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『クォンタムデビルサーガ アバタールチューナーⅣ』感想:★★★★☆

2012.01.02 Mon


アバタールチューナーⅣ (クォンタムデビルサーガ)

五代 ゆう 早川書房 2011-08-25
売り上げランキング : 10886
by ヨメレバ


 突如与えられたアートマの異形への変身能力は、<ジャンクヤード>の住人達に火器を凌駕する戦闘力と飢え、そして自我と自意識を芽生えさせた。
 その中の一人<エンブリオン>リーダーであるサーフは、今までは漫然と夢見ていた楽園<ニルヴァーナ>を自らの意思で目指す。アートマと共にもたらされた黒髪の少女サラが語る美しい楽園に到達すべく足掻いた先に待っていたのは、黒い太陽と黄色い空、荒れ果てた大地と、そして変身能力を有する<協会>の戦闘部隊からの攻撃であった。

 楽園とはどこまでも美しく、アートマも存在しない、皆が幸福に暮らせる場所ではなかったのか。
 混乱するサーフに襲いかかるのは、既に<ジャンクヤード>で見慣れた下位アートマたちと、初めて遭遇する強力な火器。戦闘の過程でサーフは、自分が有する肉体が以前よりも格段に能力を上げていることに気が付く。
 そんな彼を、<カルマ協会>関係者らは戦闘用バイオメカニック<ASURA‐01>と呼んだ。

 アートマにより異形への変身能力を得ても、飢えに苦しめられてもなお人間であろうと、人間でいようと欲し<ジャンクヤード>で生きた彼らを、<協会>の関係者からは型番で呼称する。そして<協会>の庇護を得られなかった人々が、太陽が黒変した日から一段と過酷さを増したキュヴィエ症候群から逃れて結成した地下組織<ローカパーラ>もまた、彼らを「悪魔」と恐れる。


どうせ行く場所などない。他の人間にとって、おまえたちは悪魔、異形の存在であり、恐れと嫌悪、そして排斥の対象になるだけだ。だが、ここにいれば、意味が与えられる。存在の意味。生きる意味が(p.69)

では、人間であるあなたは、生きる意味を理解してるのか。あるいは、『生命』が、『生きる』ということがどういうことか理解しているのか。ジャンクヤードにおいて、われわれは『生きた』。それと、この実体世界での『生きる』とのあいだに、どういう差違が存在するのか答えてほしい(p.101)



 どのような境遇に置かれようとも、前を向いて人間として生きようとするサーフと仲間たち。参謀タイプとして作られたが故に人間味を欠いていたゲイルにも己の意思が宿り、そして「彼」がついにサーフと袂を分かつ。
 <テクノシャーマン>セラフィータにその顔だけで気に入られることとなった水無瀬眞は、同じ顔をしたサーフに憎悪を燃やし、<協会>勢はサーフら<ASURA-AI>五体の回収に動き出す。

 登場人物は全員揃い、舞台もまた整った。今ここに存在する『生命』として『生きる』先に待つ結末は。








 Ⅲ巻から五年後を舞台として始まるこのⅣ巻。
 睡眠時間返して! 読み終わったら朝日が昇ってたんですけど!
 ってくらい面白かった本作。一応ここまでは2011年の間に読み終わったものの、Ⅴ巻は間に合わなかったよ……。


 予想以上に過酷な<楽園>でのサーフらの境遇はあまりにも衝撃的。
 Ⅰ巻でジャンクヤード人全てが自我を得た後に、サーフがゲイルに投げかけた「自分の頭で考えろ」との問いが明確な形で結実し、不穏な空気を纏っていた「彼」がサーフと対峙する様に関しては予想の範囲ではあるものの、やはりカタルシス。
 「たぶんこうなるんだろうな」との予想をキッチリこなして頂けると嬉しいものだ。手加減を間違えると一気にチープと化す危険性もあるが。
 今後の予想を書けば、「彼」の造反はサーフたちがこれ以上苦しむことのないように、苦痛のみの生を自分の手で終わらせてやるとの彼なりの優しさなのだろう。この予想が正解かどうかは、次のⅤ巻で。
 逆に眞の小物化っぷりは、何だかなぁ。彼の切り札はセラフィータに好かれた「顔」一つであり、サーフが同じ顔を持っている以上、もはやその有効性は言わずもがななのは分かるが、でもⅢ巻であれほど双子の妹・螢が恐れ「悪魔」とまで言い張った眞の末路としては、イマイチ納得がいかない。
 螢と一幾の関係に嫉妬しているが、それもまたアンタの仕組んだことじゃなかったのかい。想定していた以上に二人が親密になったのが許せなかったと考えても、やはり小物臭が。
 小物と言えばⅢ巻でのファン・ベック大佐は素晴しかったのになぁ。眞にはもう少し頑張って欲しかった。


 <EGG>内でサラのお気に入りであった人物を原型とするサーフ、ヒート、アルジラ、シエロが、<ジャンクヤード>で同じトライブに集った理由、そもそもサラが眞の顔を気に入った原因は明白には説明されそうにないのも残念。
 眞の顔を気に入った理由が明かされないと「我が儘な女王様」の謗りは免れ得ず、Ⅲ巻で失墜した私のサラへの好感度が回復しないので何とかして頂きたいなぁ、と希望している。
 そう言えば、太陽が黒く変わった理由も未だ説明されていなかったような。
 一幾によって人間の苦痛を叩き付けられたことによって、<テクノシャーマン>セラフィータに異変が起こったことが引き金なのは確実だろうけれど、それはⅢ巻までの情報であり、Ⅳ巻で新たになったのは黒い太陽の光線は通常の太陽光よりも致命的であり、浴びれば一瞬でキュヴィエ症候群によって死に至る点だけか。

 Ⅴ巻でどこまで明らかになるのか期待しつつ、そして「SFらしいSF」が好きではない私の評価はまた星2つに逆戻りするんだろうなとの予感を抱きつつ、最終巻に続く。


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ジャンル別:SF小説|作者別:五代ゆう
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Theme:読書感想 | Genre:本・雑誌 |
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