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『白衣の女』感想:★★★★☆

2011.07.19 Tue
白衣の女 (上) (岩波文庫)
白衣の女 (上) (岩波文庫)ウィルキー・コリンズ 中島 賢二

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 面白い物語に出会うことは、それだけで幸運である。それが寝食忘れて眼精疲労にも負けず腕の痺れすら打ち負かし、ひたすらにページを繰ることしか考えられないレベルに遭遇するとなれば、それは一種の奇跡ですらある。
 しかも歳を重ねるに従って、その奇跡との遭遇率はひたすらに下がり続ける。まだ見るもの読むもの全てが真新しかった子供の頃とは違い、私は既に色んなことを知ってしまった。己の器の狭さを知り、限界を知った。故に私はもうかつてのようにヒーローに己を投影することは出来ないし、「頑張れば報われる」と励まされても素直に頷けない。
 
 そんな中にあって、久しぶりに登場人物に感情移入して読めたのが『白衣の女』である。
 正しく生きる人物に眩さと反感を、せせこましい悪党に共感を抱く傾向にある私に、まっすぐ主人公側へ感情移入させただけで私はこの作者の手腕を評価する。


 物語の舞台はヴィクトリア朝イギリス。登場人物たちの証言、または日記・手記などからの抜粋の形で物語は展開されていく。
 最初の証言者は主人公でもあるハートライト。しがない絵画教師である彼は、かつて助けたイタリア人ペスカから素晴らしい仕事を紹介される。それはカンバランドにある金持ちの邸でフェアリー氏のお嬢さん二人に四ヶ月間絵画を教える、との内容であった。
 給金は上々、仕事内容も気楽、と申し分の無い仕事であったのだが、彼は何故か不思議と気が乗らない。それでもペスカ、母と妹に背中を押されるようにして、彼はロンドンからカンバランドに旅立つこととなる。
 しかし出発の前夜、ハートライトはロンドン郊外で奇妙な邂逅を果たすこととなる。「ロンドンに行くには、この道でよろしいのでしょうか?」突然そう問いかけてきた女は、全身白ずくめであった。「准男爵」を酷く恐れる白衣の女はハートライトから現実感を奪い、代わりに深い印象を刻んで去った。
 白衣の女の影を引き摺ったままカンバランドに到着したハートライトは、そこで驚愕することとなる。その地での彼の生徒の一人であるフェアリー嬢は、白衣の女そっくりなのであった。

 不吉な女の影を感じながらも、フェアリー嬢、そして彼女の異父姉であるハルカム嬢との日々は穏やかに過ぎて行った。
 しかしここでハートライトに問題が持ち上がる。彼は身分の違いも顧みず、フェアリー嬢を愛してしまったのであった。件のフェアリー嬢も彼に好意を持っている様子。だが、彼女には既にグライド卿なる「准男爵」の婚約者がいるのであった。



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Theme:読書感想 | Genre:本・雑誌 |
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