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『影をなくした男』感想:★★★☆☆

2013.03.24 Sun


影をなくした男 (岩波文庫)

シャミッソー 岩波書店 1985-03-18
売り上げランキング : 96911
by ヨメレバ


 「悪魔とうかつな契約をしてしまったばかりに、窮地に陥る」とのストーリーを踏まえて展開する短い物語。
 この度の主人公はペーター・シュレミール、彼は赤貧に喘いでいたがために金貨のあふれ出る財布と交換に影を悪魔に売り渡してしまう。
 結果、シュレミールは金貨に困ることはなくなったが、代わりに太陽の下に出て行けない身となってしまったのだった。
 彼に影のないことを知ると人々は露骨に彼を避けた、あまつさえ子供などは面白がって石を投げつけてくる有様。
 あれほど望んだ金貨に埋もれながらもシュレミールはもはや幸福ではない。だが彼は一人忠実な召使ベンデルにだけは恵まれた。今や彼だけがシュレミールの心の支え。
 ベンデルは主人の信頼に応え、彼がために心を砕き、彼が影を喪失していることが露見しないようにと力を尽くしてくれた。
 結果しばしの安寧を得たシュレミールは、ある日恋をする。だがいざ恋が叶うという段になり、またしても影がないこと、悪魔のせいだ、が彼を失望へと追い立てるのであった。



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Theme:読んだ本の紹介 | Genre:本・雑誌 |
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『ホフマン短篇集』感想:★★★★★

2012.07.23 Mon


ホフマン短篇集 (岩波文庫)

ホフマン 岩波書店 1984-09-17
売り上げランキング : 246430
by ヨメレバ


 既に読んだことのあるものが多いのだが、それでもやっぱり面白い。ただ翻訳は以前に読んだものの方が好みかな。

 収録されているのは、以下の6作品。
・「クレスペル顧問官」
・「G町のジェズイット教会」
・「ファールンの鉱山」
・「砂男」
・「廃屋」
・「隅の窓」
 挿画はアルフレート・クービン。
 分かりにくいが、表紙は「G町のジェズイット教会」の挿画としても使われている。


 ホフマンの描く幻想と怪奇には特別の背景は不要だ。それは現実のほんの少し奥、日常の片隅で展開される。
 物語を描くのは、少し変わった人たち。彼は「普通」とは異なっているが、多くの場合本人はそのことを不幸だとは感じていない。
 だが「普通」ではない彼らは、圧倒的な質量を持つ現実と日常の「普通」の中にいつまでも存在してはいられず、物語の終末に至って淡く儚く消え去っていく。
 彼らが遺すのは、ほんの僅かの痕跡だけ。しかしそれもまた、語り手や僅かな登場人物にしか感知されることはなく、またその跡も速やかに吹き散らされて失せる。



Theme:最近読んだ本 | Genre:本・雑誌 |
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『ファウスト 第一部・第二部(集英社文庫ヘリテージシリーズ)』感想:★★★★★

2012.05.30 Wed


ゲーテ 集英社 2004-05-20
売り上げランキング : 6188
by ヨメレバ


 中公文庫の手塚富雄翻訳の第一部に続いて、池内紀翻訳の第一部・第二部読了。こちらは第二部もまだ流通に乗っているので、新本で買える。
 韻文で書かれたゲーテの作品『ファウスト』を、日本語の響きに配慮して翻訳した手塚富雄訳に対して、池内紀訳は分かりやすさを重視した散文形式となっている。
 分かりやすければ良いかと問われれば、必ずしもそんなことはないと答えるが、キリスト以前の神話が乱舞する第二部を韻文で読むと意味不明に陥りそうなので、最初に読んだのが散文だったのは幸運かもしれない。
 ただ第一部の翻訳を比べてみれば、個人的には手塚訳に軍配を上げる。池内訳では場面場面の語り口の違いがよく分からない。



 知識の探求に明け暮れ、結果、大先生と慕われるようにまでになったファウストだが、当の本人は全く満足などしてはいなかった。

この世をもっとも奥の奥で動かしているものは何か、それが知りたい。(p.32, 第一部)

 全てを知りたいとの大きすぎる野望と、それを果たすことの出来ない己の限界とに疲れたファウストの前に、悪魔メフィストフェレスが現れる。
 メフィストフェレスはファウストをサイコロとして、神と賭けをしたのだった。ファウストの魂を手に入れた方が勝ちだ。
 そんなことなど当然知らぬファウストは、メフィストフェレスと契約を交わす。
 そして知識の探求など投げ捨てて、人間に備わったもう一つの能力、愛、を欲したファウストが出会うこととなるのは、マルガレーテ、愛称グレートヒェン。
 そうして彼女の悲劇が幕を開ける。
そのわたしが、いまは罪を犯している。でも――そうなるまでの道筋は、とてもよかった、うれしかった。(p.228, 第一部)


すべて生じてくるものは、当然のことながら滅びていく。だからして生じてこないのが、なおのこといい。(p.79, 第一部)


 さりとて、生じてしまったものを「なかったこと」にすることは出来ない。それはメフィストフェレスにも覆すことは不可能だ。
 幸福だった娘グレートヒェンを悲運に突き落としたファウストは、それでも生きていかなければならないのだ。



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