RSS|archives|admin


<<ファビコンを設定してみた―センスのある人が羨ましい | ホーム | 吾輩はカモである。味付けはまだ無い。:購入履歴・新本編2>>

スポンサーサイト

--.--.-- --
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


Category:スポンサー広告 | Comment(-) | Trackback(-) | top↑ |

『女吸血鬼カーミラ』感想:★★☆☆☆

2011.06.28 Tue
女吸血鬼カーミラ (フォア文庫)
女吸血鬼カーミラ (フォア文庫)ジョゼフ・シェリダン レ・ファニュ 田中 槙子

岩崎書店 1993-01
売り上げランキング : 548588


Amazonで詳しく見る
by G-Tools


 それは小学四年生くらいの頃の記憶。当時の私は近所の小さな学習塾に通っていた。そこの狭く薄暗い廊下に置かれていたのは、妙な緑色を帯びた金属製の本棚。
 そこで私が手に取ったのが、『吸血鬼カーミラ』だった。
 美しいカーミラは恐ろしい吸血鬼なのだろうか? 主人公ローラはどうなるの? そんな恐怖と疑問以上に、当時の私を惹き付けたのは、カーミラとローラの間に漂うレズっぽさであった。
 「借りてく?」と聞いてくれた塾の先生に首を横に振ったのは、こんなエロイ本を借りたのが母親にバレたら恥ずかしいとの思いであった。そして、こんないかがわしい本を平気で塾の本棚に置いている先生に、そこはかとない不審を抱いた。
 とは言え、先生のその態度を幸いと、毎回毎回少し早く塾に行っては読み、とうとう完読するのだが。


 時は流れて、現在。
 唐突に懐かしくなって、あの当時私がドキドキしながら読んだ本を探してみた。子供向けに出版されているのはフォア文庫の『女吸血鬼カーミラ』と、集英社の子どものための世界文学の森シリーズ『吸血鬼カーミラ』。
 私の記憶によると、表紙はどこか青い鳥文庫に似ていたような気がするので、前者のフォア文庫のものを購入。
 このフォア文庫と言うのは、岩崎書店・金の星社・童心社・理論社の4社で共有されるレーベルのようだ。少し面白い。
 ちなみに、この『女吸血鬼カーミラ』は岩波書店が出版元。今は絶版。


 前振りが長くなったが、この中編小説『女吸血鬼カーミラ』、一般的には「吸血鬼カーミラ」は、かの有名な『吸血鬼ドラキュラ』よりも先に書かれ、ドラキュラにも大きな影響を与えた作品……の割に、ドラキュラ伯爵と比べると知名度低し。
 ドラキュラ伯爵のインパクトが強すぎるのかも?
 と、知名度はさておき、歴史的な価値も評価も高めな本作品なのだが、私的には星2つ。その理由は……、謎、投げっぱなしすぎじゃないですか、コレ。
 以下、ネタバレ注意。






 『女吸血鬼カーミラ』は、オーストリアはスチリアの寂しい城に父親と使用人と一緒に住む18歳のローラが主役であり、成長したローラが当時を回想する形で紡がれて行く。
 同じ歳の友達が欲しいと願っていた18歳のローラの前に、ある日、同じ年頃の美少女カーミラが現れる。ローラとは縁もゆかりもないカーミラではあったが、彼女はとある理由からローラの城に滞在することになる。
 ローラは友達が出来たと喜ぶが、しかしそれが恐怖の始まりであるとは誰も知る由はなかった……。

 こんな具合に書くと完全にホラーだが、今読むと本作品はホラーよりもむしろサスペンス風味。
 以降の展開はタイトルから想像出来る通り。
 カーミラが城に来て以来、近隣の村の娘が妙な病で幾人も死んでいくようになる。またローラ自身も妙な夢を見るようになり、徐々に体が衰えつつあった。そこに最近ローラと同じような症状で養女を失ったばかりのスピエルドルフ将軍が現れて、ついにその病の正体を突き止める。それは、カーミラ、全ては美しき吸血鬼カーミラの仕業であったのだ。

 そして物語はローラの胸に色んな感情を残したまま、終焉を迎えるのだが、この後半の展開が急すぎて気に入らない。
 スピエルドルフ将軍は別に良い。序盤からフラグがびんびん立っているし。でも、でも、最後に出てきてサラッと問題解決しちゃうボルデンベルグ男爵、彼だけは駄目だ!
 良いとこ取りなんて次元ではなく、ただひたすらに都合が良すぎる。伏線、伏線を張って下さい、お願いします。いきなり出てこられてもムリです。
 さらに、
とにかく、この世の中で一番おそろしいのは吸血鬼です。吸血鬼がひとりあらわれると、それに血を吸われて死んだ者が、つぎつぎと吸血鬼になってよみがえり、またあたらしい吸血鬼をふやします。(p.182)

と言っているのに、カーミラ滅ぼしてハイ終わりって、それで大丈夫なの? カーミラに殺されたとおぼしきスピエルドルフ将軍の養女や村の娘が蘇っちゃうんじゃないの?
 カーミラだって最初から吸血鬼だったわけではなく、吸血鬼の犠牲者となったせいで彼女も吸血鬼・加害者になったのだと後に男爵が言ってるじゃないの。

 別に私はキッチリした性格ではないので、多少辻褄が合わなくても雰囲気が良ければ総スルー出来ちゃうタイプの人間だが、これは流石に気になる。
 カーミラの母親や立派な馬車、従者たちなども謎だが、そちらはまぁ良いや。でも前者の吸血鬼問題は何とかして頂きたかったなと。これを投げっぱなしジャーマン・スープレックスすると村がまた壊滅しちゃうじゃないですか。ってまぁ、物語の最後にローラはのほほーんと1年間イタリア旅行なんてしちゃっているし、私が想像したような惨劇は繰り返されなかったみたいで良かった良かったなんだけどさ。




 冒頭にも書いたが、今回私が読んだ本はレ・ファニュの原作を子ども向けに翻訳したもの。
 一般向けに翻訳されたであろう創元推理文庫の『吸血鬼カーミラ』に収録されている「吸血鬼カーミラ」と読み比べてみたが、まえがきが綺麗サッパリ削除されてる他はほとんど差異はない。
 まえがきが無いから、『女吸血鬼カーミラ』の方では主人公のローラが何年前のことを語っているのかが分からないけれど、別に分からなくても特に問題にはならないし。
 今回読んだ『女吸血鬼カーミラ』の方は、子ども向けなこともあり、挿絵が入っているのだが、それがかなり素敵。

 だがしかし、私がかつて読んだのがこの本だったか確証が持てない。
 もう古い話だし、なかなか「これが正解!」とは行かないものなのだろうか。うーん、どうだったかなー。もしかして子どものための世界文学の森シリーズ『吸血鬼カーミラ』だったのかも? 分からない。
 分からないと言えば、この物語のどこに「借りて帰るのを躊躇うようなエロさ」があるのかも分からない。あの頃の私は純だったのさ、ってことだろうか。汚れちまった悲しみに……。
Theme:読んだ本。 | Genre:本・雑誌 |
Category:星2つ:★★☆☆☆ | Comment(0) | Trackback(1) | top↑ |
<<ファビコンを設定してみた―センスのある人が羨ましい | ホーム | 吾輩はカモである。味付けはまだ無い。:購入履歴・新本編2>>
name
title
mail
url

[ ]
Trackback URL
http://kkkate.blog.fc2.com/tb.php/19-17b4b0eb

『吸血鬼カーミラ』感想:★★★☆☆

吸血鬼カーミラ 創元推理文庫 506-1レ・ファニュ 平井 呈一 東京創元社 1970-04売り上げランキング : 96616Amazonで詳しく見る by G-Tools  昨日、正確には一昨日、に続いてジョセフ・シェリダ...
買って積んで、たまに読む。日記 2011.06.30 01:24