユ宮殿に暮らす—優雅で悲惨な宮廷生活』感想:★★★★☆
『ホフマン短篇集』感想:★★★★★
『スピリット』感想:★★★☆☆




 この記事を書いている途中で調べ物のために、10ほど出しているブラウザのタブをくるくる回していたらマウスポインターが失踪した。
 それどころかパソコン自体がうんともすんとも言ってくれなくなったので、強制的に落とす羽目になった。
 マウスポインター失踪はなんて自体は初体験すぎて「?」になってしまった。そんなこともあるんだね……。
 パソコンの調子が悪かったのかな、修理から戻って来た直後は元気だったけど最近暑いせいか若干挙動不審だからなーと納得したいが、頻発するようになったら困る。

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