『ダブルブリッド depth break』感想:★★★★☆
2012.05.07 Mon
ダブルブリッド depth break | |
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部屋の掃除をしていたら出て来たので、今更ながらに感想を書こうかと思い立った。
『ダブルブリッド depth break』は、全10巻+短篇集1巻で完結した「ダブルブリッド」シリーズをイメージしたアルバムに、CDジャケットと同じ大きさのハードカバーが付いてくるという形態。
ハードカバーには書き下ろし短篇「終わる誰かの夢現」を収録。実質これが本体と言っても良い。
特典として片倉優樹の「特異遺伝因子保持生物 甲種公認証」と、オリジナルの甲種公認証が作れるようにもう1枚が封入されている。が、……後者をどうしろと。
物語の舞台となるのは、特定遺伝因子保持生物、「アヤカシ」と呼ばれる「化け物」が存在する世界。
アヤカシには人間の姿に化け、言葉を操ることの出来る甲種と、それより下等とされる乙種に分類されているが、それは人間の勝手に過ぎず、実際には人間以上の知能を有する乙種も存在している。
人とは違う「化け物」である彼らは、異常な身体能力と再生力を有することが多く、その倫理観や思考が人間と異なることなどから両者の関係は決して健全とは言えない。人間はアヤカシの能力を畏れ、同時に利用しようと目論み、そしてアヤカシは人間を卑下し、一線を引く。相容れない存在なのだ。
主人公である片倉優樹は、世界でも珍しいアヤカシと人間のハーフ、「ダブルブリッド」と呼ばれる存在である。
人間であると同時にアヤカシでもあり、そしてそのどちらでもない彼女は、血を垂れ流し、傷つきながらも己の生を引き受け、そして死んでいく。
そんな優樹の見たいつか「終わる」「夢/現」が本短篇である。
本編が綺麗に終わっている以上、蛇足の感は免れられないのだが、本編が開始される以前の優樹達の姿を垣間見られるのは素直に嬉しい。
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