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『鉱物(書物の王国・6)』感想:★★★☆☆

2011.06.23 Thu
鉱物 (書物の王国)
鉱物 (書物の王国)アンドレ ブルトン

国書刊行会 1997-12
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 各巻異なるテーマを掲げ、そのテーマに沿う物語、詩、エッセイなどを収録するシリーズ「書物の王国」から今回は6巻『鉱物』を。


 収録作品は以下の36作。
・「石の夢」 澁澤龍彦
・「貝の火」 宮沢賢治
・「水晶物語」 稲垣足穂
・「異石」 杜光庭『録異記』、岡本綺堂・訳
・「石髄の話」 葛洪『神仙伝』、飯塚朗・訳
・「狐の珠」 戴孚『広異記』、前野直彬・訳
・「石を愛する男」 蒲松齢『聊斎志異』、増田渉・訳
・「巡礼のひとりごと」 ヴォルケル、栗栖継・訳
・「石の女」 ピエール・ド・マンディアルグ、生田耕作・訳
・「食べる石」 種村季弘
・「産む石」 種村季弘
・「石中蟄龍の事」 根岸鎮衛『耳嚢』、須永朝彦・訳
・「懐中へ入った石」 『梅翁随筆』、須永朝彦・訳
・「動く石」 柴田宵曲
・「室の中を歩く石」 田中貢太郎
・「サファイア」 寺山修司
・「水晶の卵」 ウェルズ、小野寺健・訳
・「博物誌より」 プリニウス、佐藤弓生・訳
・「フィシオログスより」 作者不詳、梶田昭・役
・「雲根志より」 木内石亭、須永朝彦・訳
・「鉱石倶楽部より」 長野まゆみ
・「白描・白描以後より」 明石海人
・「青色夢硝子」 加藤幹也
・「馬鹿石、泥石」 サンド、篠田知和基・訳
・「妖気噴く石」 石上堅
・「クマルビの神話」 矢島文夫
・「岩」 オマハ族の歌、金関寿夫・訳
・「石の花」 日野啓三
・「石の言語」 ブルトン、巖谷國士・訳
・「鍾乳石」 ガスカール、有田忠郎・訳
・「黄銅鉱と化した自分」 池澤夏樹
・「断片・続断片より」 ノヴァーリス、飯田安・訳
・「石」 西條八十
・「ファルンの鉱山」 ホフマン、種村季弘・訳
・「山の親方」 バジョーフ、佐野朝子・訳
・「青晶楽」 塚本邦雄
 責任編者は高原英理。

 長いので折りたたみ。






 澁澤龍彦の随筆から始まる、なんとも贅沢な本書。
 氏の随筆は同じ書物の王国シリーズの『人形』で初めて読み、その巻末の解題で「(『人形』収録の随筆は)澁澤氏の最高峰」と書かれていたので、他のはちょっと落ちるのかなーと勝手に想像していたけれど、本書の冒頭に収められているのもなかなか良い。
 他の作品も読みたいなとは思うが、今読んでしまうのは勿体ない気がする。もうちょっと私が知識を蓄えた後に読みたいな。

 宮沢賢治、稲垣足穂はそれぞれ彼ららしい出来映えの作品。稲垣足穂の「水晶物語」は足穂らしい言葉の美しさと儚さがとても良い。
 
 しかし個人的な本書ベストはマンディアルグの「石の女」。
 妙な女性賛美には血圧が上がるが、ここまで故意に、そして徹底的に偶像化されると途端に許容出来てしまう。
 ロマンを通り越して、少女趣味な気配すら漂うマンディアルグの他の作品も読んでみようかな。

 ウェルズの「水晶の卵」は、SF風味。火星だとか何だとか言い出した時はちょっとビックリしたけれど、この作者って『タイムマシン』の人だものね。
 書物の王国シリーズには幻想的な物を求めているのでちょっと個人的な趣味からはズレるなぁ、ってのが感想。

 長野まゆみの『鉱石倶楽部』からの一部抜粋は面白い。こう書かれると本当に食べられる気がしてくるから不思議。
 綺麗な宝石を食べると綺麗になれるのだろうか。
 あぁ、そういえば古代中国では永遠を求めて水銀を摂取してたりするわけで、その手の連想は昔から変わらず存在し続けている普遍的な考えなのかもね。

 加藤幹也の「青色夢硝子」もなかなか好み。
 冒頭の「月光が闇にしみ渡るような夜だ。」から、一気に物語に引き込まれてしまった。
人の見る夢は寝てる間に体から蒸発するんだ。質量と色もある。と言っても現実物質を量るやり方では量れないけど (p.115)

 なんて具合に「夢物質説」をブチ上げちゃうところなんて、とっても素敵。最後のオチも、幻想小説の王道ですし。
 この加藤幹也って作家に興味が湧いたのだけど、Amazon検索ではヒットしない。なんでもWikipediaによると、加藤幹也は作家・高原英理の本名だそうで、つまり二者は同じ人ってことで良いのかしら。
 これが同じ人なら、Amazonさんがやたらと勧めてくる『ゴシックハート』でも買ってみようかな。ただお試しで買うにはちょっと高いな。

 日野啓三の「石の花」も凄い好き。
 肉体労働でしかないはずの実験に、精神の問題が染みこむのは感覚として分かる。
 排他的で完成された二人だけの世界に住まう夫婦の姿に、一種の理想を見てしまう。それはそれで社会的な生物であるはずの人間としては駄目なのだろうけれど。

 ホフマンの「ファルンの鉱山」は『ドイツ幻想小説傑作選 ――ロマン派の森から』で既読。
 その後に収録されているバジョーフの「山の親方」が意外な展開でびっくり。
 

 他にも刹那の生き物でしかない人間が、永遠に存在する鉱物に寄せる憧れと反感の随筆・エッセイもなかなかに興味深かった。


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『ドイツ幻想小説傑作選 ロマン派の森から』感想:★★★☆☆

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