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「面白いと感じる」ことは、一体どういうことなのだろう。
ゲーテが当時の世相を皮肉る様は、お世辞にも理解出来たとは言えない。戯曲形式で描かれる物語は、はっきり言って読みにくい。幕間でどれほどの時間が経過したのかもさっぱりだ。
数多の登場人物が入り乱れる場面の必要性が分からない。山場であるはずのメフィストフェレスとの契約の場面も、グレートヒェンの破滅の場面もあっさりだ。しかも今気が付いたが、最初はマルガレーテ表記だったのが途中でグレートヒェンになっているじゃないか。
と、色々と突っ込みたいところもあるものの、それらが全く瑕疵に見えないのほどに魅力的だった。
いや。われわれの陥っているこの間違いだらけの境涯から、
いつかは脱け出せると思い込んでいられるものは、しあわせだ。
われわれは、必要なことはいっこう知らず、
知っていることは何の役に立てることができないのだ。(p.80)
住民達から尊敬されるファウスト博士は、けれども己の限界に煩悶していた。弟子のワーグナーに羨ましがられても少しも嬉しくはない。
祖父から父へ、父から己へと引き継がれた知の遺産。その上に立ったところで、見えるものとて何もない。彼が所有するのは手を触れたこともない実験器具と、虫食いだらけの書物の山だけ。
追い詰められたファウストは、ついにはノストラダムスの書物から偉大なる地霊を呼び出すも、そのあまりの偉大さに自身の矮小さを知らされるばかり。
全てに絶望した彼は、かつて産み出した褐色の液体により己の命を絶とうとするが、その行為は天使の合唱と鐘の音により阻まれる。そして物語はメフィストフェレスとの出会いへと展開する。
自分自身に絶望し、悪魔の手を取ったファウスト博士は何を得ようとするのだろうか。
己の器の小ささに苦しみながら、大いなる階段を上ろうと足掻く彼は何者か。
そんなファウストにメフィストフェレスが応えて曰く。
あなたは、やっぱり――あなたですよ。
何百本の髪の毛を植えた仮髪をかぶっても、
一メートルもある高下駄をはいても、
あなたは、あなたであることに変わりはない。(p.127-128)
さてさて、悪魔の言葉は真実や否や?
愛しい愛しいグレートヒェンを悲劇に突き落としたファウストは、彼の望み通りのものを手に入れることが出来るのか?
続きは『ファウスト 悲劇第二部』で、……と言いたいところだが、何故だか二部は上下共に絶版もしくは重版未定で、本屋には置いておりません。ご購入は古書店で!
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