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『ニンジャスレイヤー 聖なるヌンチャク』感想:★★★☆☆

2014.01.15 Wed

ニンジャスレイヤー 聖なるヌンチャク 【ドラマCD付特装版】 (キョート殺伐都市)

ブラッドレー・ボンド, フィリップ・N・モーゼズ
エンターブレイン 2013-12-28
売り上げランキング : 1933
by ヨメレバ


 第一部の「ネオサイタマ炎上」が全4冊だったから、第二部「キョート殺伐都市」も4冊で完結するのだとばかり思い込んでいたが、そんなことはなかったぜ! な一冊。

 主人公だけでは物語は奏でられない。強大な敵が、仲間が、曰くありげな連中が響かす音があってこそ、主人公は際立ち、物語は魅力を増すのだ。
 そんな訳で、一貫して主役を張ってきたニンジャスレイヤーから少し離れて、彼の行く手を阻む大いなる壁、ダークニンジャに頁が割かれるのが本作の見どころ。

 このダークニンジャ、フジキドとはまた違った意味で背負う過去が重たく、加えて、彼の方がポテンシャル的にフジキドよりも上であり憑いているニンジャソウルも上位な強敵である。
 ただ「ニンジャ殺すべし」なんて闇雲な目的意識しか持たぬニンジャスレイヤーと同程度には、ダークニンジャの目的もまたあまりに壮大ではあるのだけれど。
 己の現在に拒絶を叫び、己が己になった所以の全てを破壊し尽そうとする両者が迎える未来とは、一体どんな者なのでありましょうや。


 収録作品は以下。
・「カース・オブ・エンシェント・カンジ・オア……」
・「システム・オブ・ハバツ・ストラグル」(初翻訳)
・「ディフュージョン・アキュミュレイション・リボーン・ディストラクション」
・「……ザ・シークレット・オブ・ダークニンジャ・ソウル」
・「アウェイクニング・イン・ジ・アビス」
・「シャドー・コン」


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Theme:読んだ本。 | Genre:本・雑誌 |
Category:星3つ:★★★☆☆ | Comment(0) | Trackback(0) | top↑ |

『ニンジャスレイヤー 荒野の三忍』感想:★★★☆☆

2014.01.05 Sun

ニンジャスレイヤー 荒野の三忍 (キョート殺伐都市 # 3)

ブラッドレー・ボンド,フィリップ・N・モーゼズ
エンターブレイン 2013-10-31
売り上げランキング : 2902
by ヨメレバ


 世はマッポー。世界には伝説的存在ニンジャが跋扈する。
 ネオサイタマを首都として抱える日本と、その西に位置するキョート共和国。その両国を股にかけ、ニンジャの殺害に勤しむ者こそニンジャスレイヤー。
 己自身ニンジャでありながら、ニンジャを殺すことを己の使命と信じる矛盾に満ちた存在だ。

 彼を突き動かすのは、恨み。
 一介のサラリマンに過ぎないフジキド・ケンジは、ザイバツ・シャドーギルドとソウカイ・シンジケート二つの闇組織の抗争に不運にも巻き込まれ、妻子を失った上に自身も瀕死に陥ったのであった。
 己の無力さに苛まれながらただ死を待つフジキドに、ナラク・ニンジャのソウルが宿った。そして彼はニンジャスレイヤーとして甦えることとなったのだ。

 何の罪もない妻と子供を殺した恨みを晴らすべく、ニンジャスレイヤーは全てのニンジャ抹殺を心に誓った。
 その戦いがまた、無辜の市民を巻き込むことになると知っていても。
 ネオサイタマを拠点としていたソウカイヤの首領の首は取った。次なる標的は、キョート共和国を拠点とするザイバツである。
 だがソウカイヤも壊滅した訳ではなかった。その残党と首領の息子が、新たなる組織アマクダリ・セクトを結成していたのだ。

 好むと好まざるとに関わらず、生きることは他者との関係を生む。
 ニンジャスレイヤーもまたネオサイタマで、そしてキョート共和国で、数多の人・ニンジャと出会い、殺し合い、そして縁を深めていく。


 収録作品は以下。
・「ブレードヤクザ・ヴェイカント・ヴェンジェンス」
・「ビヨンド・ザ・フスマ・オブ・サイレンス」
・「チューブド・マグロ・ライフサイクル」
・「フィジシャン、ヒール・ユアセルフ」
・「ナイト・エニグマティック・ナイト」
・「フェル・アスリープ・イン・ザ・ムービング・コフィン」(初翻訳)
・「スリー・ダーティー・ニンジャボンド」


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『ニンジャスレイヤー ゲイシャ危機一髪!』感想:★★★★☆

2013.11.06 Wed


ニンジャスレイヤー ゲイシャ危機一髪! (キョート殺伐都市 # 2)

ブラッドレー・ボンド,フィリップ・N・モーゼズ エンターブレイン 2013-08-31
売り上げランキング : 4468
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 今回の『ゲイシャ危機一髪!』は第二部キョートサツバツ都市の、第二巻。
 舞台となるのは、どこかの世界の日本。東京の機能を飲み込んだネオサイタマが首都である。
 現在の日本は鎖国状態となっており、それがなくとも殺人マグロが群れなす外洋には出られない。
 酸性雨が降り注ぐネオサイタマの環境悪化は著しいが、何も悪くなっているのは環境だけではない。治安も政治家も、今や真っ黒だ。
 その上ある時期を境に、古の伝説的存在ニンジャのソウルを吸収し、人間からニンジャへと変貌した者たちが、跋扈するようになってしまった。彼らは通常の人間を遥かに超える能力を持ち、更にはニンジャソウルを持たぬ普通の人間のことを卑下する傾向にあった。
 そうなれば何が起こるかは自明である。
 まさにマッポーである。古事記に記されていた通りだ(注:という設定です)。



 本書の主人公たるフジキド・ケンジもまた、ニンジャに理不尽に虐げられた者であった。平和なる家族団欒は一瞬にして悲劇と化し、妻も子供も失った。
 瀕死の彼は憎んだ。ニンジャを。そんな彼の呪いに応じる声が一つ。それは肉体を持たぬ存在であった。その名はナラク・ニンジャ。
 ニンジャでありながらニンジャを憎み、全てのニンジャの抹殺を願うナラクの魂が、フジキドに宿る。そしてフジキドはニンジャスレイヤーとなったのだ。

 妻子の復讐のため、ネオサイタマを根城とするソウカイ・シンジケートを壊滅に導いたニンジャスレイヤーであったが、彼の戦いはまだ終わらなかった。
 彼ら家族が遭遇したマルノウチ・スゴイタカイビルでの抗争は、ネオサイタマまでその手を伸ばさんとするキョートのザイバツ・シャドーギルドが引き起こしたものであったのだ。
 妻子の仇を討つため、また全てのニンジャを抹殺するために、フジキドは生まれ育ったネオサイタマを離れ、ザイバツの本拠地キョートへと足を踏み入れる。



 収録作品は以下。ニンジャスレイヤー・シリーズの常として、時系列ではない。
・「モータル・ニンジャ・レジスター」
・「ゲイシャ・カラテ・シンカンセン・アンド・ヘル」
・「クライ・ハヴォック・ベンド・ジ・エンド」
・「ライズ・オブ・アマクダリ」(初翻訳)
・「ウェイティング・フォー・マイ・ニンジャ」
・「デス・フロム・アバヴ・セキバハラ」


 共感しやすい理不尽に妻子を奪われた恨みを抱くフジキドと、その欲求自体が理不尽な全ニンジャ抹殺の願望を抱くナラク。その両者から成るニンジャスレイヤーという存在は、人間性と非人間性の両面を有する複雑なヒーローだ。
 彼を取り巻く環境もまた多彩である。ニンジャスレイヤーと対立するソウカイヤ、ザイバツ所属のニンジャたち。闇組織に属さず、人間社会の一部として生きることを選ぶネザークイーンやヤモト・コキなどのニンジャ。
 更にはニンジャスレイヤーと同じくソウカイヤやザイバツに恨みを抱くニンジャに、ただの人の身ながらニンジャスレイヤーに力を貸す者。
 この暗黒の世界でも必死に生きる無力な人間たちの間を、彼らは駆け抜けていく。それは時に他人の助けとなり、また時に他人を巻き込み理由無き死に追い落としもする。
 何が正しくて何が間違っているのか。その境目も曖昧模糊と消えつつある中で、各々は己の良心あるいは野心のために必死に走る。


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『ニンジャスレイヤー ネオサイタマ炎上2』感想:★★★★☆

2013.07.30 Tue


ニンジャスレイヤー ネオサイタマ炎上2

ブラッドレー・ボンド フィリップ・N・モーゼズ
エンターブレイン 2012-11-30
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 第一部第二巻。収録作は以下。

・「パンキチ・ハイウェイ・バーンナウト」(初翻訳)
・「チャブドメイン・カーネイジ」
・「ユーレイ・ダンシング・オン・コンクリート・ハカバ」
・「スシ・ナイト・アット・ザ・バリケード」
・「フジ・サン・ライジング」
・「ジ・アフターマス」
・「ア・カインド・オブ・サツバツ・ナイト」
・「アット・ザ・トリーズナーズヴィル」
・「スワン・ソング・サング・バイ・ア・フェイデッド・クロウ」
・「グランス・オブ・マザーカース#1」
・「オウガ・ザ・コールドスティール」


 初翻訳となる「パンキチ・ハイウェイ・バーンナウト」は、ニンジャスレイヤー世界がいかなる環境にあるかを示す一作。
 ナボリ・ドックは元ハッカー。野心に溢れたそれなりに才能のあるハッカーだったのだが、ケチな失敗でヤクザにケジメさせられることとなり、指を一本失ったのだ。
 それを切っ掛けに野心は怖気づき、バイオLAN端子を埋めてハッカーから足を洗ってしまった。
 今のナボリは彼女の家に居候する情けない身の上である。その家とて、高速道路の下にかろうじて立っている有様で、いつ崩壊するか分かったものではない。
 ついに愛する彼女にまで愛想を尽かされそうになったナボリは、上の階の住人スズキの誘いに乗り、再度ヤバイ仕事に乗り出す。

 彼女に殴られてもじっと耐え、美味しいものを食べた感想が「彼女にも食べさせてあげたい」だったりと、情けなくて見得っぱりだけれど良い人なナボリを待ち受ける試練に手に汗握るエピソード。
 最後の最後に幸運が舞い降りた……のだろうか。



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『ニンジャスレイヤー ザイバツ強襲!』感想:★★★☆☆

2013.07.24 Wed


ニンジャスレイヤー ザイバツ強襲!【ドラマCD付特装版】

ブラッドレー・ボンド フィリップ・N・モーゼズ
エンターブレイン 2013-06-29
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 第二部キョート殺伐都市の第一巻。
 通常版に加えて、ドラマCD付特装版も登場。後者の方が700円ほど高い。
 ドラマCD収録エピソードは「ラスト・ガール・スタンディング」、「メナス・オブ・ダークニンジャ」の2本。

 通常版・ドラマCD付特装版ともに、収録作品は同一。
・「ロンサム・パイン・アンド・ツー・ニンジャズ」
・「キックスタート・ア・ニュー・デイ」
・「マーメイド・フロム・ブラックウォーター」
・「リキシャー・ディセント・アルゴリズム」
・「オン・ジ・エッジ・オブ・ザ・ホイール・オブ・ブルータル・フェイト」
・「ソード・オブ・ザ・ビトレイヤー」
・「シー・ノー・イーヴル・ニンジャ」
・「ウェルカム・トゥ・ネオサイタマ」


 最後の「ウェルカム・トゥ・ネオサイタマ」を読むまで「ザイバツ強襲」を「ザイバツに強襲」だと思い込み、「一体いつ強襲するんだろう?」と首を傾げ続けていたのが私です。
 「ザイバツに強襲」ではなくて、「ザイバツが強襲」なのね。

 そのザイバツが強襲する相手は、ネオサイタマを支配していたソウカイヤ。
 ソウカイヤがニンジャスレイヤーの手により崩壊した今、キョート共和国を本拠地とするソウカイヤが、日本の首都ネオサイタマを手に入れるべく動き出したのだ。
 一方のニンジャスレイヤーは、ソウカイヤの首領ラオモト・カンを下したものの、彼の復讐は未だ決着を見てはいなかった。
 完全なる復讐を果たすために、ニンジャスレイヤーは新たなる敵ザイバツに立ち向かう。舞台はネオサイタマを飛び出し、キョートまでをも巻き込み、大きく広がっていく。



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『ニンジャスレイヤー ネオサイタマ炎上1』感想:★★★★☆

2013.07.11 Thu


ニンジャスレイヤー ネオサイタマ炎上1

ブラッドレー・ボンド,フィリップ・N・モーゼズ
エンターブレイン 2012-09-29
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by ヨメレバ


 ニンジャスレイヤー、即ち「ニンジャを殺すもの」、の活躍を描いた短編集。
 原作は出版社と揉めた為に手作りの冊子を販売していたようだが、それもプリンターの故障でストップ(早く修理に出そうよ)し、いまや入手困難なレア物らしい。
 それをたまたま手に入れた日本人が入れ込み、原作者と契約を交わした上でtwitter上での翻訳を開始。それが話題を呼び、ついに日本で書籍として発売されるに至った。それがこの「ニンジャスレイヤー」シリーズ。
 現在は第二部の1巻目まで発売済み。漫画化企画もスタートしている。

 ただ媒体が本に変わっても、140文字との制限のあるtwitterで公開していたスタイルを引き摺っており、1ツイート毎に空白行が挿入されているのが若干気になる。
 まぁ「こういうもの」だと思ってしまえばそれまでなのだが、緊迫したシーンでも空白行が定期的に入っているのがちょっと嫌だ。間延びする。


 本書に収録された作品は以下。
 なんと最初の「ゼロ・トレラント・サンスイ」からいきなりあらすじが付いてくるという斬新な仕様になっているが、「こういうもの」です。
 原作が複数の雑誌に不定期連載されていた関係で、各話の時系列は前後しており、そんな原作に配慮して日本語版でも収録順はランダムにしたのだそうで。
 各話の時系列に思い悩んでみても良いし、サッパリ無視しても大丈夫。

・「ゼロ・トレラント・サンスイ」
・「べイン・オブ・サーペント」
・「ネオヤクザ・フォー・セール」
・「メナス・オブ・ダークニンジャ」
・「キルゾーン・スモトリ」
・「キックアウト・ザ・ニンジャ・マザーファッカー」
・「アポカリプス・インサイド・テインティッド・ソイル」
・「レイジ・アゲンスト・トーフ」
・「サプライズド・ドージョー」
・「ラスト・ガール・スタンディング」
・「フィスト・フィルド・ウィズ・リグレット・アンド・オハギ」
・「ボーン・イン・レッド・ブラック」(初翻訳)

 基本的にはtwitter上でなされた翻訳と同じだが、一部の作品は大幅な変更が成されているようだ。
 書籍化された今もtwitter上の翻訳は変わらず残っている上、現在は第三部を更新中。
 公式twitterアカウントは@NJSLYR、公式サイトは「NINJASLAYER」。



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『ダブルブリッド depth break』感想:★★★★☆

2012.05.07 Mon


ダブルブリッド depth break
ダブルブリッド depth breakみとせのりこ 大嶋啓之 流歌 Dani

Voltage of Imagination 2010-09-08
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 部屋の掃除をしていたら出て来たので、今更ながらに感想を書こうかと思い立った。

 『ダブルブリッド depth break』は、全10巻+短篇集1巻で完結した「ダブルブリッド」シリーズをイメージしたアルバムに、CDジャケットと同じ大きさのハードカバーが付いてくるという形態。
 ハードカバーには書き下ろし短篇「終わる誰かの夢現」を収録。実質これが本体と言っても良い。
 特典として片倉優樹の「特異遺伝因子保持生物 甲種公認証」と、オリジナルの甲種公認証が作れるようにもう1枚が封入されている。が、……後者をどうしろと。



 物語の舞台となるのは、特定遺伝因子保持生物、「アヤカシ」と呼ばれる「化け物」が存在する世界。
 アヤカシには人間の姿に化け、言葉を操ることの出来る甲種と、それより下等とされる乙種に分類されているが、それは人間の勝手に過ぎず、実際には人間以上の知能を有する乙種も存在している。
 人とは違う「化け物」である彼らは、異常な身体能力と再生力を有することが多く、その倫理観や思考が人間と異なることなどから両者の関係は決して健全とは言えない。人間はアヤカシの能力を畏れ、同時に利用しようと目論み、そしてアヤカシは人間を卑下し、一線を引く。相容れない存在なのだ。

 主人公である片倉優樹は、世界でも珍しいアヤカシと人間のハーフ、「ダブルブリッド」と呼ばれる存在である。
 人間であると同時にアヤカシでもあり、そしてそのどちらでもない彼女は、血を垂れ流し、傷つきながらも己の生を引き受け、そして死んでいく。
 そんな優樹の見たいつか「終わる」「夢/現」が本短篇である。


 本編が綺麗に終わっている以上、蛇足の感は免れられないのだが、本編が開始される以前の優樹達の姿を垣間見られるのは素直に嬉しい。




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『暗く、深い、夜の泉』感想:★★☆☆☆

2011.08.14 Sun
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暗く、深い、夜の泉 (一迅社文庫 は 1-2)萩原 麻里 Fuzzy

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 「私」はどこまで「私」の支配下にあるのか、という問いかけがずっと以前から気になっている。
 良くも悪くも何かに対して衝撃を受けたときに湧き上がる感情、それは激怒だったり感動だったり歓喜だったり嫌悪だったりするのだが、その源泉を私は知らないし、それが湧き出す勢いもタイミングも私のコントロール下にはない。けれどもそれは紛れもなく私自身の感情なのである。それなのに勝手にあふれ出る感情は、時に私自身をひどく驚かせる。コントロール出来ない私は、一体何に規定されているのであろうか?

 最も私が驚愕するのは、私の『落窪物語』に対する偏愛だ。私はとてもこの物語が好きだ。それは否定しようがない。けれども『落窪物語』は一言で言えば「何もせずに白馬の王子様が出現するのを待つ」物語であり、それを愛する自分自身が理解出来ない。泥にまみれてでも自分の足で歩くことこそを良しとするのが私の嗜好であるはずなのに、それでも私は座してなにもしない『落窪物語』が大好きなのである。素晴らしく矛盾している。
 けれども『落窪物語』を愛する私も、それに対して嫌悪を剥き出しにする私も、どちらも「私」なのであり、無理矢理に否定するのは間違っているように思う。矛盾を解消する術がない以上、私に出来るのはただただ見つめることだけである。

 突発的に湧き上がる感情を否定せずに見つめ続けた結果、一つ気が付いたことがある。私が持っている意外な願望だ。それは自殺願望と名付けられるものであった。私はどこかで己の死を願っているのだ。思考する主体から逃げ出して、ただの物になりたいとどこかで願っている。その願いは静かでその分根深く、そして他者に否定されることを最も嫌っている。
 名付けるならば、それは緩やかな自殺願望。それは意識されるかされないかの境界線上に存在するほどに緩やかであり、また他人に否定されたくないがために他人に説明するのをも嫌う性質を持つ。故に、説明を求められるような激しい行為に出ることはない。高層ビルの上から飛び降りるようなことも、手首を切りつけることもない。そんな激しさとは無縁だ。
 けれど、選択肢が複数あれば、その中で最も死に近づけるものを選ぶ。いつか必ず訪れる死を少しでも手元に引き寄せようと、静かに暗く、深く、願っているのである。

 そんな己の願望を再度意識させてくれたのが本書『暗く、深い、夜の泉』なのでした。
 前振りが壮絶に長くなりすぎたので、あらすじその他は折りたたみ。



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