『言語が違えば、世界も違って見えるわけ』感想:★★★★☆
2014.12.24 Wed
言語が違えば、世界も違って見えるわけ | |
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サクサク読めて面白いけれど、タイトルが示すほどに劇的な結論に到達するわけではない。
まぁ確かに母国語が違うだけで世界が劇的に違って見えるのならば、世界の東西を越えた交流とか難易度半端ないことになってしまうものね。と、そんなわけで割と常識的な結着に落ち着くのが本書の良いところでもあり、ややガッカリするところでもある。
ホメロスの描く世界には、色が極端に少ない。彼は空の青さを誉め称えることは一度もないし、海と羊は同じくすみれ色である。
そう気が付いたのは、ホメロスの熱心な研究社であったグラッドストン。彼はその謎に頭を悩ませる。ホメロスほどの優秀な詩人が、色についてこんな不可解な表現を残しているのはどうしてなのか。
最初の仮説は、ホメロスは色弱だったというもの。だがもしそうならばホメロスの色彩感覚は一般的な感性とはズレることとなり、彼に対する違和感が同世代人から発せられるはずだ。しかしそうはなっていない。
ならば色弱なのは彼だけではなく、当時の人たち全員がそうだったのではないか。
グラッドストンの大胆な仮説は、最初は歯牙にも掛けられなかった。だが時代が下ってから、彼の説は再度発見され、そしてダーウィンの提唱した進化説の流れに乗って主流へと浮かび上がる。
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