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『密やかな結晶』感想:★★★★★

2011.12.01 Thu


密やかな結晶 (講談社文庫)

小川 洋子 講談社 1999-08-10
売り上げランキング : 212681
by ヨメレバ


 記憶は積もっていく。時間は過ぎ去っていく。
 私は毎日毎日打ち寄せる情報を、私個人の資質と好みによって歪め、切り取り、圧縮し、色を付け、引き伸ばし、捻り、記憶へと変換している。同じ状況を体験していても、その記憶は個々に違う。
 何を、どんな形で記憶するか、またその後どう扱うのかという問題は、酷く個人的なものである。それは私の過去を作ることと同義であり、その結果として生まれ続けているのが、現在の私なのである。
 生まれてから死ぬまでの私の記憶は、究極的には私ただ一人のものだ。その一部は確かに他者と共有出来るだろうが、全ては無理だ。
 私の、私のための、私だけの記憶。それは形がないけれども、私を私たらしめている重要な要素だ。
 過去の記憶が現在の私の物事への認識の基礎でもある以上、それは私の選択を左右する原因となる。つまり、過去であり現在である記憶は、私の未来をも作る。
 日々、降り積もる記憶。一部は時間に押しつぶされ、一部はどこかに忘れられ、一部は原型を留めぬほどに脚色されていることだろう。けれどもそれは、誰かに強制された結果ではない。恣意的に、或いは意識せぬままに、けれども確かに私の手で行った結果である。

 過去の記憶は色を変え姿を変え、私の現在を作り、そして未来をも左右する。過去であり現在であり、未来でもある記憶。
 けれども本作では、記憶は強制的に取り上げられていく。



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Theme:読書感想 | Genre:本・雑誌 |
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