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『クォンタムデビルサーガ アバタールチューナーⅠ』感想:★★★☆☆

2011.12.12 Mon

クォンタムデビルサーガ アバタールチューナーⅠ (ハヤカワ文庫JA)

五代ゆう 早川書房 2011-02-18
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by ヨメレバ


 「ジャンクヤード」と呼ばれる世界の中心には<カルマの審判者教会>、通称<教会>、と呼ばれる絶対的な統治者が鎮座していた。白く美しい教会が建つ地サハスララ・エリアから隔てられた周囲には、ぐるりと6つの地域が存在している。
 <教会>は教える。6つの地域を全て支配したトライブには、楽園<ニルヴァーナ>への道が開けると。そのためにお前達ジャンクヤード人は産出されるのだと。
 <教会>に教えられるままに、彼らは戦い、死んだ。その死体は分解され銀の雨と化し<教会>の地下へと戻り、罪を浄化された後に、また新たな個体として「産出」されては<教会>の門を出る。永遠なる繰り返し。その渦中に生きるジャンクヤード人は、自分たちの存在にも、戦う理由にも、そして<教会>が謳う楽園<ニルヴァーナ>の存在にも、疑問を抱いたことはなかった。
 いや、そもそもとして、「疑問を抱く」ことすら出来なかったのかもしれない。その日までは。

 その日、サハスララ・エリアを取り囲む6つの地域の1つムラダーラ・エリアを支配する<エンブリオン>は、隣接するスワディスターナ・エリアの<アサインメンツ>と対峙していた。両者が睨み合う2つのエリアの境目には、高さ約3.5メートル、幅約2メートルの謎の黒い物体が静かに存在していた。その正体は誰にも分からない。
 <アサインメンツ>、<エンブリオン>ともに、件の物体は相手が置いたのだと認識していた。自分たちではないのだから、当然相手のはずだ。睨み合う両者。平行線を辿るばかりの2つのトライブの言い争いは、やがて戦闘の開始を告げる。
 だが、その戦闘は中断された。エリアの境目に佇んでいた黒い物体が突如光を発したのだ。その光は周囲の人間たちを刺す。
 <エンブリオン>のリーダー、サーフもまたその光に貫かれた。そして、意識を回復した時には、彼はもう「変わっていた」。彼だけではない。<エンブリオン>の全員が、いや、ジャンクヤードの全てが変わってしまったのだ。
 彼らが手に入れたのは「神」もしくは「悪魔」と呼ばれる異形への変身能力と、そして、<教会>に強制されない自由な意志であった。

 サーフたちは変わった。これからも変化していく。今までただの繰り返しに過ぎなかったジャンクヤードも変化した。絶対的だった<教会>が、いくつものルールが、急速に無効化されていく。
 変わることへの恐怖と甘美。そのどちらが真実なのであろうか。
 件の黒い物体から現れた、黒髪黒瞳の少女サラ。サーフの前に幾度も姿を見せる、「猫」。サーフたちの物語が始まる。








 以上、あらすじ紹介でした。長かったな。

 今までは何の反感も抱かずに<教会>に従い、その教えを信じて来たサーフたちが、黒い物体の発した光を契機に己の意志を持つようになり、今まで自分たちが絶対的だと信じていた存在に疑問を抱く過程が本書のメイン。
 ただ不信を抱くだけならばまだしも、同時に彼らに与えられた異形の能力アートマにより、文字通りの喰うか喰われるかの二者択一を迫られる様は強烈である。

 アートマの力は持ち主に殺戮を強要する。操られるままに力を振るえば、腹が減る。自分が殺した相手、同じ人間だったものだ、の肉を喰らわねば、アートマに人格を破壊される。その一方で喰えば喰うほどに、アートマは強くなるのだ。
 彼らが生きるのは、元からにして殺すか殺されるかのサバイバル世界である。殺すことと喰らうことの間に、どれほどの差があるのか。それともその差こそが、人間である矜持なのか。
 人間でいたい、相手を喰らいたくない、と考えるサーフ。力を欲し、どう変化しようとも自分はいつだって自分だとの強い信念を抱き、積極的に相手を喰らうヒート。変身能力にも他者を喰らうことにも強い嫌悪を示すアルジラ。
 彼らが変化を理解し、受け入れる過程が本書のキモである。そしてその過程を詳しく書くためなのか、基本三人称で展開する物語の中に、一人称が混じるのがどうにもこうにも気持ちが悪い。
 私はあまり人称に拘らないタイプだと思っていたが、そんなことはちっともなかった模様でございます。


 主人公であるサーフ、彼の幼馴染みとも呼べる間柄ながら性格の違うヒート、最もアートマに嫌悪感を持つアルジラ、機械の如き無感情かつ合理主義者ゲイル、元気担当の明るいシエロと言ったメインの5人に加え、今後のキーを握るのであろう不思議な少女サラや、謎の黒い猫が今後どう化けるのか楽しみだ。
 サラの黒い髪も瞳は、本来ならばジャンクヤードには存在しない色なのである。誰しもがそれなりの戦闘能力を持つジャンクヤード人とは思えぬほどにひ弱なサラの正体は一体?
 ただ現時点で登場人物名に加えて、エリアの名前、所属トライブの名前にアートマの名前云々とカタカナが飛び交いすぎて、最後の5巻まで辿り着けるか不安です……。


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ジャンル別:SF小説|作者別:五代ゆう
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Theme:読書感想 | Genre:本・雑誌 |
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