『夏の夜の夢・あらし』感想:★★★★★
2012.12.27 Thu
夏の夜の夢・あらし (新潮文庫) | ||||
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「夏の夜の夢」(もしくは「真夏の夜の夢」とも)と、「あらし」(「テンペスト」の方が通りが良いか?)の2作品を収めた1冊。
そのどちらにも人間の英知の及ばぬより大きな存在の気配が満ち、人間の限界を認めると共にそれ故のおおらかさをも有する、豊穣でしなやかな世界が広がっている。
その淡く切なく不格好に美しい古き良き世界は、極端と奇異を良しとする私にとっては否定したくて堪らない存在ではあるのだが、それでも作者の豊かな手腕を認めないのは、それはそれで醜悪だ。
個人的な葛藤は後に回すとして、以下2作品のあらすじ。
「夏の夜の夢」で舞台となるのは、アセンズ(アテネ)の地。
アセンズの大公シーシアスは、アマゾン族の女王であるヒポリタとの婚礼を目前に控えていた。
そんな中、アセンズに住まうイジアスは娘のハーミアをデメトリアスと結婚させようとしていた。その話にハーミアを愛するデメトリアスは大いに乗り気であるが、しかし何とハーミアはライサンダーを愛していると、それもライサンダーも自分を愛してくれている、つまりは両思いなのだと言い出す。
父親の意に背く結婚はアセンズの法律違反。自分たちの気持ちを貫き通すために、ハーミアとライサンダーは駆け落ちを決意する。その前準備として、アセンズの近くの森へ逃げ出すことに。
しかし彼らの計画を知ったハーミアの友人でありデメトリアスに恋するヘレナは、それをデメトリアスに教えてしまうのだった。
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