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『バスカヴィル家の犬 【新訳版】』感想:★★★★☆

2013.11.04 Mon


バスカヴィル家の犬 (創元推理文庫)

アーサー・コナン・ドイル 東京創元社 2013-02-27
売り上げランキング : 86335
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 先にグラナダTVが映像化した『バスカビル家の犬』を見ていたおかげか、文字情報だけで様々な映像が頭の中に喚起され、舞台となるムーアの陰鬱さと、長年バスカヴィル家に取り憑いてきたとされる魔犬の伝説の忌まわしさが実に生き生きと迫って来た。
 同じ長編の『緋色の研究』、『四人の書名』とは違い、ホームズの推理編と犯人が語る解答編の二部構成になっていないのも良い。

 やっぱりホームズは理路整然とした推理モノとしてよりも、怪奇モノとして推した方が輝く。
 ムーアに多数残る古代人の住処の跡なんて、特に奇妙で物悲しく、口から火を吐くとされる魔犬の伝説と相俟って物語全体を独特の雰囲気で取り巻いている。
 理解を撥ね付ける不可思議の底に沈むパスカヴィル家の怪を、ホームズは最後には理路整然と解きほぐし、全てを人の手に、つまりは理解の下に組み伏せる。
 しかし、それでもあまりにも魅力的なムーアと魔犬の香りは残されているように思えるのは、単純に私がそれらをあまりにも気に入ったが故なのか。


日が落ちてのち、ムーアを横切ることなかれ――世に逢う魔が刻と言うごとく、そは悪霊の跋扈する魔の刻なればなり、と。(p.32)




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『回想のシャーロック・ホームズ【新訳版】』感想:★★★☆☆

2013.10.31 Thu


回想のシャーロック・ホームズ【新訳版】 (創元推理文庫)

アーサー・コナン・ドイル 東京創元社 2010-07-27
売り上げランキング : 78908
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 『シャーロック・ホームズの冒険』に続く2作目の短篇集にして、シリーズ4作目。そしてホームズが表舞台から一旦去る巻でもある。

 収録作品は以下の11作。
・「〈シルヴァー・ブレーズ〉号の失踪」
・「黄色い顔」
・「株式仲買店員」
・「〈グロリア・スコット〉号の悲劇」
・「マズグレーヴ家の儀式書」
・「ライゲートの大地主」
・「背の曲がった男」
・「寄留患者」
・「ギリシア語通訳」
・「海軍条約事件」
・「最後の事件」


 キラリと光る作品もあるけれど、もうちょっと手を掛けてあげればずっと良くなりそうなのにと思える作品もちらほらと見られる。ドイルは『シャーロック・ホームズの冒険』に収録されている「橅の木屋敷の怪」でホームズを殺したがっていたと解説で説明されていたように、ホームズ物の短篇を書くのに飽きが来ていたのだろうか。
 彼の心情は知らねど、「最後の事件」においてドイルはホームズそのものを殺してしまうこととなる。
 最も心血を注いだ作品よりもずっと高い評判と評価を取ったこのホームズ譚に対して、ドイルが色々と思うところがあったのだろうと想像するのは易しいが、ホームズが作者に疎まれる姿を見るのはなんとも心苦しい。

 以下、各話感想。長い。


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『シャーロック・ホームズの冒険 【新訳版】』感想:★★★★☆

2013.10.23 Wed


シャーロック・ホームズの冒険 (創元推理文庫)

アーサー・コナン・ドイル 東京創元社 2010-02-20
売り上げランキング : 277550
by ヨメレバ


 Amazonではタイトルに【新訳版】と付いていなかったが、東京創元社のサイトでは付けられていたので後に従った。
 同じレーベル、同じ翻訳者の「シャーロック・ホームズ・シリーズ」である『緋色の研究』、『四人の署名』に【新訳版】と付した以上、揃えないと何だか気持ちが悪いしね。


 ホームズシリーズ三作目にして初の短篇集。収録作は以下の12タイトル。
・「ボヘミアの醜聞」
・「赤毛組合」
・「花婿の正体」
・「ボスコム谷の惨劇」
・「五つのオレンジの種」
・「くちびるのねじれた男」
・「青い柘榴石」
・「まだらの紐」
・「技師の親指」
・「独身の貴族」
・「緑柱石の宝冠」
・「橅の木屋敷の怪」

 この短篇たちでホームズ人気に火がついたのも納得な、どれもこれも面白い作品だった。
 適度に意表を突きながらも、決して死体累々になりすぎもせず、かと言って普通に埋没することもなく、ほどよく日常と異常のあわいを保持するバランス感覚には脱帽。憂鬱な通勤電車のお供としては、こりゃ最適だ。
 ただ短すぎて、闇の差す暇がない。前回、「作品内に潜む意図的または無意識な歪さが良いよね」と書いた私の立場は一体。

 ただこのネガティブな印象がなくとも、作品が強度を失わずに成立しているのは短さ故だとも言えそうだ。
 長編である『緋色の研究』、『四人の署名』は共に犯人による事件の全体像の告白部分が独立して存在し、その二部構造はなんだか座りが悪かったのだが、短篇では事件の真相告白部分も上手く取り込まれており、違和感はない。


 しかし全体的に、ワトスンによるホームズの回想との体が漂い、つまりはホームズが既に過去の存在となっているかのような印象を受ける。
 永遠に失われた親友との思い出を綴るかのようなワトスンの語りが、なんとも寂しい。が、これは単に私の思い込みなのかもしれない。
 以下、各話の感想。長い。



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『四人の署名【新訳版】』感想:★★★☆☆

2013.10.15 Tue


四人の署名【新訳版】 (創元推理文庫)

アーサー・コナン・ドイル 東京創元社 2011-07-27
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 『緋色の研究』に続く、ホームズシリーズ長編2作目の本作。
 ホームズの奇異な性格にも慣れたつもりだったワトスンだが、暇を持て余したホームズのコカイン遊びにだけは慣れることが出来ない。ついに耐えかねたワトスンは、医師としてまた友人としてホームズに意見するのだが、己の頭脳に見合う事件がないのが悪いとホームズに一蹴されてしまう。

 そんな怠惰が支配する日々を打ち破ったのは、麗しき依頼人。彼女、メアリー・モースタン嬢は今や有名となったホームズに、とある奇妙な事件を持ち込んできたのだ。
 彼女が語るところによると、インドの監獄で守衛を務めていた軍人である父モースタン大尉はかつてイギリスに一時帰国した翌日に失踪したが、彼の親友であったショルトー少佐は彼が帰国していたことを全く知らなかった旨を証言したのだそうだ。しかし不思議なことにショルトー元少佐が死んだ年から、毎年一粒の見事な真珠が贈られるようになったのだと言う。
 真珠の贈りものが数年続いた末に、ついに今年、その贈り主から呼び出された。
 不安に思った彼女は、二人までなら同伴者を許可すると手紙にあったことから、ホームズに付き添いと、そしてこの不思議な事件の真相の追究を依頼しに来たのだった。

 モースタン嬢の持ち込んだ事件にホームズは心躍らせ、そしてワトスンもまた違う意味で心躍らせていた。
 さっそく手紙に従い、モースタン嬢とホームズ、ワトソンの三人が向かった先では、しかし、既に完遂された殺人現場が待ち構えていた。
 死体に残された「四の符牒」との謎めいた走り書き、小さすぎる足跡。魅力的な事件と、魅力的な依頼人が迎える結末は如何に。



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『緋色の研究【新訳版】』感想:★★★★☆

2013.01.29 Tue


緋色の研究【新訳版】 (創元推理文庫)

アーサー・コナン・ドイル 東京創元社 2010-11-27
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 ご存知シャーロック・ホームズシリーズが初登場する記念すべき1冊。
 アフガニスタンに派遣されたものの、肩に銃撃を受けた上に病まで得、精神的にも肉体的にも疲れ果ててイギリスへと戻ってきた軍医のジョン・ワトスン。
 乏しくなる一方の財布の中身から、ロンドンで今まで通りの生活を続けることは出来ないと悟り、誰かと家賃を折半して部屋を借りたいと思い立つ。
 偶然出会った知人が紹介してくれた同居人候補者こそが、シャーロック・ホームズ。
 このホームズが天才的な観察眼と思考力の代わりに、倫理観その他の「普通」を捨て去った人間であることにワトスンが気が付いた頃には後の祭り。
 ホームズお気に入りの、ベイカー街221番地Bでの同居生活は既に始まっていた。
 そしてワトスンも興味心から、ホームズと共に事件を追うことになる。


 ただ、ワトスンのみならず読者も、ホームズの思考に付いて行くことはほぼ不可能だ。何せ犯人はホームズに捕まる場面で初登場するのだから。
 それでもホームズの言い分をそのまま信じるのならば、犯人が具体的に誰かまでは分からずとも、被害者とどのような関係にあるどのような属性の人物か程度ならば、分かることになるが。



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