『ガラスの文明史』感想:★★★★☆
2012.07.08 Sun
ガラスの文明史 | ||||
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約五千年前に初めて作られて以来、人類と共にあった「ガラス」に関する歴史を描いた1冊。
当初は宝石を模倣した色ガラスから始まったものの、その優れた特性から容器として、また芸術性のある贅沢品として発展し、現在でも窓ガラスを始めとして様々な分野で文明を支えているガラス。
だがガラスの歴史は一筋縄ではいかない。
新たな技術のパイオニアたちは自分たちの発見が盗まれることを恐れて、その秘密を文章またはそれに類似する方法で残すことはなかった。技術は人から人へとただ受け継がれ、故に戦争や政治的不安定により職人が離散した途端に失われてしまう。
また技術が確立したところで、それを維持するには原料の安定的供給や商品の買い手、パトロンが必要なのである。
燃料である木材の枯渇、環境への影響からの強制的な工場の移動、更には宗教的な、あるいは単純なる流行の変化からの資金繰りの悪化等の変化に晒され、ガラスを巡る環境は移り変わっていく。
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