『ヴァンパイアと屍体―死と埋葬のフォークロア』感想:★★★☆☆
2011.09.22 Thu
ヴァンパイアと屍体―死と埋葬のフォークロア | |
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本書の感想を一言で表すならば「出オチ」。
著者がこの本で主張したいことは表紙見返しにあっさり記載されてしまっている。「吸血鬼とは、異常な死に方をして特殊な腐敗現象を起こした死体のことだったのだ!」
……なんという出オチっぷり。吉本新喜劇もビックリだよ。出オチどころか表紙見返しだから、出発すらまだしてないしさ。
とは言え、著者バーバーの一番の主張がいきなり目に飛び込んでくるからと言って、本書に読む価値がないかと言えば違う。本書の価値は作者が導き出す結論にではなく、著者が使用する資料にこそ宿っているのだ。少なくとも私にとっては。
本書のテーマは吸血鬼であるがサブタイトルからも分かる通り、扱うのは民間伝承の吸血鬼、つまりは吸血鬼ドラキュラ伯爵以前の土着の吸血鬼である。主な舞台はスラブ圏で長く息づいてきた吸血鬼譚が西欧と出会う時代、即ち18世紀である。
以下、長くなるので折りたたみ。
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