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『ヴァルミュラーの館』感想:★★★☆☆

2013.10.17 Thu




 読み終わった一番の感想が「ああ、うん。これ流石に商業で出せないわ」だったりする本書は、翻訳者である垂野創一郎氏が出している同人誌シリーズ「エディション・プヒプヒ」の一冊でございます。

 「商業で出せない」と言うのは、つまらないという訳ではなくて、起承転結の転までは真っ当なのに結に至る道筋が雰囲気でのみ構築されているあたりにある。
 ただまぁ、わざわざこの同人誌を買う人はもう一種の悟りを開いているので、この展開にも「ドイツの作家だから仕方が無い」あるいは「これでこそドイツ作家! 待ってました!!」と暖かく迎えてくれることでしょう。

 つまりはマイリンクの「レオンハルト氏」を誉め讃えちゃう私のような人には、乙なものでございました。
 ただ微妙に点数が辛いのは、起承転結の転まで真っ当な幽霊屋敷譚だったせい。オカルト風味をもっと長く味わいたかったし、変節が唐突な感は否めない。



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『標本 グスタフ・マイリンク疑似科学小説集』感想:★★★★☆

2013.08.08 Thu




 エディション・プヒプヒから1冊ご紹介。
 収録作品は以下の4作。

・「標本」
・「土星の輪」
・「菫色の円錐」
・「蝋人形展覧室」


 私にとってのマイリンクは、「レオンハルト師」の作者である。己の奇想を極限まで歪め、更には思いつくだけの奇抜な飾りつけをした上で、綱渡りに挑む馬鹿である。
 当然ながら割りとよく滑落死している。贔屓してあげたいのは山々ながら、それでもやっぱり「こりゃアカン」としか思えないことも多い。
 それでも私はマイリンクが好きだ。
 「どうだ、この奇抜さ!」と言いたげな自尊心と、「これしか出来ない」との悲鳴の両方が聞こえる気がして、無視できないのだ。


 私にとってのマイリンクのイメージは上記の通りだが、この短編集では少し調子が違う。
 悲鳴も自慢も鳴りを潜め、そこにあるのは楽しげな奇想のみだ。強調も過剰もまだその全貌を見せてはいない。
 人生に疲れてもいなければ、強迫観念にも駆られていない、ありのままの等身大の姿が作品の影から覗いている。

 しかしそうは言っても、相手はマイリンク。
 作品の中央を貫くのは、結露しそうなまでに湿り、そしてやはり「くだらない」奇想である。



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