壱、弐ときて参はない:購入履歴・古本編77
2012.06.22 Fri
雑誌を2冊購入。東雅夫が編集した「小説幻妖」の壱号と弐号を。
壱号は1986年2月、弐号は同年11月に発行と記されている。
「小説幻妖」壱の特集は妖女コレクション。
この特集内に入っているソログープの「毒の園」が読みたくて購入。翻訳は昇曙夢。
昇曙夢翻訳の「毒の園」ならば、国書刊行会から出版されたテーマ別アンソロジー『植物(書物の王国)』で読んだのだが、そちらは新字新仮名に直されている。
この「小説幻妖」収録のものは旧字旧仮名のまま。
他に加藤幹也の「黄昏黙示録」、ブラックウッドの「中国魔術」、リヒャルト・フォス(雑誌ではリヒアルト・フォス表記)の「降霊会奇譚」などが面白そうだ。
壱の最終ページの編集部からのコーナーによると、同じく東雅夫が編集長を務める雑誌「幻想文学」へと寄せられた作品紹介を望む声に応えるために「小説幻妖」は創刊されたのだそうだ。
評論・研究は「幻想文学」で、新しい作家・埋もれてしまった名作の紹介は「小説幻妖」で、新人発掘は「幻視の文学」で行う3雑誌体勢を目論んでいる、とのこと。
……「幻視の文学」って雑誌があったのかー、と思ってGoogleさんに尋ねてみたけれど、「幻視の文学 1985」しか引っ掛かってこない。
もしやこれ1冊だけでお亡くなりになった雑誌なのか。
「小説幻妖」の弐で、本来「幻視の文学」に載せる予定だった第二回幻想文学新人賞を「急遽」掲載しちゃってるしなぁ。
ちなみに私がとても好きな「青色夢硝子」の作者である加藤幹也(高原英理)は第一回幻想文学新人賞を受賞しているようだ。
第一回の受賞作は予定通りに「幻視の文学」に掲載されたそうなので、この雑誌も探してみようかな。
「小説幻妖」の弐での特集はベルギー幻想派+幻視の文学。ってあれ、思いっきり「幻視の文学」と背中に書いてあるな……。
こちらは壱を買ったついでに購入。一冊だけだと寂しいかと思いまして。
でも今更中を覗いてみると、加藤幹也の「水漬く屍、草生す屍」が収録されているので、買って良かったなと。
うーん、でも「青色夢硝子」を『鉱物(書物の王国)』で知った時に、他にも作品がないか調べた筈なのに、知らなかったぞ。
他にも実は作品を書いていたりするのだろうか。
長篇だと『闇の司』(秋里光彦名義)、『神野悪五郎只今退散仕る』(高原英理名義)、『抒情的恐怖群』(高原英理名義)が出てるってのは知っているけれど、短篇もまだあるのかなー。
二冊まとめて買って驚いたが、壱よりも弐の方が随分と分厚い。
だがしかし、写真に撮ったら全く伝わらない代物にしかならなかった。もっと良いカメラが欲し……いやこれカメラのせいか?
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