RSS|archives|admin


スポンサーサイト

--.--.-- --
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


Category:スポンサー広告 | Comment(-) | Trackback(-) | top↑ |

『クラーベルト滑稽譚 麗しのメルジーナ』感想:★★☆☆☆

2011.11.20 Sun


noimage.gif


 Amazonには登録がないものの、bk1やその他のネット書店にはちゃんと情報があるのだが、上手く引っ張ってこれずにNO IMAGEな上にNO DATA状態に。


 本書は国書刊行会から出版された「ドイツ民衆本の世界」シリーズのⅠ。収録されている作品は、タイトルが示す通り「クラーベルト滑稽譚」と「麗しのメルジーナ」それと、翻訳者でもありこのシリーズの責任者でもある藤代幸一の解説「ドイツ民衆本への招待」である。
 後者の解説はマンドルーの『民衆本の世界―17・18世紀フランスの民衆文化』のドイツ版補講といった赴き。
 下層の民のために生まれた粗悪な商品だったはずの民衆本が、その廉価さ故に若かりしゲーテの娯楽になっていたというくだりや、民衆本が中世の姿を留めているとしてロマン派に愛好された話など面白い。
 とは言え、民衆本の題材が全て中世に準拠している訳ではなく、十八世紀に入ってからもなお新作も生まれていたのだが。


 「クラーベルト滑稽譚」の主人公ハンス・クラーベルトは、別名「マルクのオイレンシュピーゲル」と呼ばれている。マルクとはマルク・ブランデンブルクのことであり、地名である。
 良くも悪くも奇異を珍重したヨーロッパの宮廷では、「普通とは違う人」を道化として眺めて、もしくは何かしらの芸をさせて楽しむ習慣があり、件のクラーベルトもその一人である。が、彼は身体的な差異や精神的な遅れにより道化とされたのではなく、一種の職業として道化を演じた人物である。
 彼を採用したのはブランデンブルク選帝侯であり、また彼が暮らした小さな都市トレッピンとその隣のツォッセンを治める伯も彼を愛でた。
 本書に収められているのは、彼が行ったとされる悪ふざけとその顛末を小話の形で記し、その末尾に教訓を書き加えた物語集である。全三十五話。
 職業的道化であるクラーベルトは色々と問題を起こすものの最後には丸く収め、市民として極々普通に人生を全うする。そこには笑いによって苛酷な現実を克服するような強靱さは見られず、いかにも小市民的である。
 ちなみにこのクラーベルト、実在した人物だそうだ。


スポンサーサイト
Theme:本の紹介 | Genre:本・雑誌 |
Category:星2つ:★★☆☆☆ | Comment(0) | Trackback(0) | top↑ |

『民衆本の世界―17・18世紀フランスの民衆文化』感想:★☆☆☆☆

2011.11.14 Mon

民衆本の世界―17・18世紀フランスの民衆文化

ロベール マンドルー 人文書院 1988-09
売り上げランキング : 320888
by ヨメレバ


 本棚を見れば相手の人となりが分かる、と言ったのは誰だったか。はぐれ刑事純情派の安浦刑事だっただろうか。
 個人の本棚からその人の趣味嗜好が分かるならば、ある時代、ある身分の人物の本棚を覗いて回れば、当該の時代・身分の人たちが何を好み、何を欲していたかの平均値が分かるのではないか、と言うのが出発点であり、今回マンドルーが対象とした「ある時代、ある身分」とは17・18世紀の、人数的には大多数を占めていた「民衆」である。

 ただ貧しい彼らは高価な本を買うことは出来ない。彼らが所有していたのは僅かな金で買える粗悪な青表紙の本のみであり、通称「青本」と呼称されたそれらには資産としての価値は無く、従って死後の遺産目録に記載されることはない。
 ならばどうやって当時の民衆が所有していた本を知ることが出来るだろうか? 調べるためには元となる資料が必要である。
 マンドルーが目を付けたのは、民衆相手の粗悪本を売っていた版元兼印刷所であった。トロワ市立図書館にたまたま寄贈されていた約450点の青本を手がかりに、マンドルーはそれらの内容を分類し、民衆の好みを知ろうとした。



Theme:読書感想 | Genre:本・雑誌 |
Category:星1つ:★☆☆☆☆ | Comment(0) | Trackback(0) | top↑ |

『ファウスト博士 付人形芝居ファウスト』感想:★★★☆☆

2011.10.27 Thu

ドイツ民衆本の世界 3

松浦 純 国書刊行会 1988-11
売り上げランキング : 742386
by ヨメレバ



 ファウスト博士は十六世紀に実在した人物である。彼が具体的に誰なのかは未だに判然としないのだが、その足取りは公的文書に残されている。以下、解説から。
足跡を辿ってみれば、ほぼ確実なところでは、一五〇六年ゲルンハウゼン、おなじころヴェルツブルク、一五〇七年クロイツナハ、一五一三年エルフルト、一五二〇年バンベルク、一五二八年インゴルシュタット、一五三二年ニュルンデルク。(p.302、解説)

 彼は街から街へと放浪する、流浪の人。それは職業と土地に結びつけられていた当時の「普通」の人間とは違う、特別な存在であった。
つけられた称号はインゴルシュタットでは「占師」、ニュルンベルクでは「男色家、妖術師」。(p.302、解説)

 良くも悪くも人とは異なるファウストなる人物は、人々の尊敬と蔑視を同時に受けながら、この時代を生きて死んだようだ。その生き様と共に死に様もまた特別だったようで、故に彼は物語・伝説となり、限りある命しか持たぬ一人の人間から、語られ伝えられる空想の存在へと変貌することとなった。


 ドイツの民衆の間ですっかり人気となったファウストの物語は、過去の他の話をも取り込んで人々の手で大きく育てられていく。
 口で語られるだけであったファウストの物語は、いつからか文字の形を取り始める。その書物たちの中で最も広く流布し、ドイツ語から他の言語に翻訳されフランス・イギリス他にまで広がる礎となったのが、今回の『ファウスト博士 付人形芝居ファウスト』収録の「実伝 ヨーハン・ファウスト博士」である。時は1587年。
 実伝と銘打ってはあるが、その実体は様々な言い伝えのごった煮に過ぎない。欲張りに面白可笑しい話を盛り込んだために、あちこちで小さな破綻が起こってしまっているが、まぁそんな節操の無さもまた魅力である。

 長くなったので、ここで折りたたみ。



Theme:本の紹介 | Genre:本・雑誌 |
Category:星3つ:★★★☆☆ | Comment(0) | Trackback(0) | top↑ |