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『中世の身体』感想:★★★☆☆

2012.03.30 Fri


中世の身体

ジャック ル=ゴフ 藤原書店 2006-06
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by ヨメレバ


 中世を主なフィールドとする歴史家ル=ゴフが、文化ジャーナリストのニコラ・トリュオンの協力の下に書き上げた1冊。
 原著ではトリュオンの名前も入っているようなのに、日本語翻訳版のこちらからは名前が削られていてやや不憫。

 現在のヨーロッパを産み出す源泉を中世に見いだし、その諸々を実際に取り上げて色々と語ってはいるが、踏み込みは浅い。
 この内容でこの値段はちょっとなぁ、と正直なところ思わなくもない。が、数多の図版は全て日本語版オリジナル、それもその多くが翻訳者の一人である池田健二が撮った写真だと言うのだから驚き。
 これらの図版が作者が示したいものとピタリと一致しており、本書に分かりやすさという魅力を与えている。その一点だけで単行本である価値があるのかもしれない。



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Theme:読んだ本 | Genre:本・雑誌 |
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『民衆本の世界―17・18世紀フランスの民衆文化』感想:★☆☆☆☆

2011.11.14 Mon

民衆本の世界―17・18世紀フランスの民衆文化

ロベール マンドルー 人文書院 1988-09
売り上げランキング : 320888
by ヨメレバ


 本棚を見れば相手の人となりが分かる、と言ったのは誰だったか。はぐれ刑事純情派の安浦刑事だっただろうか。
 個人の本棚からその人の趣味嗜好が分かるならば、ある時代、ある身分の人物の本棚を覗いて回れば、当該の時代・身分の人たちが何を好み、何を欲していたかの平均値が分かるのではないか、と言うのが出発点であり、今回マンドルーが対象とした「ある時代、ある身分」とは17・18世紀の、人数的には大多数を占めていた「民衆」である。

 ただ貧しい彼らは高価な本を買うことは出来ない。彼らが所有していたのは僅かな金で買える粗悪な青表紙の本のみであり、通称「青本」と呼称されたそれらには資産としての価値は無く、従って死後の遺産目録に記載されることはない。
 ならばどうやって当時の民衆が所有していた本を知ることが出来るだろうか? 調べるためには元となる資料が必要である。
 マンドルーが目を付けたのは、民衆相手の粗悪本を売っていた版元兼印刷所であった。トロワ市立図書館にたまたま寄贈されていた約450点の青本を手がかりに、マンドルーはそれらの内容を分類し、民衆の好みを知ろうとした。



Theme:読書感想 | Genre:本・雑誌 |
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『ブリンジ・ヌガグ 食うものをくれ』感想:★★★★☆

2011.10.05 Wed
ブリンジ・ヌガグ―食うものをくれ (1974年)
ブリンジ・ヌガグ―食うものをくれ (1974年)コリン・M.ターンブル 幾野 宏

筑摩書房 1974
売り上げランキング : 779556


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 現在では新本で手に入らない1冊。原題は"the Mountain People"、出版は1972年。
 訳者あとがきでは「ナショナル・ブック賞を受賞」との記載があるが、受賞はしていない。1973年のNational Book AwardsのCONTEMPORATY AFFAIRS(時事問題)部門のファイナリストに名を連ねてはいるが。
 ちなみにこのNational Book Awards、日本語版wikipediaでは「全米図書賞」と訳されている。同ページ内から引用すると、「アメリカで最も権威のある文学賞の一つ」なのだとか。本書『ブリンジ・ヌガグ』が最終候補にまで残ったCONTEMPORATY AFFAIRS部門は1972年から1977年までしか存在していない。




 犬と猫の祖先は同じだ、という話がある。彼らを分けたのは環境であった。
 森林で小動物を狩る道を選んだ猫は単独生活者となり、体もそう大きくならなかった。平原に出て自分よりも大きな獲物を狙うことを決めた犬は、狩りの必要性から群を作るようになり、社会的な生き物となった。
 人間が社会生活を基本としているのも、環境要因が原因なのだろう。他の動物と比べて体こそ大きいものの、これといった誇れる身体能力を持たぬ人間は集団で集まり、頭脳に頼って生き延びることになったのだ。
 社会生活は環境に強制された結果でしかなく、環境が変われば生き方も変わる。どんな生物であれ、それらは固定された存在ではない。外部要因や内部要因に突き動かされ、日々日々適応競争に明け暮れている。環境はいつ激変するか分からず、変化に対応出来ない種族はただ滅びるだけだ。一寸先は闇なのである。


 そんな中で、一つの「実験」が行われた。場所は国境近くのウガンダ。対象は少数狩猟民族のイク族(発音としてはイーク族の方が正しい)。実験主はウガンダ政府である。実験内容は、狩猟民族であるイク族から狩猟を奪い、耕作がほぼ不可能な地に定住させて畑を作らせることにより、彼らの社会がどう変貌を遂げるか。
 けれど悲しいかな、この「実験」には実験を行う側にも行われる側にもその意識がなかった。実験主には、イク族が狩猟の場としていた土地に住まう動物を保護したいとの意図と、彼らを定住させ教育させたいとの「発展した側」からの押しつけがあるばかり。現地の状況を調べることもしない、もしくは出来ないのである。故に、この非人道的な実験は、ただ進行し続ける。行う側に意図はなく、行われる側もまた声を上げることはない。
 それに偶然立ち会う羽目になったのが、本書の著者ターンブルである。



 長くなるので、ここでいったん折りたたみ。
 改行する元気がわいてこないので、文字ぎっしり仕様でお送りします。



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『近世の文化と日常生活』感想:★★★★★

2011.09.10 Sat
近世の文化と日常生活 1 『家』とその住人ー16世紀から18世紀まで
近世の文化と日常生活 1 『家』とその住人ー16世紀から18世紀までR.v.デュルメン 佐藤正樹

鳥影社 1993-10-25
売り上げランキング : 590698


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 昔書いた感想文をサルベージ。
 これは6ヶ月くらいかけてダラダラ読んだ3巻組み。専門外の私が言っても何の説得力もないけれど、これは名著。個人的にはここ数年内でもかなりのヒット作。
 最初はあまりの目の滑りっぷりに「3巻まとめて一気に買っちゃったんですけど……、終わりが、終わりが見えない」と心が折れそうになったこともあったが、最後まで喰らいついて良かった。
 たまにこういうホームランにかち合うから、読書ってのは止められない。何の生産性もない趣味だってのにね。

  以下の3巻でワンセット。
近世の文化と日常生活 1 『家』とその住人――16世紀から18世紀まで
近世の文化と日常生活 2 村と都市――16世紀から18世紀まで
近世の文化と日常生活 3 宗教、魔術、啓蒙主義――16世紀から18世紀まで

近世の文化と日常生活 2―村と都市-16世紀から18世紀まで-  近世の文化と日常生活 3―宗教、魔術、啓蒙主義-16世紀から18世紀まで-


 ただこれ、判型がと言うか文字組がと言うかがイマイチだと思う。文章が縦に長くて目の移動距離がパない。絵なり図の挿入があるページは耐えられるが、何もないページは滑る滑る目が。


 なんて愚痴を言いつつ、続きは長いので折りたたみ。


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『阿呆物語』感想:★★★★★

2011.07.18 Mon
阿呆物語 上 (岩波文庫 赤 403-1)
阿呆物語 上 (岩波文庫 赤 403-1)グリンメルスハウゼン 望月 市恵

岩波書店 1953-10-05
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 腹を抱えて大爆笑して、そして後に笑った分だけ呻吟する羽目になる面白くて恐ろしい本。

 三十年戦争はドイツに多大な被害を与えた。
 ドイツ国民の1/3が死んだとも言われ、生き残った人々とて心は荒涼し、大地も荒れ果てた。そしてドイツは紛れもない二流国に落ちぶれ、それ以後フランスの不格好なフォロワーとして機能しない体を引き摺りながら生き続けることとなる。
 フランスの偽物・亜流が跋扈する惨状のドイツにあって、唯一そのオリジナル性が評価されていたのがこの『阿呆物語』なのである。

 主人公はジムプリチウス。ラテン語で「阿呆」との意味である。
 ジムプリチウスは純真で何も知らない阿呆者。そんな彼が三十年戦争に巻き込まれ、兵士として成り上がり、人間として落ちぶれ、そして立ち直り、己の生まれを知り、結婚し浮気し、また軍隊に雇われてロシアに行き、その後日本を含む世界一周の大旅行の末にドイツに戻り、隠者になり、巡礼としてイギリスを旅したと思ったら無人島に流れ着き、そしてそこで一人ぼっちで敬虔に暮らし続けることを決める。
 ……と言うのがストーリーだが、無垢な少年が成長の過程で悪に染まりつつも、最終的には敬虔な大人になるなんて在り来たりな成長物語ではない。
 一応はその形式を取ってはいるのだが、ジムプリチウスが最後に敬虔に暮らせていたのは彼が一人だったからであり、最後の最後に彼の住まう孤島に流れ着いたオランダ人たちから別れの土産に色々と物を貰ったからには、またぞろ堕落しかねないと私は思う。
 作者であるグリンメルスハウゼン(名前長いよ!)はそんな素直な性格をしていないだろうし、一度悟りを開けたらそれが一生持続するほど人間は善に満ちた生き物ではないだろう。現にジムプリチウスは作中で何度も失敗しているのだから。



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『ヴェルサイユ宮殿に暮らす—優雅で悲惨な宮廷生活』感想:★★★★☆

2011.06.26 Sun
ヴェルサイユ宮殿に暮らす—優雅で悲惨な宮廷生活
ヴェルサイユ宮殿に暮らす—優雅で悲惨な宮廷生活ウィリアム リッチー ニュートン 北浦 春香

白水社 2010-06-23
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 昨日ご紹介した『暖房の文化史―火を手なずける知恵と工夫』と同じく、細かいネタが満載な1冊。
 今回本書が焦点を当てているのは、タイトル通り「ヴェルサイユ宮殿」である。ルイ十四世の時代に頂点を極め、そして己の威厳を示すための仕組に逆に雁字搦めにされ時代から取り残され、最後には革命によってその命を絶ち切られたフランス絶対王政の象徴であるヴェルサイユである。このネタの本が面白くない訳がない。

 ……と思うのだが、この本、誤字脱字が酷い。読みやすいとはお世辞にも言えないにも関わらず、更に校正の甘さを露呈されると、読んでいるコチラの何かがゴリゴリ削られていく。
 新聞広告に載っているのも見た記憶があるし、白水社としても売る気があっただろうに、この惨状。妙に凹む。どうやら私は「白水社」という出版社が結構好きだったみたいですよ。


 まぁそんな愚痴は置いておくとして、本書はなかなかに興味深いことを教えてくれる。
 『ドイツ十八世紀の文化と社会』(現在絶賛ブン投げ中)や『女の皮膚の下―十八世紀のある医師とその患者たち』、『バロックの生活―1640年~1740年の証言と報告』などを既に読んでいるので、この時代の衛生観念のアレさ(と言うか、現在の方が異常なのかもしれない)は知っていたつもりだったが、それでも読んでいて「げー」と思うこと多々。
 一番印象的なのを挙げるならば、トイレの問題である。
トレイの数はそもそも、宮廷に出仕している者とその召使いたちを含め、城館の人数に見合ったものとはほど遠かったからだ。数がまったく足りないため、尿意をもよおした者は、廊下や階段や中庭で用を足した。(p.95)

 建物に与える影響も気になるところだが、一番堪らないのは、その場所に選ばれてしまう廊下や階段に面した部屋に暮らす人間であっただろう。
 さらに切ないのは、ヴェルサイユ宮殿そのものの老朽化である。ルイ十四世の頃にはあれほど輝いていた宮殿が、1770年代に入ると、その窓周りはもはや修理すら覚束ないほどの代物に落ちぶれ、ガラスの技術革新と嗜好の変化に対応出来なくなっているのである(p.159)。

 フランスのルイ王朝が倒れるのは、当然の成り行きだったのかもしれない。そこにあれほどの命の対価が必要だったかどうかは別として。


 ヴェルサイユに暮らしたルイ十四世から十六世までの生活の小ネタを満載した本書はなかなかの良書。これでもうちょっと校正がまともなら文句もなかったのに。
 住居、食事、水、火、照明、掃除、洗濯についてそれぞれ1章ずつを裂いて、実際の例を説明してくれており、「へー」や「げぇー」に溢れている。
 ただし、ヴェルサイユにロマンだけを感じている人が読むと、二度と立ち直れないかもしれないのでご注意ください。


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『暖房の文化史―火を手なずける知恵と工夫』感想:★★★☆☆

2011.06.25 Sat
暖房の文化史―火を手なずける知恵と工夫
暖房の文化史―火を手なずける知恵と工夫ローレンス ライト Lawrence Wright

八坂書房 2003-12
売り上げランキング : 789277


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 最近、17世紀や18世紀を舞台とする物語を読むようになって、「この当時の住環境ってどんなんだったの?」ってのが地味に気になるようになった。
 同じく細かいところが気になる人にオススメなのが、今回ご紹介する『暖房の文化史―火を手なずける知恵と工夫』。
 本書の対象となっているのは、人間が火を手に入れてから現在(と言っても本書が書かれたのは1964年)、そして未来までであり、近世以外が趣味の方にもオススメ。


 読んでいて思ったのは、暖房が実際に部屋全てを温められるようになったのは比較的最近なんだな、と言うこと。イギリスやフランスなんて冬は寒いだろうから、もっと古くから安全で使いやすく暖かい暖房技術が成立していると思っていた。
 「オルレアン公爵夫人は、王室の食卓で風邪をひき、同じような機会に熱さで「鬱血」を起こした(p.121)」し、煙突の設計がまずいせいで「火を焚いていない部屋のベッドにねていた人が、一酸化炭素で死んだこと(p.151)」すらある。
 燃料の問題、煙の問題、暖房能力の問題それぞれは長い長い時間と犠牲を生みながら、ようやっと解決され、そして現在の姿になったのだ。
 作者がイギリスの人なこともあってだろうが、記述はイギリスがメイン。時折イギリスを引き合いに出して茶化しているのだが、イギリスの実情なんて知らないのでどんな反応して良いのか悩んでしまうことがある。
 その部分を差し引いても、小ネタ満載(大きな暖炉は夏場には蓋をされ、故に良い隠れ場所になった(p.121)や、暖炉で串焼きを作る際に、串を回す動力としてハムスターが回すような回転具に犬を入れて回させていた(p.77-78)とか)で、なかなかに面白い1冊。


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