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『血のアラベスク 吸血鬼読本』感想:★★☆☆☆

2012.01.29 Sun


血のアラベスク―吸血鬼読本

須永 朝彦 ペヨトル工房 1993-04
売り上げランキング : 755201
by ヨメレバ


 例によって絶版もしくは重版未定な1冊。Amazonに表紙イメージすらない。
 私が読んだのは1993年ペヨトル工房から再版された物だが、オリジナルは1978年に新書館から出された『血のアラベスク ―吸血鬼読本(For ladies)』。ペヨトル工房のは新書館の増補新版になるんだそうで。
 
 内容は、読みやすい「です・ます」調で書かれた吸血鬼入門書。タイトルに偽りは一切ございません。
 素朴な民族信仰の中から発した「吸血鬼」の存在が、ハプスブルク家が東欧の一部をも影響圏に収めたことから西欧にもたらされ一大センセーションを巻き起こした末に、完全なるファンタジーに堕すまでの流れを平易に説明してくれている。
 更には、吸血鬼モノの小説・映画の説明、また吸血鬼に影響を与えた他の存在までをもカバー。情報が古いのはまぁ、1993年発行なので仕方がないところ。


 既に、慣れない中で歯を食いしばって『吸血鬼幻想』なんかの関連本を読み終わった身には「今更……」感が半端無かったものの、これからチャレンジする方の最初の1冊にはなかなか良いんじゃないだろうか。新本で購入不可とは言え、それなりに数は出回っているようだし。



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『民衆バロックと郷土―南東アルプス文化史紀行』感想:★★★★☆

2011.11.03 Thu

民衆バロックと郷土―南東アルプス文化史紀行

L. クレッツェンバッハー 名古屋大学出版会 1988-10
売り上げランキング : 1340909
by ヨメレバ


 その生きている間からペテン師として、また同時に錬金術師として名高かったファウスト博士は、その有名さから死後、既に存在した物語たちと融合し、彼の地獄行き物語はドイツにおいて民衆間で人気となる。
 ファウストの物語は『実伝 ヨーハン・ファウスト博士』とのタイトルの本で他国にまで広まり、イギリスで『フォースタス博士』
との名で劇化された後、ドイツへと逆輸入され(マーロウの『フォースタス博士』以前もドイツで生き延びており、この逆輸入によりドイツ従来とイギリスからの輸入物が融合したとも言われる)、ファウスト博士はドイツの民衆間で生き続けた。
 ゲーテにより文学と化す前の素朴なファウスト人形劇は、1846年にカール・ジムロックによって編纂された『人形芝居 ヨハネス・ファウスト博士』が今も存在してはいるが、成立が後世に過ぎる。
 もう少し古いのはないの? あ、勿論、日本語で。と考えたところで思い出したのが、本書『民衆バロックと郷土―南東アルプス文化史紀行』なのでした。
 Amazonの注文履歴によると、どうも去年の夏に買ったようだ。頭1/3くらい読んだっきり、積んでいた。

 本書は民族学者クレッツェンバッハーが1960年前後に大学で講義用に使おうと書いた草稿を下敷きに書かれており、私のような分野外の人間にも比較的分かりやすく作られている。
 サブタイトルが示す通り、本書がカバーするのは南東アルプス、つまりは主にかつてのハプスブルク家の支配地域である。宗教革命の後、領主主導による反宗教革命が行われ、そしてついにはカトリックが勝利を収めた地域である。
 当初は上からの押しつけでしかなかった反宗教革命が民衆間に根付き(反宗教革命に耐えられなかった人々は他地域に逃げたのだろうが)、そして彼らの手により生み出された祈りや信心の結実が「民衆バロック」であり、それが本書の主題である。この地で生き続けたファウスト人形劇もまた、その一つである。



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『ブリンジ・ヌガグ 食うものをくれ』感想:★★★★☆

2011.10.05 Wed
ブリンジ・ヌガグ―食うものをくれ (1974年)
ブリンジ・ヌガグ―食うものをくれ (1974年)コリン・M.ターンブル 幾野 宏

筑摩書房 1974
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 現在では新本で手に入らない1冊。原題は"the Mountain People"、出版は1972年。
 訳者あとがきでは「ナショナル・ブック賞を受賞」との記載があるが、受賞はしていない。1973年のNational Book AwardsのCONTEMPORATY AFFAIRS(時事問題)部門のファイナリストに名を連ねてはいるが。
 ちなみにこのNational Book Awards、日本語版wikipediaでは「全米図書賞」と訳されている。同ページ内から引用すると、「アメリカで最も権威のある文学賞の一つ」なのだとか。本書『ブリンジ・ヌガグ』が最終候補にまで残ったCONTEMPORATY AFFAIRS部門は1972年から1977年までしか存在していない。




 犬と猫の祖先は同じだ、という話がある。彼らを分けたのは環境であった。
 森林で小動物を狩る道を選んだ猫は単独生活者となり、体もそう大きくならなかった。平原に出て自分よりも大きな獲物を狙うことを決めた犬は、狩りの必要性から群を作るようになり、社会的な生き物となった。
 人間が社会生活を基本としているのも、環境要因が原因なのだろう。他の動物と比べて体こそ大きいものの、これといった誇れる身体能力を持たぬ人間は集団で集まり、頭脳に頼って生き延びることになったのだ。
 社会生活は環境に強制された結果でしかなく、環境が変われば生き方も変わる。どんな生物であれ、それらは固定された存在ではない。外部要因や内部要因に突き動かされ、日々日々適応競争に明け暮れている。環境はいつ激変するか分からず、変化に対応出来ない種族はただ滅びるだけだ。一寸先は闇なのである。


 そんな中で、一つの「実験」が行われた。場所は国境近くのウガンダ。対象は少数狩猟民族のイク族(発音としてはイーク族の方が正しい)。実験主はウガンダ政府である。実験内容は、狩猟民族であるイク族から狩猟を奪い、耕作がほぼ不可能な地に定住させて畑を作らせることにより、彼らの社会がどう変貌を遂げるか。
 けれど悲しいかな、この「実験」には実験を行う側にも行われる側にもその意識がなかった。実験主には、イク族が狩猟の場としていた土地に住まう動物を保護したいとの意図と、彼らを定住させ教育させたいとの「発展した側」からの押しつけがあるばかり。現地の状況を調べることもしない、もしくは出来ないのである。故に、この非人道的な実験は、ただ進行し続ける。行う側に意図はなく、行われる側もまた声を上げることはない。
 それに偶然立ち会う羽目になったのが、本書の著者ターンブルである。



 長くなるので、ここでいったん折りたたみ。
 改行する元気がわいてこないので、文字ぎっしり仕様でお送りします。



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『ヴァンパイアと屍体―死と埋葬のフォークロア』感想:★★★☆☆

2011.09.22 Thu
ヴァンパイアと屍体―死と埋葬のフォークロア
ヴァンパイアと屍体―死と埋葬のフォークロアポール バーバー 野村 美紀子

工作舎 1991-07
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 本書の感想を一言で表すならば「出オチ」。
 著者がこの本で主張したいことは表紙見返しにあっさり記載されてしまっている。「吸血鬼とは、異常な死に方をして特殊な腐敗現象を起こした死体のことだったのだ!
 ……なんという出オチっぷり。吉本新喜劇もビックリだよ。出オチどころか表紙見返しだから、出発すらまだしてないしさ。
 とは言え、著者バーバーの一番の主張がいきなり目に飛び込んでくるからと言って、本書に読む価値がないかと言えば違う。本書の価値は作者が導き出す結論にではなく、著者が使用する資料にこそ宿っているのだ。少なくとも私にとっては。


 本書のテーマは吸血鬼であるがサブタイトルからも分かる通り、扱うのは民間伝承の吸血鬼、つまりは吸血鬼ドラキュラ伯爵以前の土着の吸血鬼である。主な舞台はスラブ圏で長く息づいてきた吸血鬼譚が西欧と出会う時代、即ち18世紀である。
 以下、長くなるので折りたたみ。


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『吸血妖魅考』感想:★★★☆☆

2011.07.06 Wed
吸血妖魅考 (ちくま学芸文庫)
吸血妖魅考 (ちくま学芸文庫)モンタギュー サマーズ 日夏 耿之介 Montague Summers

筑摩書房 2003-08
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 珍しく図書館で借りた本。現在は絶版。中古で買おうと思っても、お値段が結構張る。

 著者はモンタギュー・サマーズと日夏耿之介(ひなつ こうのすけ)の2人となっているが、実際はサマーズの『ヨーロッパに於ける吸血鬼 (The Vampire in Europe)』と『吸血鬼―その一族と血縁 (The Vampire; His Kith and Kin)』2著作をベースに日夏氏が仕立て上げた吸血鬼総論と、氏の随筆「吸血鬼譚」を併せて収録したもの。つまりはサマーズの著作からの引用は多いが、実際は日夏耿之介の作品である。
 なので、サマーズの著作の日本語訳を期待して読むと、肩すかしを喰らう。この2作品は未だに日本語訳は出ていないようだ。


  「吸血鬼」が現在、実際に存在すると思っている人は少数派だろう。あくまでも吸血鬼の実存を信じているらしいサマーズに対して、日夏の筆はやや冷ややかだ。
 吸血鬼とは血を啜る怪物。多くは死して後に蘇った存在。生ける屍。
 死んだはずの人間が蘇る、あるいは死人が自身の死を理解できずに生者のごとく振る舞うという話は数多い。
 それは確実に怪異ではあるが、妙な説得力を持って私に迫る。私は自分がいつから生きているかなんて知らない。ならば死んだ後にだって、自分がいつ死んだのか分からずに彷徨う可能性はある。昨日まで生きていた人が今日は死んでいる。ならば明日にはまた生きているかもしれない。
 生から死への移行は不可逆、一方通行だ。そんなことは頭では分かっている。分かっているけれども、納得しきれない。
 「○○が起こる」ことを証明するのは容易いが、「○○が起こらない」ことを証明するのは難しい。前者は1つの実例を挙げれば済むが、後者はそうはいかないからだ。ある人が死んだ。そして二度と生き返らなかった。その事実は、人間だれしもが死から蘇り得ない証明にはならない。彼が駄目でも彼女には可能かもしれない。彼女が駄目でも誰それなら出来るかもしれない。可能性はいつだってある。



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『火の賜物―ヒトは料理で進化した』感想:★★★★★

2011.07.02 Sat
火の賜物―ヒトは料理で進化した
火の賜物―ヒトは料理で進化したリチャード・ランガム 依田 卓巳

エヌティティ出版 2010-03-26
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 これは良書。ここ最近の(と言えるほど読んでもいないのだが)サイエンスノンフィクションの中では、一番のヒット。
 一応最初に断っておくが、私は基本的に「でかい仮説」をぶち上げる人が非常に好きである。蛸壺化が進行する現代科学において、その境界線に穴を開け、分野を越える大きな仮説を提唱するだなんて、それだけで偉大だと思うからだ。
 分野を越えると言うことは己の守備範囲から飛び出すということであり、そして越えた先の分野の研究者から「専門外のくせに」とせせら笑われる危険性をいつだって秘めている。
 その全てを覚悟して、受け入れて、それでも己の仮説を信じて戦い続け、新たに知識を得る度に仮説の修正をし、そしてそしてこんな一般書を発行するに至るほどの結果を得るとは、そこまでにどれだけの苦労と苦難があったことか。
 まぁ、そんな私の嗜好全開で星5つ評価。ちなみに同じ理由でマクリールの『疫病と世界史』もとても好きだとここで告白しておく。


 長くなったので、続きは折りたたみ。


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