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映画『ファウスト(ソクーロフ監督)』感想:★★★☆☆

2012.06.16 Sat


『ファウスト』パンフレット


 わざわざ見に行ったついでに、感想でも。
 本作品は、2011年のヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を獲得。

 原作は御存知ゲーテの『ファウスト』。
 冒頭に「ゲーテの『ファウスト』から自由に翻案」とのテロップが出るが、原作の影響をあちこちに見ることが出来て楽しい。
 逆に言えば、ゲーテのこの作品を読んでいないと意味不明状態に陥るようにも思う。突然、人工生命体(ホムンクルス)なんて言われても困るよなぁ。
 ただ、パンフレットでゲーテ『ファウスト』のエッセンスについて分かりやすい説明が行われているので、上映前に目を通して頂ければ宜しいかと。
 このパンフレットには何故か「ファウスト」シナリオ採録が収録されており、日本語字幕の全てとそのシーンの場所、状況説明も少々載っていたりします。
 状況説明が最低限しかないのでこれだけを読んでも足りないだろうが、映画を見た後の復習にはバッチリ。


なぜ、こう臭う? 父は実直な人間だ。でも、それが何になる?(「ファウスト」シナリオ採録より)


 舞台は19世紀初頭。森の中に孤立するように、周囲から己を守るかのように塀を巡らせた中世の面影を残すドイツのある街。
 神学も哲学も、医学すらも学んだファウスト博士は、それでも解けぬ魂の謎に空虚を感じていた。空腹と貧しさに耐えて研究を続けても、空しさは埋まるどころか増えるばかり。
 行き詰まったファウストは弟子ワーグナーに毒ニンジンの入手を頼む。だがそれを呷ったのはファウストではなく、悪魔と噂される高利貸マウリツィウスであった。








 ファウストの予想に反して、毒を飲み干したはずのマウリツィウスに死はもたらされない。それどころか彼はファウストの外出に勝手に同行し、さらに彼を女たちの洗濯場へと連れ込みさえする。
 清らかな水と、朗らかに生を謳歌するその場所で、ファウストは初めてマルガリーテと出会い、若々しく貪欲な愛情を抱くのであった。

善い人間とは、暗い衝動に動かされようとも、正しい道を知っている人間だ。”耐えろ、しのげ、我慢しろ”。(「ファウスト」シナリオ採録より)


 生きることにただ空虚さだけを感じていたファウストが唐突に駆り立てられた、欲望。
 それは暗い衝動なのか、正しい道なのか。しかし、我慢するだけが人生ならば、そこにどんな価値があるのだろう。

何を探してる? 臭いぞ、屁みたいな腐臭だ(「ファウスト」シナリオ採録より)


 悪魔は臭いと俗に言われる。腐敗の始まった屍体は臭う。
 だが生きている人間とて、臭いのだ。臭いを持たぬ生命など存在しはしない。
 細胞膜や皮膚で囲われた生物の如く周囲を塀に囲まれた街で、ファウストは一個の人間として生き、そして一個の「部品」として暮らしていた。
 欲望に唆されるまま、マウリツィウスに血の契約書を渡したファウストはその囲いから零れ落ちたのか、より高みに昇ったのか。それは一段と素晴らしい生なのか単なる死なのか、あるいはそのどちらでもないのか。
 マウリツィウスを埋葬した後の、彼の歩みはどこへ向かうのだろう。



 懇切丁寧に説明してくれるような種類の映画ではないので、気を抜くと簡単に意味不明の領域に転落できる。正直、頑張ったけど、良く分からない箇所がたくさんあったよ。
 高利貸の”妻”って何よ? とか、ワーグナーがどうして突然「俺こそがファウストだ」と叫び始めたのか? とか。
 ただ映像が美しく、脱落しそうになる度に集中力を画面に呼び戻してくれるのだ。

 それと、マウリツィウス役のアントン・アダシンスキーが良い。
 ゲーテの『ファウスト』に登場するどこか間抜けで愚痴っぽいメフィストフェレスはこんな感じなんだろうな、と思わせるだけの説得力がある。マーロウの『フォースタス博士』のメフィストフェレスとは違う。
 ゲーテの描くメフィストフェレスには何の思い入れもなかったけれど、こんな悪魔なら他人事として見てる分には可愛くて良い。もしも自分の側に来た日には、階段からうっかり装って突き落とさせて頂きます。



 そんなわけで、もう一度観たいかと問われれば、「CMのあるテレビでなら……」と答えたい。
 時折息休めのCMでもないと、今度こそ途中で寝る。


テーマ別:ファウスト|覚え書き(本に纏わるあれこれ):映画感想
より詳しくは右カラムのカテゴリから選択してください。


関連記事:
『ファウスト 第一部・第二部(集英社文庫ヘリテージシリーズ)』感想:★★★★★
『ファウスト 悲劇第一部』感想:★★★★★
『フォースタス博士』感想:★★★☆☆




 『ファウスト』を観たのは梅田ガーデンシネマ。
 スカイビルタワーイーストの4Fにある。3Fはシネ・リーブル梅田という名前の違う映画観が入っているので、お間違えなく。

梅田ガーデンシネマ


 梅田ガーデンシネマは、スクリーン数2、各111席の小さな映画館。
 席は指定ではなく、全席自由席の入場整理券制。

 既に『ファウスト』はもう朝9:50からの1日1回のみの上映。梅田ガーデンシネマでの上映は6月22日の金曜日まで。
 私が見に行った16日土曜日は、営業時間が始まる前から20人弱ほど並んではいたものの、満席にはほど遠い。まぁ、雨だったせいもあるのかもしれないけれど。


スカイビルタワーイースト


 スカイビルイーストを見上げるとこんな感じ。
 天気が良くて青空なら、もうちょっとサマになったと思うんだ……。
 見ての通り、スッケスケ仕様なので、高所恐怖症の方には恐怖のビルとなっている。4Fに入っているガーデンシネマからの見晴らしも良好。


七夕フェア中


 帰り際に1枚。
 6月は特にイベントがないからだろうが、既に七夕飾りがたなびいている。
 これはスカイビルのある新梅田シティの内側からJR大阪駅の方向を撮ったもの。色々とビル建設中。白い空を背景にするクレーン車の赤が綺麗だった……のだが、写真では潰れた。
 わりと大阪駅から遠い。徒歩10分くらいかかったかな。


 梅田ガーデンシネマの公式サイトはコチラから。→梅田ガーデンシネマ

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ファウスト

 『ファウスト』をシネスイッチ銀座で見ました。 (1)ソクーロフ監督の作品としては、『牡牛座―レーニンの肖像』(2008年にユーロスペースで)と『太陽』(DVDで)を見たにすぎません...
映画的・絵画的・音楽的 2012.07.01 06:22